幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862573544

作品紹介・あらすじ

企業経営で一番大切なことは
儲けることですか?
働く人の幸せですか?

「会社が儲からなければ、社員を幸せにすることもできない」という場合、
利益の追求による業績向上が「原因」で、社員の幸せ実現はその「結果」ということになります。
“逆”の因果関係は、本当にありえないのでしょうか。
つまり、働く人の幸福自体が企業や社会の成長の源泉であり、
社員が幸せになるほど、それが原因となって結果、
会社の業績も伸び、組織全体が強くなっていくというような…。

過酷なビジネス環境では、そうした発想は、現実離れした夢物語でしょうか。
“うますぎる話”なのでしょうか。

いいえ。そんなうまい話が、じつは、あるのです――。

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今、話題の「幸福学」を、実際の会社の経営に落とし込み、
これからの経営、組織のあり方を探る本。

「社員の幸せを追求した方が、会社の業績を伸ばすことができる」。
その実例を示しながら、幸福学と経営学の、2つの理論を融合させた新しい日本型経営のあり方を提案する革命の書!

感想・レビュー・書評

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  • ■感想
    ヘドニズムとユーダイモニズムという考え方は、非常に腑に落ちた。区別して語らないといけない。

    ■幸福に関する質問
     ①会社の経営で一番大事なことは、社員全員を幸せにすることである
     ②会社の経営で一番大事なことは、会社の利益を確保することである

     利益確保するから幸せ:一般的な定説
     幸せだから利益が生まれる:筆者が証明したい

    ■幸せの定義
     ・ヘドニズム
       刹那的、快楽
     ・ユーダイモニズム
       「私が人生の中で行ってきたことには意味があったなあ」としみじみ感じ入る、人生全般にわたっての幸せを追求スべきという考え方
       日々刻々、気分の浮き沈みや喜怒哀楽はあるが全体として「ここ10年は順調」といったロングスパンにわたる心の状態

    ■幸せの計測
     ・ディーナーの人生満足尺度
      http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/happiness.html

    ■何が人を幸せにするか
     地位財:持続性低い
     非地位財:持続性高い

     ・フォーカシングイリュージョン
      900万円を超えると、「感情的幸福」は頭打ちになる。
       ※「感情的幸福」とは、タイムスパンの短い感情的なうれしい・楽しいの指標。

    ■幸せの4因子
     過去の研究から、長期的な幸せに影響することが分かっている心的特性29項目をピックアップ。
     3つずつ、87個の質問でアンケートを作成。7段階評価。
      ⇒4因子を導出。

     ①やってみよう(自己実現と成長)
     ②ありがとう(つながりと感謝)
     ③なんとかなる(前向きと楽観)
     ④ありのままに(独立と自分らしさ)

     4因子すべてを満たすと幸福度が高く、どれか1つが欠けると幸福度が下がり、一番不幸な人はどの因子も満たしていない。
      ⇒すべてをバランスよく満たす方が全体として幸福度が高まりやすい。

    ■幸福と経営
     ・幸福度の高い社員ほど、創造性が高く、仕事の効率も高く、求められた以上の働きやソーシャルサポートを惜しまない。
      欠勤率や離職率は低く、上司や顧客から高い評価を受ける傾向がある。


    ■やりがいを探して
     ・アソビジョンクエスト
      ①小さい頃に好きな遊びはなんでしたか?
      ②学生時代は何に夢中でしたか?
      ③会社でのいまの仕事のおもしろさはなんですか?
      ④それらの共通点を探してみましょう

    ■ホラクラシー経営:ダイヤモンドメディア株式会社
      https://www.diamondmedia.co.jp/culture/
      ①情報の透明性・対称性
      ②労使・権力の消失
      ③報酬・人事システムの確立

  • 言いたいことがちょっとホンワリしてる本だとかんじられたけど、エッセンスは面白い。

    十牛図、オススメされたな そういえば。

    べてるの家の理念 が面白かった。
    「全て」の会社がこうであれ、目指すべき、
    とは思わないけど
    こういう考え方もできるほうが楽しいね。
    (会社の在り方だけでなく、
     つい人はたったひとつの正解を求めがちだね)

    ・三度の飯よりミーティング
    ・安心してサボれる職場づくり
    ・自分でつけよう自分の病気
    ・手を動かすより口を動かせ
    ・偏見差別大歓迎
    ・幻聴から幻聴さんへ
    ・場の力を信じる
    ・弱さを絆に
    ・べてるに染まれば商売繁盛
    ・弱さの情報公開
    ・べてるに来れば病気が出る
    ・利益のないところを大切に
    ・勝手に治すな自分の病気
    ・そのまんまがいいみたい
    ・降りてゆく生き方
    ・苦労を取り戻す
    ・それで順調

  • 働くひとの幸せこそが成長の源泉
    幸福度が高いと貢献度があがる。

    という点に納得。
    社員が犠牲になっている会社が多いと感じる。
    順番が逆ですよね。
    社員、そして顧客。

  • 就職してから、どうせ仕事するならば成果を上げて評価されたいと頑張ってきた。評価されれば仕事が楽しく幸せになると思い込んでいたけれど、そうはならなかった。その理由が本書を読んでわかり、納得できた。評価されたその一瞬は嬉しくても、それは毎日の仕事の楽しさには繋がらないものだったのだ。

    ではどうしたら幸せになれるのか?

    まず個人レベルでは、本書で挙げられている「幸せの4つの因子」を満たすように、仕事を通して自己実現を図りながら成長し、自己否定ではなく自己受容し、人の目を気にせず自分らしさを追求することが必要となる。
    これを実行していくためには、まず自分を理解しなければならない。自己実現で目指したいものは何か、自分らしさとは何か、分かっているようで分かっていない。
    まずは目標をしっかり見定めて、その上で自己実現や自分らしさの追求をしていきたい。

    組織レベルでは、「ホワイト企業の3つの因子」を満たすべく、お互いを尊重し合う社風の中で、働きがいを持ち、自分の成長を感じながら仕事ができる組織を作り上げる必要がある。
    具体的な方策として、権限委譲が挙げられている。
    若手に仕事を任せることによってやりがいを引き出す取り組みは私の職場でも行われている。しかし、経験が浅い担当者にとっては逆にストレスになっている。適切な負荷量となるようなマネジメントや教育体制が必要だと感じた。

    人は存在するだけで価値があるとする考え方は素敵だと思うけれど、その場合人材採用や選考はどのような考えに基づいて行うのかが気になった。理念への共感度合いで測るのだろうか?

  • 新年やっとクリアした1冊め、ホワイト企業の事例はどれも泣ける星5つです!
    利益はあくまで結果であり、目的にしてはいけないんだと感じました。

    ------ここから気になったフレーズ
    「会社が儲からなければ社員を幸せにすることもできない」
    という場合、利益の追求による業績向上が「原因」で、社員の幸せ実現はその「結果」ということになる。逆の因果関係は本当にありえないのか?
    かつては、企業が社員を不幸にすることで競争に勝てる時代があった。しかし、それはもう限界。逆に、これからは働く人を幸せにできる企業しか生き残れないー
    ・幸せには長続きしないもの(地位財による金、モノ、社会的地位)と長続きするもの(非地位財による心、安全、健康)がある
    ・幸せの因子4つ(やってみよう、ありがとう、なんとかなる、ありのままに)
    ・ES向上は時代遅れ。社員のパフォーマンスは、従業員満足度との相関が高くない一方、プライベートも含めた「社員幸福度」との相関は高い。
    ・人的資源管理(HRM)では、確かに4つの資源のうちでヒトを最上位に置いてはいるが、他の資源と同じ管理対象の1つとしておかれている。しかし、人は資源(リソース)ではなく、存在そのものとして別格にすべきではないか。
    ・伝統的な戦略では顧客や市場の分析を起点とする。往々にして顧客至上主義が命題となり、外からの動機付けになる。一方innovationはin(中に)+nova(新しくする)であり、自らの内側、見方、考え方、あり方の刷新が含意される。
    ・利益は追求するものではなく、追求すべきは、自分たちのあり方、思いの実現に向けた掘り下げと、価値創造に向けた工夫の連続。利益はその結果に過ぎない。ホワイト企業では利を求めない、追わない経営が、結果として利を生み続けている。
    ・経営学がもたらした3つの病
    1. 手法病(手法だけが目的化する)
    2. 計画病(定量化が重視される、計画だけで実行されない)
    3. 分離病(孤立や対立の文化がはびこる)
    ・日本は犯罪が少ない世界の中で最も進化した社会であるが、自己否定感が強いため、「社会はどんどん悪くなっている」「日本社会は遅れている」という脅迫観念に取りつかれている。ソニーのようにアメリカ流の合理主義を取り入れて凋落していく企業が続出。
    ・どうしたわけか日本の経営学者も経営者も欧米の経営学ばかりを追いかけている。もっと日本独自の経営を探求し、世界の企業経営をリードすることはできないだろうか。

  • 非常に良かった。自社に置き換えてどう変えていこうかと考えながら読める書籍だった

  • タイトルにひかれて手に取ったが、電車の中での暇つぶしにもならなかった。経営学をちゃんと勉強していない「経営学者」が日本の経営学を批判し、さも新しそうな説を述べることに酔うような書き方は読んでいてあきれる。はっきりした分析もなしに「持論」にすらなっていない。「幸福追求」企業の事例を述べるのならば、その反対の結果的「不幸」をもたらしている企業がなぜそうなってしまうのかを考えなければ納得性に欠ける。ちゃんと経営学を勉強すれば、Going Concernという概念でくくれるのではないか等々、批判すればきりがないので、これくらいでやめておく。しいて「ヒト、モノ、カネ、チエ」と経営資源を表していることは浅学な当方にとって有益であった。評価の一つ星はその理由から。

  • タイトル通りの内容。
    共著のためやや焦点がぼけている印象。

    前野先生の幸福学の本を別途読むこと。

  • テーマは面白いが内容は物足りない。ティール組織を読むべし。

  • 事例のひとつから「安心してサボれる職場づくり」「自分の苦労の主人公になる」のくだりが子育てや家庭づくりにも繋がると深く共感。人はもっと弱さをさらけ出して、人らしく生きればいい。その権利がある。

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著者プロフィール

慶應義塾大学SDM研究科教授・ウェルビーイングリサーチセンター長、一般社団法人ウェルビーイングデザイン代表理事。1962年山口県生まれ東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年より現職。『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)、『ウェルビーイング』(前野マドカ氏との共著・日経文庫)など書著多数。

「2023年 『実践!ウェルビーイング診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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