代表制という思想 (選書“風のビブリオ”)

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  • 風行社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862580849

作品紹介・あらすじ

「国の規模が大きくなったので、やむなく代表制が採られている」「代表制は直接民主主義の次善策」という"直接民主主義の神話"を根底から問い直す。

感想・レビュー・書評

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  • 代表制は直接制の次善の策だ、と思う方に是非読んで頂きたい。

  • 帯にあるように、代表制は直接民主政の次善策という「神話」を再検討することを目的とする本。全体の流れとしては、まず第一章「首相公選と世論」で、中曽根内閣以降日本でも話題に登ることの多い首相公選制が、直接民主主義を実現する制度として語られてきた事実を取り上げ、しかしこの制度もまた議会制とは別の仕方で代表者を選出する制度に他ならないことを明らかにする。次に第二章「”デリバレーション”の意味するもの」では、もう少し学術的な方面で話題になることが多い「熟議」に話が進む。ここでも、熟議の制度化は「ポスト代表制」と簡単に言えるものではなく、むしろ代表制を補完する制度として位置づけられてきた事情を明らかにしつつ、他方で、「熟議」概念を突き詰めれば議会を不要とする制度構想にならざるを得ないのではないかとも指摘している。第3章と第4章はより理論的・思想史的な論述である。まず第3章では、ピトキンの代表概念研究に依拠しながら、権威付与型の代表概念によって想定される、一度正統性を得ればその後の行動の責任が問われることのない代表者像に修正を加える理解の提示が試みられる。また第4章では、シュミット、シュンペーター、ギリシャの都市国家の制度に話が広がり、直接民主制と代表制が必ずしも対立概念ではないことを明らかにしようとしている。最終的に、著者の結論としては、民意を反映しない代表制の存在こそが、かえって民主主義を活性化させるのである、というテーゼが提出される。昨今代表制の危機が叫ばれ、何らかのかたちで民意を直接政治に反映させる制度を構想する向きが多い中で、代表制の固有の意味を提示しようとする本書は極めて興味深い。

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