- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862632098
感想・レビュー・書評
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WEED、FLOWERに続く3作目。3作とも面白かったけど、谷脇の人間性が良くも悪くも、最も魅力的に描き上げられた3作目です。倫理的にタブーな内容だけど、そもそも倫理とは何ぞやと思えてくるお話。
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自閉症の男の子佑哉と、最初は遊びだったけど次第に本気になっていく谷脇。
佑哉の「苦しい」は、初めての好きという未知の感情がわからず苦しいということなんでしょうね…。彼に愛が分かる日はくるのか…。
「知りたかったら、俺のそばにいればいい」という谷脇かっこいい。(^^) -
表紙がむちゃ恥ずかしい!!
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「WEED」「FLOWER」と続き、今回はその完結編。
木原センセは、ふつう人が見て見ないふりしたいこととか、そこにはふれてほしくないこととか、苦手とするものを淡々と見せつけてくる作家さんですね。敬遠したくなるようなキャラを、ふつうに主役として登場させるところがBL的には掟破り。
谷脇はその中でも突出した救いようのないキャラです。相手への思いやりなど一切なく、あちこちで食い散らかしている男で、許せんと憤りたくなります。
しかし、冷静に谷脇を観察すると、最低だけど凶暴じゃないんです。パニックになった佑哉に殴られても暴力で報復したりしない。意外にも理性的ww感情面の冷たさに繋がってはいるけど、わりと根気強くて正直驚きました。イラっとして手を上げたりしないし、面倒見もいい。最初は朗の面影を求めているから?とも感じましたが…
ただ谷脇は、自分の下半身欲望に忠実で自制なんかしない、というのは間違いなさそう。
そんな谷脇を上回る大物が佑哉でした。思い通りにならないばかりか、いつの間にか谷脇の方が佑哉の思うままになって振り回されてしまうことに。なんと言っても「家政婦の雄」ですからね。雑味がない言い方ww
自分勝手な谷脇以上に、自分の心地いい方に行きたがる佑哉は最強です。
谷脇は、佑哉のことをかわいくて大切で愛しているなんて一言も言っていないし、佑哉も谷脇を愛しているなんて言うわけないんですが、それでもなぜかどんどんラブが見えてくるのがいいですね。
そもそも、二人とも愛なんてまったくわかっていないのでww
「愛は、なんですか」という佑哉の問いに、谷脇が「知りたかったら、俺のそばにいればいい」と返すに至ったところでは、ものすごーく胸が熱くなりました。
どんな人間でも誰かに必要とされる存在になり得るんだなと、つくづく思わされました。
「NEED」では、そんな二人の関係が、徐々になくてはならないものに変化していく様子が、佑哉の大学生活を通して描かれています。
ボランティア活動のことも辛口に描かれていました。吉村もいろいろ経験して、失敗を繰り返して成長していけばいいと思います。
谷脇は相変わらずですが、それでも自覚がないまま愛がダダ漏れになっていて泣けました。
新装版の書き下ろし3作目も絶妙でした。すごく深いです。ちゃんと登場人物が出揃っていて、リレーされていてストーリー的にも満足。谷脇と佑哉もラブラブです。二枚重ねた写真にやられました。朗も忘れ去られてはいません。 -
なんか、悩む小説だったな・・・
自閉症の子に手出すとか・・・
でもおもしろかった。自閉の子ってシンプルな思考回路だよなあ。 -
「NEED」では、三人称の文体で書かれてはいるが、視点は谷脇から祐哉に移動して、祐哉の精神世界が覗けるようになっている。自閉症児である祐哉が、外界の全てのものに対してどういう感覚を抱き、刺激を受けているのかが祐哉の誤謬とか考え方の領域を逸脱しない書き方をされていて、改めて
作家の力量、と言うやつを見せつけられた気がした。やはり木原音瀬と言う作家は、小説を書くのが非常に上手い。本当は祐哉はこう考えているのかも…と言った希望的観測で描かない、と言う一貫して在る客観性。虚飾しない、盛らない、フィクションとして劇的に書かない。