POLLINATION (新装版) (ビーボーイノベルズ)

著者 :
  • リブレ
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862632098

感想・レビュー・書評

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  • WEED、FLOWERに続く3作目。3作とも面白かったけど、谷脇の人間性が良くも悪くも、最も魅力的に描き上げられた3作目です。倫理的にタブーな内容だけど、そもそも倫理とは何ぞやと思えてくるお話。

  • 自閉症の男の子佑哉と、最初は遊びだったけど次第に本気になっていく谷脇。
    佑哉の「苦しい」は、初めての好きという未知の感情がわからず苦しいということなんでしょうね…。彼に愛が分かる日はくるのか…。
    「知りたかったら、俺のそばにいればいい」という谷脇かっこいい。(^^)

  • 愛を知らない男・谷脇が前作『FLOWER』で
    強烈な後悔と共に愛の片鱗を知ったわけですが、
    こんな男にどんな人をぶつけるのかなと思ったら
    谷脇以上に愛が分からない(概念化できない)
    自閉症の少年とは恐れ入った。さすが木原さん。
    自閉症の少年視点もあるのがすごいです。

    谷脇が相変わらず鬼畜過ぎる!!!
    これ小説だから出版できてるけど
    漫画だったら速攻で発禁になるんじゃないかな…
    障害を持つ少年を言いくるめて手籠めにする大人…最悪…

    なのですが。

    意外や意外、セックス以外のことは我慢が効いて
    根気よく佑哉に接してやれるんですよね。
    仕事しながら佑哉の世話、相当大変だと思います。
    食事が特にめんどくさいよ~。

    途中であちこちに谷脇の悪事がバレて
    すごくハラハラしちゃいましたが
    谷脇が全然動揺してないのがすごいよね。
    普通逮捕されるよね。

    あれだけ愛が分からなかった鬼畜男・谷脇ですが
    佑哉に「愛は、なんですか」と問われ
    「知りたかったら、俺のそばにいればいい」と
    答えるようになるなんて…!
    愛を教える立場になるなんて…!

    感無量と思うけど、そうなると
    『FLOWER』の朗は死に損で
    哀れ過ぎるな、とも思いました。

  • 表紙がむちゃ恥ずかしい!!

  •  シリーズもの3作目の完結作品。
    谷脇がとても最低で、人の痛みを理解できない、心や感情に欠落がある人非人という設定で、そんな攻めのお相手はどんな子?!
    と、思ったら自閉症という、本当に抽象的な概念が存在しない人種の人間でした。

     感情に欠落のある人間が人非人ではなく人間として共に歩んでいけるのは、感情という抽象的概念を持たない人間なのかー。
    上手すぎるよすごいよこの設定!!と、脱帽でした。

    谷脇の常識に囚われない自由さ好きです。

  • 「WEED」「FLOWER」と続き、今回はその完結編。
    木原センセは、ふつう人が見て見ないふりしたいこととか、そこにはふれてほしくないこととか、苦手とするものを淡々と見せつけてくる作家さんですね。敬遠したくなるようなキャラを、ふつうに主役として登場させるところがBL的には掟破り。
    谷脇はその中でも突出した救いようのないキャラです。相手への思いやりなど一切なく、あちこちで食い散らかしている男で、許せんと憤りたくなります。
    しかし、冷静に谷脇を観察すると、最低だけど凶暴じゃないんです。パニックになった佑哉に殴られても暴力で報復したりしない。意外にも理性的ww感情面の冷たさに繋がってはいるけど、わりと根気強くて正直驚きました。イラっとして手を上げたりしないし、面倒見もいい。最初は朗の面影を求めているから?とも感じましたが…
    ただ谷脇は、自分の下半身欲望に忠実で自制なんかしない、というのは間違いなさそう。

    そんな谷脇を上回る大物が佑哉でした。思い通りにならないばかりか、いつの間にか谷脇の方が佑哉の思うままになって振り回されてしまうことに。なんと言っても「家政婦の雄」ですからね。雑味がない言い方ww
    自分勝手な谷脇以上に、自分の心地いい方に行きたがる佑哉は最強です。
    谷脇は、佑哉のことをかわいくて大切で愛しているなんて一言も言っていないし、佑哉も谷脇を愛しているなんて言うわけないんですが、それでもなぜかどんどんラブが見えてくるのがいいですね。
    そもそも、二人とも愛なんてまったくわかっていないのでww
    「愛は、なんですか」という佑哉の問いに、谷脇が「知りたかったら、俺のそばにいればいい」と返すに至ったところでは、ものすごーく胸が熱くなりました。
    どんな人間でも誰かに必要とされる存在になり得るんだなと、つくづく思わされました。
    「NEED」では、そんな二人の関係が、徐々になくてはならないものに変化していく様子が、佑哉の大学生活を通して描かれています。
    ボランティア活動のことも辛口に描かれていました。吉村もいろいろ経験して、失敗を繰り返して成長していけばいいと思います。
    谷脇は相変わらずですが、それでも自覚がないまま愛がダダ漏れになっていて泣けました。

    新装版の書き下ろし3作目も絶妙でした。すごく深いです。ちゃんと登場人物が出揃っていて、リレーされていてストーリー的にも満足。谷脇と佑哉もラブラブです。二枚重ねた写真にやられました。朗も忘れ去られてはいません。

  • なんか、悩む小説だったな・・・
    自閉症の子に手出すとか・・・
    でもおもしろかった。自閉の子ってシンプルな思考回路だよなあ。

  • 「NEED」では、三人称の文体で書かれてはいるが、視点は谷脇から祐哉に移動して、祐哉の精神世界が覗けるようになっている。自閉症児である祐哉が、外界の全てのものに対してどういう感覚を抱き、刺激を受けているのかが祐哉の誤謬とか考え方の領域を逸脱しない書き方をされていて、改めて
    作家の力量、と言うやつを見せつけられた気がした。やはり木原音瀬と言う作家は、小説を書くのが非常に上手い。本当は祐哉はこう考えているのかも…と言った希望的観測で描かない、と言う一貫して在る客観性。虚飾しない、盛らない、フィクションとして劇的に書かない。

  • 裸ん坊3部作のラストを飾るのは、最低人間谷脇と自閉症の少年佑哉。
    勝手気ままで冷血漢。傲慢で鼻持ちならない、人として終わってる谷脇が、ちっとも自分の思い通りにいかない佑哉相手に必死になる様は見物でした。

    前作で松本が不憫すぎたので、今作の谷脇見てると哀れみよりも先に谷脇ざまぁ(ぷっ)と思っちゃうんですが、読み進めていくと、何だかとてつもなくせつない展開が待ってて大変でした。
    もう、なんというか……佑哉も色々と可哀想だなと思う面もあるんですが、谷脇が可哀想になってくるという不思議展開です。
    アレ? 何で私、こんなゲス男に同情してるんだろう? と首を傾げてしまうんですが、一体どこから同情してたのかすらも分からないほど夢中になって読みました。

    途中から、谷脇の中で佑哉が松本の身代わりでなくなってくるんですが、このへんのくだりが凄くよくできていて、圧巻です。
    本物の愛を漸く見つけられそうな谷脇と、その愛が一体どんなものかすら理解をすることが出来ない佑哉が、紆余曲折あってなんとか一緒に歩み始めるところで物語は終わりを迎えますが、読後感は一言では言い表せないような満足感。

    考えさせられるなぁ……という感じ。
    谷脇は相変わらず嫌な男なのだけど、ただの嫌な男で終わらないところが素晴らしかったです。

  • 谷脇は救われたかもしれないけど、松本は?松本のことは完全に忘れたの?

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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