無罪世界 (ビーボーイノベルズ) (B-BOY NOVELS)

著者 :
  • リブレ
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本棚登録 : 324
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862632456

感想・レビュー・書評

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  • 萌えとエロスがないBLでした。
    狡い攻とジャングル育ちの野生児受による、一見コメディに見えるけどその枠に当てはめるには微妙な読み口の作品です。

    桃色描写はありますが、桃色と表現するのも微妙なラインというか。
    とんでも野生児である受の宏国にとっては、性行為は欲望を処理するための一手段でしかないですからねー……。
    宏国にとっての性行為に【あいして】という言葉をあてはめさせた攻の山村が、なんとも切ない気がしました。
    そのときは何とも思ってなかったのに、宏国という人間に惹かれていった時に【あいして】という言葉を覚えさせた事を、苦々しく思うんですね。
    肌を重ねるのに【あいして】という言葉は間違ってはないけど、宏国にとって、彼の生活文化の中でその言葉は意味を持たない。
    それがものすごくせつないなぁ、と思いました。

    それでもゆっくりと思いを育んでいって、物語のラスト1ページになんだかとても救われました。
    たっぷり最後の後書きまで読んでから、もう一度表紙の「無罪世界」という言葉を反芻すると、じんわりと胸が熱くなります。

  • 好みの分かれそうな内容だけど、苦しい人生を歩んできた主人公に感情移入して読むと、後半はぐっとくるものがありました。エピローグがもっと欲しいなと思うくらい楽しめました。

  • 亡くなった伯父の遺産をもらう代わりに、
    アマゾン育ちの言葉も通じない従弟の世話をすることになった主人公。

    本当に意思疎通が難しい相手との生活にまず必死で
    恋愛とかあんまり考えてる余裕がなかったです。
    日常生活がまず大変すぎ!

    隣に住んでるおばさんがいい人で良かったな~。
    お節介だけど何だか和みましたw

    主人公はゲイなのでそのうち従弟と
    セックスする展開になるのですが、
    何かエロいとかそういう気分にはなれず
    (獣姦+子供とセックス)÷2、みたいな気持ち。

    しかし、セックスをせがんでくる宏国に
    そういう時は「あいして」というように教えるのが
    後から切なく感じました。
    宏国の中には「愛」なんて概念が芽生えることがあるのだろうか。

    途中で絶対お金持ち逃げされるわ~とヒヤヒヤしてたら
    あっさりそれ以上に悲惨な目に遭って
    しかもあの弁護士の仕打ちがもう…
    何だあの上から目線。
    あいつを何とかギャフンと言わせる術はないのか!!

    しかしラストはほんのり幸せになったみたいでした。
    良かったと言えるのかどうだか…。
    私はあの従弟とは暮らしたくないなって強く思いましたw

    愛を知らない人からの愛を得るという点では
    「POLLINATION」にちょっと似てるかもなと思いました。

  • インディオに養われた人って、想像つかない・・・。
    意思の疎通が難しくても、好き。愛されているような気がする。そんな風に思えて、山村、良かったね。
    山村の素性を知った弁護士の手を平を返したような冷たさが、これが世間一般の見る目でしかたがないと思いつつも、憐れだった。しかし、これをきっかけに山村が立ち直ったのは、良かったのかな。

  • 受けが可愛い!かっこいい!
    言葉が通じないって設定は美味しいです。
    読後感はちょっと落ち込む(笑)

  • 展開読めなさすぎて後半手に汗握ってしまった…

  • 山村は、親にも捨てられたような自分を、遺産を分捕って捨ててやろうと思っている自分を救おうと暴力に真正面から立ち向かう宏国の姿を見て、自分たちと同じ価値観の世界の住人ではない宏国が、自分と言う人間の為に損得なしで動いている様を見て、自分よりも誰かを想い、自分の身を犠牲にしても守りたいものと言うものがこの世に存在していたんだ、と言うことを思い出す。知らなくて気付いたのではなく、母親に捨てられてからずっとないものと思い込んでいたものを呼び起した。悪人ではない自分、ではなく、人間らしく他者に寄せる感情を持ってしまう自分がある、と言うのを、宏国の戦う姿に呼び戻された言うか。
    『無罪世界』は木原さん作品の中でも、私にとってはかなりエロいんだが、再読なう、でやっぱエロい…。なんだろうなー、そんなにぐちぐち描写してないのに、粘膜が擦り切れてる感じが凄いするんだよなぁ、出血する一歩手前でただれてる感が…山村が自分の性欲処理的に使った宏国との濡れ場が非常に…エロい。木原さんの作品の濡れ場は粘膜が擦れてる感じが凄くするんだよね…快楽がある・なしに関わらず。局部の状態とかをこと細かく書かれている訳ではないんだが…エロい。あたかも女子の器官がそこにあるように描く事で*が性器であるように感じる描写ではないんだけど、木原さんの書き方は排泄口でしかないのに性器の生々しさがある、と言う感じか。刺激に鈍感になって「これくらい痛くないと分からない」と言う耐性ではなくて、登場人物が感じている嫌悪感はきちんと描写されてるんだが、読者の生理的嫌悪感を殊更に煽る書き方をしてないから木原作品はある意味冷静に読める、と言うか。

  • まさか「面倒ごと」だけ連れて行くとは思わなかったんだろうなあと。

  • 木原作品らしく、かなり痛いストーリーで読み切るのに時間がかかりました。
    詐欺で生計をたてていて、借金をかかえ、ギャンブル好き・・・・と本当にどうしようもないサイテー男(山村)が、遺産目当てでジャングルで育った言葉の通じない従兄弟(宏国)を育てるという話。
    最初、あまりにも逸脱した宏国の行動に読んでいてひやひやして、どうBLに発展していくのか謎でしたが、最終的にハッピーエンドで良かったです。
    ほんと、木原さんはどこに着地するのか全く分からなかったので安心しました(笑)
    かなり読み応えがあるので木原音瀬好きは買いです。

  • 面白かったです。
    ろくでなし×インディオ(子どもの頃拉致された日本人)なんて設定もすごいけど書けちゃうのもすごいなぁって思います。
    恋愛って言われるとクエスションマークがつくけど純粋な好意があってそれさえあれば素敵じゃないかと思います。
    ハードだけど最後はきっと幸せに暮らしているんだろうな、と思えたしラストが良かったです。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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