- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862658289
作品紹介・あらすじ
古代からの都市づくりと独自の町人文化を創りあげた大阪。作家達が描く食と夜の街の作品を読み、その舞台を歩いて大阪の精神を探る。
感想・レビュー・書評
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江戸末期から昭和30年頃までの大阪を舞台としたさまざまな文学作品を辿りながら、大阪の町やそこに暮らす人々の文化・風俗を語っている。
筆者自身が大学から社会人生活にかけての多くの期間を大阪で過ごしたことから、小説の舞台と当時の大阪の風景と重ね合わせて語られているというところが、大きな特徴である。
水上瀧太郎の『大阪の宿』に描かれる宿屋の女中の姿や、織田作之助の『夫婦善哉』に描かれる船場の商家と妾の間にある身分差別、宮本輝の『泥の河』に描かれる戦争未亡人とその家族の貧しい生活など、描かれている人々の置かれている環境は非常に貧しく厳しい。
一方で、それらを描いていながら、これらの小説が社会派小説とは異なり、人間の心情の細やかなやり取りを描くことに力点を置いたものになっているのは、大阪の町や路地という舞台の持つ、人間味の影響なのだろうと思う。
もし同じ題材を東京を舞台に描いたら、果たして同じような小説になったかと考えると、興味深い。大阪を舞台にすることでしか表現しえなかった人間像を感じることができた。
大阪にはあまり土地勘がなかったが、本書では最初の章で大阪の都市の成り立ちや構造を分かりやすく説明してくれているので、とても入りやすかった。
特に、大阪の地図は昔は東(上町台地)を上にして書かれていること、とはいえ、上町は東京で言う山の手とは違い、上町台地の中にも下町的な情緒がある地域もあるということなど、大阪という都市を知るうえで参考になることが多かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
つまみ食い的に、虫穴で読んだ。
大阪のことあんまり知らないなぁと気付いた。街歩きしたい -
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