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本 ・本 (136ページ) / ISBN・EAN: 9784862726872
作品紹介・あらすじ
2013年第56回新人賞受賞作「目覚めればあしたは」から「短歌研究」連載まで8年間の作品をまとめた待望の第一歌集。
これまでの出産・子育ての歌に比べて抜群に新しい、現代女性のひりつくような日々を、冷静な視線をもって、みずみずしい感性でうたう。
感想・レビュー・書評
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「未来」の新鋭歌人である山木礼子の処女歌集。子育ての大変さを吐露したひりひりするような歌が印象的だ。「花籠に花あふれゐる病室で褒められてゐるわたしの乳首」「入院着のボタン留めつつちちふさに金鉱脈を眠らせてをり」「友だちはできたかと子に問うてゐる友だちをらぬ母はさびしく」「「日本死ね」までみなまで言はねば伝はらぬくやしさにこのけふの冬晴れ」「やはらかな毛布にふたり子を溶かしわたしも溶ける 報われたいな」「明るいが助けてくれぬ常夜灯 早く寝てくれ寝てください」「帰りたくないと泣かれて何のためにここへ来たのか保育所は夜」「泣きやまぬ子を抱いたまま階段の段を転がりおちてやらうか」「地下鉄でレーズンパンを食べてゐる茶髪の母だついてきなさい」
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子育ての苦悩を詠んだ連作で綺麗なものだけじゃないものを見せてくれる。一首で良い!ってより連作としてじわ〜と良さが来る感じ。繰り返し読みたい歌集。
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言葉や意図はそうでないのも少なくないけど、子供が登場するせいか、通奏する前向きさや心の豊かさ、未来への希望がまだあるさまをかんじた。
やり過ごすだけの毎日への救いを読書に求めようとするとき、この本はすこし眩しすぎるかもしれないな。
作品はすてきなので、いつか受けとめられる日が自分に来ることを願って。