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- 本 ・本 (132ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862727381
作品紹介・あらすじ
義弟とはだれなのだろうか。
ひとつ奇妙な歌がある。謎解きとしか思えない。
〈弟と義弟がともにいる部屋でわたしは義弟の名前を忘却した。義弟とは何者であるか〉
これがロゼッタの石と気がついた。 ――平井弘・栞より
現実を解体し、謎めいた箱庭世界で暴力や崩壊の予感を光らせる ――大森静佳・栞より
感想・レビュー・書評
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「かばん」の歌人・土井礼一郎の第一歌集。架空の家族が滅びゆく歴史を詠った歌として解釈した。醒めた視線で作者が感じる危機感を言葉にしている。「義弟らは火を点されて夏の夜の淡島通りを行進したり」「姉の足裏が地面につくたびに姉すこしづつ死んでしまえり」「ひとつだけほんとの父を入れてあるマッチ箱からとりだすマッチ」「くらやみの奥から生まれてくるものにルーペをあてておとうとと呼ぶ」「ひからびた義弟たちを折りたたみしごとさ 驚くよ、軽すぎて」「ゴムノキの弟として生まれればゴムノキの葉を磨いて暮らす」「弟のてのひらに手を託すときなかゆび同士の奏でる軍歌」「弟と義弟のともにいる部屋でわたしは義弟の名を忘却す」「てのひらにおとうとの棲む丘はあり手を叩こうとすれば手をふる」「みなひとつ蟹をぶらさげぼんやりと義弟ばかりののりこむ列車」「ペットボトルの中だけにある公園で弟ひとり蟬捕りをする」「建て替えるたびに小さくなる家のいちばんに奥に眠る父親」
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