ダイアローグ――対立から共生へ、議論から対話へ

制作 : ピーター M センゲ  金井真弓 
  • 英治出版
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本棚登録 : 386
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760173

感想・レビュー・書評

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  • 読了

  • 頭ごなしに否定しない。打ち切らない。切り捨てない。

  • カバーの色が黒と白で、同時発売のジャウォースキーの「シンクロニシティ」と対になっている「コミュニケーション論の名著」だそうだ。

    著者は、物理学者のデヴィッド・ボームで「シンクロニシティ」にも、印象的に登場している。「シンクロニシティ」が、個人的な経験談、自伝であるのに対して、こちらは対話に関する理論的な考察で、かなり難しいというか、読みにくい。

    物理学者による対話論ということで、まずイメージしたのは、ニルス・ボーアなどのコペンハーゲン学派が、自由な対話、議論ということを重視していて、その自由な風土は、さまざまな物理学の研究所の模範とされた、といったところ。しかし、この本には、そういう話はほとんど出てこない。でてくるのは、そのボーアとアインシュタインが、お互いに理解しあうことができず、次第にお互いに嫌い合うようになった。つまり、対話が成立していなかったという悪い事例だけ。

    で、この本になにが書いてあるかというと、まずは、対話のやり方、始め方みたいな手法論から始まるのだが、最後のほうでは、なぜ、対話が重要なのか、なぜ対話がなりたちにくいのか、進化論とからめた大脳生理学とか、観察者は観察物に影響を与えるといった観点とか、私たちの思考は精神的なものではなく、物質的なプロセスであり、より大きなものの一部である、など、最近の私の関心事(=ポジティブ心理学、大脳生理学、量子力学、スピノザ、人類学)に近い哲学的主張となって、エキサイティングだった。

    とはいっても、やっぱり難しくて、到底、全部分かったとは言いがたい。満足度は本自体への満足度というより、自分の理解が及ばなかったということによる評価。

    あと、この本は、エッセーやレクチャー、即興のコメントなどを編集したものらしいけど、それぞれの章が、いつどこで発表されたものなのか、が分からないのもやや気になった。編者のイントロダクションによると、この本の各章の書かれり、話された時期は、1970年代の初めから1990年代のはじめまでと幅があり、ボームの語っている社会的な問題を理解するときのコンテクストとして、「いつ」というのは、結構、大切な気がした。

    「対話の目的は、物事の分析ではなく、議論に勝つ事でも意見を交換する事でもない。いわば、あなたの意見を目の前に掲げて、それをみることなのである」

    その通りだと思う。後日、再読したいと思う。

  • 3

  • 最近自分の「対話力」が低下しているのではないかとの危機感から、4年ぶりに再読。単なるディスカッションではなく、Win-Winを実現するための「対話」に必要なスキルとプロセスを解説した一冊。

    人は自分が所属する社会・集団の中で身につけた「思考と感情」により、事実をありのままに見ているつもりでも無意識の「想定」を行っており、他人が異なる「想定」から述べた意見に対して「守り」の姿勢を取ってしまうことが、対話を阻む障壁となる。著者はその背後に、現代社会に浸透した「科学的思考」があり、人々が”唯一絶対の真実”を追求する姿勢が社会の「断片化」を招いたのだと指摘する。

    これらの課題を克服して「対話」するためには、一切の判断や行動を「保留」し、自己の感情をひたすら観察することにより、自分の「想定」を意識するとともに、科学的思考の対極である「参加型思考」を用いて、自分も相手もより大きな「全体」の一部であると認識する必要がある。「勝ち負け」を競いがちな文化とは真逆の価値観を組織的に許容することの大切さと難しさを再認識することとなった。

  • 邦訳のサブタイトル『対立から共生へ、議論から対話へ』というのが、本書を平易なものだと勘違いさせる原因になっているのではないかと思います。
    自身の知識と読解力の貧弱さを棚に上げて…というのは気恥ずかしいですが、それでもやっぱり生易しい内容の論文ではありません。

    物理学者という背景が、文章を複雑にしているのでしょうか? 内容も、断片化や論理性の重視を否定する一方で、本論では対話の過程を細分化して論理的に考察しているようにも思えたり。
    とにかくそんなことは置いておいたとしても、これは難解な一冊です。

    全体の十分の一も理解できていないのではないか、と残念な気持ちです。
    通常、目次を見れば大筋を把握できるものだと思いますが、いかがでしょうか? 各章でなにが語られようとしているのか、ちっとも想像できないでしょう。

    ただし、様々な名著の下敷きになっているこの主張が理解できるよう、今後も再読を重ねていこうと思います。


    <目次>
    1 コミュニケーションとは何か
    2 対話とは何か
    3 集団思考の性質
    4 問題とパラドックス
    5 見るものと見られるもの
    6 保留、肉体、自己受容感覚
    7 参加型思考と無限

  • もし、量子力学のシュレーディンガーの猫とアジャイルマニフェストの「プロセスやツールよりも個人と対話を」に興味を持ったのであれば、この本はオススメ。

  • みなさん仰るとおり少し難しかったです。

  • 自分には難解すぎた。

    本によると、以下の引用のように、
    「思考」の機能がさまざまな対立の原因である。

    『人が持っているさまざまな意見が、過去の思考の結果だという』
    『思考は結果を生み出すが、そのあとで、自分はそんなことをしなかったという』
    『人類の問題はすべて、思考に自己受容感覚がない事実が原因だ』

    このような思考の弊害を避け、物事の真の意味を把握するため、
    「対話」という手法を提案している。

    しかも対話では、一般的な会議、議論とは違って、
    問題意識や目的を持たないで行う必要がある。
    もちろん、無意味におしゃべりをして時間を浪費するのでもない。
    対話の後ろを流れている共通の意味を探るのだ。

    ということを書いている気がするのだが、
    全く分からない文もあり、ちゃんと分かっている自信がない・・・

    ボーム博士の別の著書を読みたい。

  • 2013年66冊目。

    物理学者デヴィット・ボームが書いた「対話」に関する考察。

    [思考メモ]
    ■対話は、誰かの意見を通すことが目的ではなく、新しいものを生み出すもの
    →自己防衛に入らないよう注意深く自分を観察する
    ■自分の中の認識や想定を前へ掲げ、他者のそれを見ながら、自分のそれを自分自身がしっかり認識する必要がある
    ■対話を通じて、自分の中で「必要不可欠」だったものの想定が崩れ、交渉の余地が生まれることもある

    前半は対話そのものに関する内容だったが、
    後半は「思考」に対する考察だったりするので、
    もっとじっくり読まなければ理解しきれそうもない。
    深遠な内容だった。

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