未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ]

制作 : 石原薫 
  • 英治出版
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760210

作品紹介・あらすじ

われわれは、未来のために何を残せるのか?環境破壊、エネルギー問題、貧困、人口増加、テロリズム…世界の不都合を解決する。クリステンセン、プラハラード、ユヌス、センゲ…各界のリーダーが挙って賞賛する話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 3

  • 請求記号:335.13/H33
    選書コメント:
    持続可能な社会を、市場を通じて実現するための方策について述べています。BOPビジネスへの理解も深まります。
    (環境創造学部環境創造学科 鶴田 佳史 准教授)

  • 2008年発行と少し昔の本。
    3部構成で、BigIssueやビジネスの現状を説明する第1部やBOPが如何に企業にとって意義と魅力のあるターゲットかを説く第2部は、取り上げられている事例を含め、この分野の書籍を1,2冊読んでいれば聞いたことのある話で目新しいものはなかったが、第3部「土着化する」は興味深い。
    感情的・非科学的な誹謗中傷やデモ、或いは違法コピーやテロリズムなどの犯罪は、冷静に考えれば謂れのない理不尽なものだが、相手の不当性を訴えても不毛であり、それよりも相手の言い分を聞き、対話を重ねることでビジネスの仲間にしてしまう方が賢明とのこと。
    また、この不当性というのもあくまでこちら側の決めたルールであり、一部の資本主義国家内でしか通じない既存の常識・フレームワークは一旦棚に上げ、先方の実情を肌身で知ることをスタートとする思想は、西水美恵子さんの草の根活動や、瀬谷ルミ子さんの武装解除の手法に通じるものがある。

  • *****
    利潤の追求と環境の保護という対立構造で捉えるのではなく、その両者を結びつける問いの設定によって新しい価値の創造を追求して行く、その指南をするような一冊。
    *****
    これまで社会を維持してきた国家という枠組みを越えて、資本主義というイデオロギーによる新たな世界の創造が果たして可能なのか。大資本によってこそ実現できることもあれば、大資本だからこそ捉われるジレンマも存在する。
    *****
    ちょうど並行して読んでいるリーンスタートアップとつなげて考えるともの凄く面白い。どちらも顧客に徹底的に近づき、そして「マネジメント」を効かせることを追求している。そこに予定調和的な線的成長を約束するシナリオはなく、目の前の現実にオープンに、フラットに向き合うことで新しい価値をともに作り上げる。
    *****

  • 持続可能な発展のためにはBOP市場の発展が欠かせない。
    それも、今までの欧米式のやり方にあてはめるような発展ではなく、
    新しい仕組みをつくることが、私たちに残された唯一の道なのではないかと思う。
    巻末で紹介される、建設現場で働く3人の男の寓話。
    何をしているのかと問われると3人とも違う答えをする。「石を切っている」「生活費を稼いでいる」「大聖堂をつくっている」
    ただの歯車になるか、生活のために働くか、それとも作り出すか。
    どれが良いかって言ったらみんな3番目だと思うけど、
    これまでの価値観を全部壊して新しいところに飛び込む人は多くない。
    これからはピラミッドの頂点ではなく底辺を目指して発展していく未来になると本書では語られています。
    先進国で、欧米式の教育を受けた「知識人」が途上国のスラムに暮らす人との心理的距離を取り去って、現地に根付く技術を生み出す、雇用を生み出す。
    全く新しい世の中のしくみ作りに携わる人間になりたいなと心から思いました。

  • 名著だと思う。
    少なくとも僕にとっては名著だ。
    著者はスチュワート・L・ハート

    【大前提】
    持続可能性こそ大事だ

    【手段】
    環境配慮とBOP
    この二つが本書の二大ポイント。

    【環境配慮にかんする論点】

    誤解→正解
    環境保護はとビジネスは両立しない。
    →両立する。

    改善により環境保護を進める。ただベターなのは改善でなく、『環境保護を超える』イノベーション。

    【BOPに関する説明】

    ボトムオブピラミッドの略。つまりピラミッドの底辺=貧困層マーケット。

    誤解→正解
    経済発展・グローバル化により世界は豊かになった。
    →世界の人口が60億人であれば、そのうち40億人は未だに所謂貧困層にあたる。

    誤解→正解その2
    貧困層に役立つことは儲からない。あくまで慈善事業だ。
    →儲かる。ビジネスとして成立する。
    (例)
    グラミン銀行
    セメックス
    ピーアンドジー等

    【BOPに関する論点】
    ・『貧困層マーケットを開拓する』=『富裕層のモノを売り付けること』ではない。それは、大前提の『持続可能性』に繋がらない。
    ・貧困層を『購入者・消費者』にするのではなく、生産者(≠労働者)にする。
    ・そのためには貧困層を理解する=土着化する。先進国の文化・思考・仕組・資本主義を押しつけない。

    ベストだ。この本を読んで、僕は変われた気がする(繰り返し!)。
    もっともっと能力を高めたいと思った。 僕がやりたいことってこうなんだと思った。 超主観的考えだが、働くとは、ビジネスとは本来こうあるべきだと思った。

    携帯がテレビが薄くなった、デジカメの画質がきれいになった、酒のカロリーが低くなった、裁定取引で儲かりました、

    なんなんだそりゃ!

    どんだけ人の役に立ててるちゅーねん!
    世界にはまだまだ困ってる人がたくさんいるんだよ。
    技術、経済の発展、学問の発展ってなんのためだよ!儲かるためか?
    あーそうかもしんない、
    でもさ、なんかどうなのそんな人生。
    もっとあるだろ。ボランティア? そんなの解決策になるか!

    すんません言いすぎでした。ボランティアはこの世に欠かせないものです。

    じゃなくて、抜本的解決かつ自分たちの豊かさ(対価をもらう)。
    これだろ!
    『企業が儲かったお金を寄付しました(東南アジアにーとか、植林にーとか)』まあ、それもいいけどさ、でもさ、世界に名立たる企業ならさ、英知が集まってるんならさ、抜本的解決をしてやってくれよ。

    しかもそれはビジネスとして成り立つ可能性満載なんだよ。
    営利活動と両立しないくないんだよ、両立するんだよ。

    両立させるように頭を使うから、努力するから対価があるんだよ。

    なんかひどい文章になってしまいましたがいつかはそんな働きかたをしたいと思う。
    だからもっと力をつけたいと思う。
    グラミン銀行の知ったとき(ヤフー時代のブログに記載。『これは知っとけ』かなんか。)以上の衝撃だ。
    この本を読んで良かったと思う。

  • tksおすすめ本シリーズ第3弾。これは特におもしろそう。レビューちょろっとみるだけども雰囲気はつかめるし、読みたくなるんじゃ? by よーいち

  • 地球温暖化の問題に象徴されるように、20世紀型の企業活動は修
    正を迫られています。化石燃料や希少資源の枯渇も現実のものとな
    り、これまで通りの企業活動を続けていくことは早晩困難になりそ
    うです。今はCO2の問題ばかりが取り沙汰されていますが、もっと
    本質的なレベルで持続可能な経済モデルを作り上げることが、21
    世紀に生きる人類共通の課題となってくることは間違いありません。

    「課題」は、裏返せば「ビジネスチャンス」の存在を意味します。
    企業は持続可能性を「制約」と捉えるのではなく、「機会」と捉え
    ることによって大きく成功することができる。それが今、米国のグ
    ローバルな多国籍企業達が有する「常識」となりつつあります。

    持続可能性をビジネスとするとはどういうことか。一つには持続可
    能な技術を開発することです。自然エネルギーを利用するための技
    術や自然のシステムに学ぶ技術(ネイチャー・テクノロジー)の開
    発です。もう一つは、グローバル経済に取り残されてきた人々の暮
    しを向上させるためのモノやコトを普及させることです。ノーベル
    平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行のようなビジ
    ネスです。これは経済ピラミッドの底辺にいる人々を相手にするこ
    とからBOP(Base of the Pyramid)ビジネスと呼ばれています。

    本書は、後者のBOPビジネスについての解説が主となっています。
    政府やNGOによる支援ではなく、多国籍企業によるビジネスこそが
    世界の貧困層の問題解決につながるのだ、BOPにこそビジネスを持
    続可能なものにするためのヒントがあるのだ、という著者の確信に
    満ちた主張には思わず納得させられてしまう力強さがあります。

    先日、ウォルマート傘下の西友に転職した友人の話を聞いていたら、
    「サステナビリティは儲かる。とにかく早く手をつけて先行者利益
    とブランドをとる。それが米国企業のトレンドであり、現在の最大
    の関心事である」と豪語していました。その「米国企業のトレンド」
    を支える理屈を提供してきたのが本書の著者、ハート博士です。

    「サステナビリティは儲かる」と言い切るメンタリティにはあまり
    共感できないのですが、多くの日本企業が、CSRや環境保護活動で
    お茶を濁している場合ではなく、本業できちんと社会の課題解決に
    貢献しなければならない段階を迎えているのも事実ですから、本書
    (米国企業)の内容には耳を傾けるべきことが多いでしょう。特に、
    「土着化」と「コミュニティ」を重視している点は大いに見習うべ
    き点だと考えます。

    翻訳の質が低いのが残念ですが、ビジネスの「未来」を感じさせる
    一冊です。是非、読んでみてください。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    真の持続可能性とは、新しい形の「自然資本主義(ナチュラル・キ
    ャピタリズム)」を考え出すことだ。

    企業が環境保護以外に取り組むべき問題は、第一に、もともとクリ
    ーンな性質を持った新技術(再生可能エネルギー、生体材料、無線
    ITなど)の開発、第二に、経済ピラミッドの頂点にいるわずか8億
    人ではなく、地球上の全65億人に資本主義の恩恵を行き渡らせる
    ことだ。

    時代は、人類の生活を向上させ、失われた自然を取り戻すような、
    新しい、より包括的なビジネスを求めている。

    過激派の活動やテロなどを引き起こす状況、つまり貧困、失望、威
    厳の失墜などを取り除くことができて初めて人類は持続可能な世界
    に向かうことができる。

    この先10年間、商業史上最大級のチャンスが到来する。それが持
    続可能な発展であり、そのすべては、技術革新にかかっている。

    環境パフォーマンスと経済的パフォーマンスは必ずしも二者択一で
    はないのだ。創造力と想像力を使えば、世界の最も難しい環境問題
    を解決し、同時にお金を儲けることも可能なのである。

    企業は拡大主義から脱却し、小規模分散経営でグローバルな能力を
    身につけることを迫られている。

    グローバル化に取り残され、あるいはその被害者となった人々の本
    当のニーズに応えるために何が必要なのか、企業人には前もってわ
    からない。これまでやったことのない、彼らの声に耳を傾けるとい
    う、新しい能力が求められている。既存事業の既知の有力ステーク
    ホルダーと関わるだけでなく、周辺や「末端」にいる人々を割り出
    し、その考えを調査し、取り込むことが必要だ。貧困者、弱者、孤
    立者、無関心者の声、さらに地球に共生する人間以外の生物の声に
    耳を傾ける(もちろん、人間の通訳を介して)必要がある。

    共感できるかどうかは、じっくりと耳を傾け、異なった視点を持つ
    人々と徹底的に話せるかどうかにかかっている。

    力に頼ったやり方を改め、謙遜と相互学習の精神で地域の人々と共
    生することを目指す。信用、理解、尊重に基づく人間同士の関係を
    培うことから地域に埋め込まれたビジネスが生まれるのだ。

    この時代最大の課題かつ機会は、自然と文化双方の多様性を尊重す
    る方法で65億人すべての生活を向上させる商業の形を作り上げる
    ことだ。それ以外に持続可能な世界を実現する現実的で実行可能な
    方法はない。企業はその先頭に立つことができる、いや立たなけれ
    ばならないのだ。

    企業に足りないのは資源ではなく、想像力だ。持続可能性の大聖堂
    を建てるには、社員に自由にやる権利を与えなければならない。

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    ●[2]編集後記

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    昨日は畑の種まきをしました。葉もの中心ですが、娘用にイチゴの
    種も播いてみました。イチゴが大好きな娘は、種の袋を握りしめて
    自分で播くといってききません。が、袋の中から出てきた種は、本
    当に吹けば飛ぶような芥子粒様のもの。袋には一粒ずつ均等の間隔
    で播けと書いてありますが、そんなにうまくできるわけがありませ
    ん。種の小ささに途方に暮れ、親子ともに滅茶苦茶に播き散らして
    しまいました。

    こんな小さな種を一粒ずつなんて、農業というのは意外に緻密さが
    要求される作業なのだなと改めて思いました。他の種も自然が一番
    とうそぶきながら適当に播いてしまいましたが、ああ、やっぱり自
    分には緻密な作業は向いていないのだなあと妙に納得した次第。手
    作業は嘘をつきません。

    しかし、種というのは本当に小さなものが多いですね。こんな小さ
    くて乾燥したものから、あんなに瑞々しい植物が芽吹いてくるのが
    不思議でしょうがありません。

    「瑞々しい」と言えば、「みずみずしい」が「みどり」の語源だと
    先日友人から教わりました。「みず」を「みどり」の語源としてき
    た日本人の感覚に胸を衝かれました。やはり水は命あるものの原点
    なのですね。

    ちなみに、「水」の語源は定かではないものの、「満・充(みつ)」
    に由来するという説が有力だとか。「満つる」ものはやはり生命で
    しょうか。

    水つながりでついでに言うと、韓国語では「洞」と書いて「村」の
    意味だそうですが(「明洞」等地名に多用されます)、これは「さ
    んずい+同」ですから「水を同じくする」という意味になります。
    水はコミュニティの原点だと言うことでしょう。

    モンスーンアジアにとって、水は万物の根源。水の世界は知れば知
    るほど奥が深いです。

  • 経営セミナーのBOP関連の講義で参考図書として紹介されていたので読んでみました。ガラパゴス国内市場、北米富裕層市場に日本が注力している間に、韓国企業は、この様な分析をしっかり行い、新興国を責め、さらにBOPへも攻略を始めていたことを改めて感じました。BOP攻略の基本アプローチの概念は解りましたが、実践となると今までの固定概念や経験的思考を相当意識して変えないと駄目ですね。

  • マイクロファイナンスに興味を持ち始めた時に読んだ本です。 発展的なBOPビジネス、明るい未来を垣間見た、とても前向きになります。 登場するビジネスにエールを!

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