あなたには夢がある 小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡

制作 : 駒崎弘樹 
  • 英治出版 (2008年12月2日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760425

作品紹介

陶芸との出会いを機に、アーティストとしての自己にめざめた著者ビル・ストリックランドは、貧困地域の少年たちのために、19歳でアトリエを開く。犯罪と貧困におおわれたスラム街の片隅で、いつもジャズの曲が流れ、コーヒーの香りがただようその小さなアトリエは、やがて町の人々にとってかけがえのない場所へと変わっていった。美しいものが人間を変える-。アートを通じて少年たちの心を育む全米注目の起業家が、はじめて語った夢実現の軌跡と「人生を変える」メッセージ。

あなたには夢がある 小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡の感想・レビュー・書評

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  • はじめに断っておくと、この本のテーマは音楽のJazzではない。著者はスラム街で育ち、陶芸を始め、芸術スクールをたちあげ、貧民街に立派なスクールを作り、貧困(金銭的な貧困だけでなく、精神的な貧困も)の連鎖を断ち切ってきた社会起業家である。

    だけど、この本をビジネス書や社会起業家のコーナーに置くだけにしておくだけにするとしたらそれはあまりにも野暮ったい。Jazzのコーナーや、フランク・ロイド・ライトの写真集の隣や、花のランの写真集の隣に置くことこそふさわしい。この本の、著者の底流にあるメロディーは間違いなくそっちに近いのだから。

    著者の教育事業がやることはシンプルである。「私たちはどの生徒に対しても、成果の上がる同じやり方で対応している。つまり、生徒に高レベルな要求をし、難しい課題に挑戦させ、未知の才能を開拓する機会を与え、殆どの生徒が聞いたこともないような次のメッセージを伝えるのだ。『あなた方は、とても辛い境遇にあり、チャンスなど訪れないとなんども悲観し、夢は見るな、高望みはするなとずっと言われてきたかもしれない。しかしあなたがたには、満足の良く豊かな暮らしを送る権利があり、それを可能にする力もある』」

    生徒に成長してもらうためには、できると信じて期待しなければならない。そのためにはそれにふさわしい環境を与えなければならない。著者はおんぼろで当たり前と思われていた貧民センターを、フランク・ロイド・ライトに師事したこともある建築家に(高い!)設計してもらった。

    計算し尽くしていたわけではない。心がのぞむものに従っていただけだ。彼の人生はJazzだ。キャリア戦略もロードマップもなく、自分が生きたいと思うように生きてきた。素敵すぎる!!無性にJazzが聞きたくなる。

    ゴールをとりたてて設定することなく、直感を信じて現実的なことに集中した結果として、予測できなかった素晴らしい結果を得る。即興の極地じゃないか。

    ああ、この本のJazz的な魅力を伝えるのって難しい!!かくなる上は、ご本人に登場していただきましょう。TEDにビデオがあったので。僕もまだ見てませんが、間違いなく良いでしょう↓

  • 長らく積ん読だったが、非常に良い本。目の前の霧が晴れた気分。人は環境に左右されるが、影響を受けっぱなしではなく、自らの行動によって環境を変えることができる。それはどんな過酷な環境でも当てはまるし、生きること、夢を叶えることとは、そういうことなのだと理解。「今この瞬間に起きていることこそが人生」「本物の人生は道を辿るものではなく、情熱と大切なことの積み重ね」「チャンスが訪れた時に、受けとれる準備はできているか」「自分が心から喜べるものと、世界が飢えていることの重なる部分を探す」

  • ボランティアとして活動に参画させて頂いているNPOの将来計画として本書の著者の活動を参考にしていることを受け本書をとった。もちろん活動自体への理解はもちろんのこと、私自身への人生設計や捉え方への大きな指針となる勇気が出る内容であった。脳のフロー状態=ジャズのスウィング。(自身にとっては社会・人・世界と自分とのグルーヴィン)。野望ではなく熱意。美しいものは人を再生し、成長させる力がある。人に備わった「ジャズ」としての特質。どれも深く共感を感じた。著者にあってみたい。

  • 自分の原体験である陶芸教室がきっかけとなってスラム街を人間再生の街として変えていくという魅力あるストーリー。訳者は憧れの駒崎さん。
    驚くのは人を生き返らせる手法。陶芸などの芸術、ジャズなどの音楽、料理など身近な何かに没頭させることで人の気持ちに火を付けるきっかけを与える。成功体験(精神が高揚する体験)を引き金に大きな炎を燃やす。

    何といってもとにかくポジティブ。読み終わった後に待っているのは、爽やかで前向きな気持ち。何かをやろうという意欲が湧く。

    個人的な学びはいくつもあるけど、特に印象深いものを下記に記す。

    ⑴ゴールを定めすぎないこと
    著者も陶芸教室を始めたことがここまで発展するとは思わなかった。歴史を教える教師になるつもりだった。そんな中で陶芸教室は明確につながるものではなかったけど、無意味だからといってやらないという判断をしなかった。一直線に最短でゴールに向かうよりも、偶然を受け入れる少しの余裕を持つことが大事。

    ⑵自分の直感を信じること
    ランの美しさに感動してスラム街に温室をつくり、そこから園芸教室を開くところにつながるなんて予測だにもしなかった。けど、ランの美しさを信じていたらそこにつながった。なんでも意味が最初からわかっていることだけをやっていては面白くないし、発展していかない。自分らしく、自分の直感を信じること。

    ⑶人生の使命=自分の喜びと他人の飢えのマッチング
    単純だけど最後に1番突き刺さった部分。他人のためになることをやり続けるのは難しいけど、それが自分の喜びと一致していたらそれは人生をかけてやるべきものなのかもしれない。

    最近、色々と考えすぎていた。もっと気楽に直感を信じてやりたいことをやろうと思った。自分らしくていい。

  • なんなんだろう、この読み終わったときのぼやぼや感は。
    悪いものではない。

    なんだか芯の芯を突かれた気がしている。けど、私は自分の芯の芯を見つめようと思っていないので、まだその傷の深さに気づいてないのかもしれない。(それはそれで悲しい)

    不可能だと自分の価値観で決めつけてしまうことこそ、貧困と呼べるのかもしれない。

    そしてこの私こそ、貧困だ。
    すぐに「こんなの無理じゃん」とあっさり言って退けてしまうところがある。
    そしてこれを私は心底悪いと思っていないのだ。なんて問題なんだろう。

    すぐにはなおらないかもしれないので、まずは「これは不可能だろう!」と潔く思ったことがあっても、「まてよ、ちょっと信じる実験をしてみよう」と思えるようになることから始めようと思う。

  • 人は誰でも夢を叶える力をもっていると著者は言います。
    どうやって?その事例・実例として、彼が直接・間接的にinspireすることができたさまざまな人々のエピソードが織り込まれています。また、この本1冊を通して、彼自身がどうやって夢をかなえたかを語っています。
    誰でも夢を叶える力をもっている。彼自身もまた、その“誰でも”のひとりなのです。
    彼は、夢とは何かどんなものを夢というのか、その定義も語ってくれています。彼の言う夢とは、曖昧なものではないのです。
    レッテルを貼られた人々が自分を価値がないと思い込むように、わたしたちもまた、自分の物語には価値がないと思い込まされている、と彼は言います。誰かの物語を生きるのをやめて、自分自身の物語を語るように、と。
    私は私の物語を自分の言葉で語ることができないということに、気づかせてくれた本です。
    ここまでパワフルな本は、そうそうないと思います。とてもとても感動しました。

  • 世の中を良くするために働く社会起業家の強い信念が伝わってきた。
    みんながそれぞれ自分らしく生きていけるような世の中になったら、本当にいいな!と思った。
    私はこんなに強い信念は持てそうにないけれど、このような事業に関わりたいと思う。

  • 今まで感じていた社会への疑問、そしてこれからの自分が向かうべきベクトルが紐解かれた気分である。

    社会起業家の駒崎氏が翻訳したことで、手にとって読み進めていったが、ここまで人生を変える本だとは思いもしなかった。

    一人でも多くの方々に読んで頂きたい。そして、本当の幸せとは何かを感じとって欲しいと願う。

  • 「夢」ってなんだろう?

    不思議な言葉で、ロマンティックで、希望があって、でも、感傷的な気持ちにもなり、絶望を想像させる。

    それだけ魅力的なのだろうな・・・と思います。

    ビルは、
    成功とは、心の中のイマジネーションの世界で見つけたものを使って、作り上げるもの・・・
    と言っています。

    そして、その感動や興奮を追いかけて、

    自分が今持っていないものや今は自分には想像もつかないありえないことで、
    自分の未来を判断してはいけないことを

    ビルは、アートを通じて人に見えるカタチにした・・・

    それは全く簡単じゃない。

    だから、誰しもがこのようなカタチづくりをしようというのではなく、

    そのカタチをつくることができることは誰にでも出来て、
    そこにある自分の情熱をわかろう・・・感じよう・・・っとするきっかけにしてみてはどうかなと思います。

    どうカタチにするかは、それから決めてみたらいい・・・

    気分良くリラックスして、
    自分の好きなところで、好きな音楽などを聞きながら
    この一冊を楽しんでみては・・・

  •  ある方向に振り切れた本だな、という印象を受けた。家庭で家を守り続けようとしてくれた母親と、陶芸によってビルさん自身の人生を変えてくれたロス先生の授業、このふたつが基盤となって彼の人世は構成されているように感じた。
     「世の中の価値基準を気にしなくていい」「自分の情熱の赴くままに生きればいい」彼の本の中にはこのようなメッセージが多くちりばめられている。必要以上に(笑)しかし、この本によって背中を「かなり強く」押される人はたくさんいるのだろうな、と感じた。しかしそれとは逆にこの本が提示する「価値基準」が重くのしかかり苦しくなる人もいるのだろうな、と思った。
     彼が成し遂げたこととして本で取り上げられていることが大きく4つある。クラフトマンズギルド、マンチェスタービッドウェル、ランの園芸場、そして飛行機のパイロット。飛行機のパイロットに関しては少し違和感とやり過ぎ感を感じたが、それ以外の3つは読んでいて楽しかった。地元を愛し、自分が住んでいる地域の人々の状態と自身の体験から自分にできることを直感で取り組み続けている彼の姿勢にはとても感銘を受けた。感銘を受けたと同時に、(自分の頭の中に存在する思い込みとしての)世間の価値観やこの本が提示する価値観に良い意味でとらわれず、「これまで通り生きて行こう」と思った。
     最後に、ビルさんの言葉ではないのだが本文中で紹介されていたフレーズでとても感動したものがあったので、載せる。フレッドロジャーズという昔のアメリカのテレビ番組の司会の方の、番組を見ている子供たちに対しての言葉だ。

    「きみたちは、ただいてくれるだけで今日という日をすばらしい日にできる。きみたちの代わりは誰にも務まらないよ。ぼくはありのままのきみたちが大好きさ。」Fred Rogers

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