U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
- 英治出版 (2010年11月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862760432
作品紹介・あらすじ
未来から現実を創造せよ。人・組織・社会の「在り方」を鋭く問う現代マネジメント最先鋭の「変革と学習の理論」、待望の邦訳。
感想・レビュー・書評
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過去の経験から学ぶのではなく、未来から学ぶ方法が書かれています。
「プレゼンシング」がこの本の肝です。
1.この本を一言で表すと?
・未来から学ぶ方法
2.よかった点を3〜5つ
・ダウンローディング
→自分の思考が、かなりの部分がダウンローディングに依存しているのではないかと思い知らされました。
・4人のCEO(p165)
→実際に会社にいそうで現実味があり、納得できた。
・U の実践と24の原則(p544)
→Uの左半分の下りの部分が、他の本にはない特徴。プレゼンシングの部分がとくに重要ではないかと感じた。
・プレゼンシングの経験から現れた未来の可能性に照らして自分自身の可能性に照らして自分自身の意図を「試し」、明確にする。
→プレゼンシングを経験しない結晶化は意味がないということ。会社の理念なども同じことが言えると思う。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・内容自体はいいと思いますが、全体的に、表現が抽象的で難解。
・「感じ取る」を実際にやってみて、何も感じなければどうすればよいのか、いつまで待ち続ければよいのか。
・「領域構造」の図はよくわからない。
3.実践してみようとおもうこと
・毎朝、静寂の中で自分と向き合う時間をつくる
4.みんなで議論したいこと
・この理論を、具体的にどのように活用しますか?
5.全体の感想・その他
・この理論を実践して、結果を出した人はどれくらいいるのだろうか?
・書かれている内容がかなり抽象的で、実際にやってみないとわからない部分が多いと思う。
・自分自身に、Uの左半分の経験がないのがわかりにくさにつながっているかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分厚さにびっくりしたが、とても読みやすく自分の経験と照らし合わせて読み進めると理解しやすい。内省するのに自分にとってはとても大切な本。
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僕は幸運にも、訳者の中土井さんのU理論についての1日セミナーを受講できたけど、それでもわかったようなわからなかったような。500頁を超える難解なこの大作と向き合うには、それなりの決意と覚悟がいるような気がする。僕は今回途中で挫折したけど、本当に自分と向き合いたい時が来たら読んでみようと思う。でも、この内容が腹落ちした時は、人間を超える何かに進化した時かも知れない(笑)。自分なりの解釈で、何かヒントが得られたらそれでOKって割り切った方がいいかもね。
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ビジネス書に分類されているものの、内容はほとんどスピリチュアルや哲学に近い本。
既存のパターンの使い回しによるソリューション(本書では、ダウンローディングと呼ばれている)では、現在の我々が共有する課題や問題は乗り越えられない。著者は、我々が共有する根源的な問題を解決するためには、新しい創造、すなわち個を超えた源(ソース)につながり、最高の可能性を持つ未来を出現させることが必要と説く。
村上春樹がインタビューで、自らの創作手法について、意識の地下二階に潜って、何かを掴んで浮上することと語っていたが、それに類似している。
本書では、著者の洞察・経験に基づいて、最高の可能性を持つ未来を生成させるための、プロセス・手法が詳述されている。
かなり長いし、読んですぐに役に立つタイプのビジネス本でもないが、3.11以降の個人や企業が目を向けるべき方向が示された、数少ない本ではないかと思う。 -
2階集密 : 336/SCH : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410168297
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力作でボリュームがスゴイ。オカルトチックというかニューエイジっぽい感じもあります。人によっては拒否感が生じるかもしれません。しかしそれはメンタルモデルを取り扱っているからで、ある意味必然性もあるのかと思いました。かなり納得できるところも多いです。
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NDC(9版) 336.3 : 経営管理
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自分の思考が、ダウンローディングに依存してないか自己俯瞰するべき。
後半に行くほどスピリチュアルな感じになっていくので苦手。 -
個人が変革でなく、社会を変革するための理論。
内面に向かい合い集中し、手放し、その後再び集中して作り上げる。
最近ブームのサウナなどにも通じるものかもしれない。 -
”これからの時代にとても大切なことが書かれているように思う。腹落ちする理解のためには、この本について人と話すことが必要かも。1/25 の中土井僚さんのミニWSを受けて、レベル2 と 3 の差が少しわかった気がする。
<読書メモ>
★三段階の「気づき(アウェアネス)のレベル」(p25)
開かれた思考(マインド)
開かれた心(ハート)
開かれた意志(ウィル)
・私はこの出現する未来から行動することを「プレゼンシング(presencing)」と名づけた。プレシングとは「プレゼンス[presence:存在]」と「感じ取る[sence:感知する]」からなる造語だ。プレゼンシングの意味は、未来の最高の可能性を信じ、同調し、そこを起点に行動するということだ。(p39)
・意識の領域(アテンションフィールド)構造の違いを生みだすスタンスや立ち位置は4つに分類できる。
(1)私の中の私??習慣的なものの見方、考え方でものごとを認識する
(2)それの中の私??感覚や思考が大きく開かれた状況でものごとを認識する
(3)あなたの中の私??開かれた心(ハート)で同調し感じる
(4)今の中の私??私という存在の源(ソース)から理解する。すなわち、開かれた意志(ウィル)で注意を向ける
★Uプロセスの5つの動き(p52-53)
共始動(co-initiating)??人生があなたに求めていることに耳を傾ける
共感知(co-sensing)??もっとも潜在性を秘めた場所へ行く
共プレゼンシング(co-presencing)??静寂な場所に行き、深い叡智の源(ソース)を開き、内から出現しようとする未来につながる
共創造(co-creating)??生きている小宇宙(マイクロコズム)のプロトタイプをつくり未来への滑走路を用意することによって、実践を通じて未来を切り拓く
共進化(co-evolving)??より大きく革新的な生態系(エコシステム)をともに築き、人々が「全体を観て行動すること」によって境界を越えて互いに結びつける場所を確保する
・U理論は生きている場の理論であり、機械的・直線的なプロセスではない(p78)
・これらのまったく異なる探究と行動の世界で学んだことをひと言で表現するならば、「学習には二つの源がある。それは“過去”と“現れようとしている未来”だ」ということだ。(p90)
・二十世紀全体を俯瞰してみたとき、システム理論とシステム思考における最も重要な進展 by フリッチョフ・カブラ氏 (p146-147)
- 現代システムの思想家たちが、出現(emergence)という現象を歓迎したこと
- すべてのシステムと知は状況(context)に根ざしているということ
★組織学習と変化を阻む4つの障壁(p169-170)
1.見たことを認めない(認知と志向の分離)
2.思ったことを言わない(思考と発言の分離)
3.言ったことを実行しない(発言と行動の分離)
4.したことを見ない(行動と認知の分離)
・「人々の最高のエネルギーとコミットメントを結集できる、より高い目的は何だろう」(p184)
・サークルオブセブンにおけるベス・ジャンダーノア女史(p201-202)
- 何もしていないようにみえるのに、一瞬のうちに部屋全体と心と心のつながりを持ってしまう
- ベスはただ立ち上がり、心からの笑みを目に浮かべるだけで、すぐに全員を引きこんでしまう
→「とっても簡単なことです。立ち上がる前に心を開き、部屋中の人に無条件の愛を意識的に送るんです。30年以上やってきたことなの。それが愛の場というか環境を作るのです。サークルオブセブンという女性サークルと何年にもわたって関わってきたことが、そのように存在していられる能力を深めるのに力を貸してくれたのです」
・プレゼンシングの瞬間の「感情の動き」(p225-226)
取り組んできた課題は正しかったのだろうか、やってきたことは正しかったのだろうか。対象にした人々は的確だったろうか。(略)
階段に足を掛けた途端、足ががくがくしているのに気が付いた。(略)突如、彼らの前に立ったとき、私はばらばらになって崩れていくような気がした。私は死んでしまう。完全なもろさの瞬間。集まった人々と私は互いに見つめ合ったまま数分が過ぎた。物音一つ立てずに、永遠に。
不意に、すべてが変わった。私は空中にざわめきのようなものを聞いた。突然、優木が湧いてきた。我々がやっていることは正しいことだという確信からくる勇気だった。この未知を進むしかない。
・三種類のつながりとコミュニケーションの仕組みを確立し、未来への滑走路のプロトタイプを作る(p278)
上とのつながり…インスピレーション、直感や意図の最初のひらめきへつながること
横とのつながり…そのコンテクスト(環境)からのフィードバックに耳を傾けること
下との、または現場のつながり…現場の状況(コンテクスト)の中で速いサイクルのプロトタイプを実施し、それから学ぶこと
・組織は3つの軸で展開する(p291)
現行の価値創出の流れを統合すること(横軸)
継続的な革新と学習の並行的なシステム(縦軸)
変化する社会的状況との活発なつながり(第三の軸、つまり周囲の軸)
★3つの障壁(p313)
- 評価・判断の声(VOJ:Voice of Judgement)
- 皮肉・諦めの声(VOC:Voice of Cynicism)
- 恐れの声(VOF:Voice of Fear)
Uの旅があまり実行されないのは抵抗があるから。抵抗は内面から起こっている。
・図16-1 Uの空間と反空間(p336)
・図17-2 会話の4つの領域(p345)
↑ 出現する未来の具現化
プレゼンシング | 対話(ダイアログ)
←全体性の優位性??+???部分の優位性→
ダウンローディング | 討論
↓ 過去のパターン再現
★私は自分が橋の上に立っているのがわかりました。その状態に変化を起こすために飛び降りなければならないこともわかっていました。(略)「心を開きなさい。彼を通してお前を変えるのだ」。(p366)
#対話を引き起こすにはダイブが必要
・ジャム・セッション??ひたすら観察する(p369-370)
インタビューの記録の中で自分が大事だと感じた文を一人が引用して読み上げることから始める。その人はそれに感r念して、一言か二言何かつけ加えてもよい。そのあとしばらく間をとる。その休止が導火線となって別のメンバーが別の文を読む。(略)それはコラージュに似ている。それぞれの引用は絵の中の小さな断片だ。それらの断片から、やがて集合的に一つの絵が現れ始める。(略)メンバーは一つのリズムの中に入り、次々と読み上げられる文章の合間にあって言葉として表現されなかったもの??その間にある空っぽの空間??が語る音楽に耳をかたむけるようになる(深く潜る)。
#★これ、読書会でもできそう。
・ほとんどの人々が、個人としては会話と知のより深いレベルから機能することを望んでいるのに、今の現実はそうなっていない。組織やシステムの大半は、破壊の病理的パターンの中にがっちりと取り込まれている(略)
それは、図17-4に示された目に見えないプロセスの育て方がわからないからだ。そのプロセスとは、衝動のままに発言する前に、まず自分の意識の方向性を深めることである。(p378)
・ここでは組織をあたかも生き物であるかのようにとらえ、みてみよう(p406-)
★ですから組織横断型の協働(コラボレーション)とイノベーションの新しい形を実現する生きた例を作ることに、時間とエネルギーを注ぎたいと思っているのです。(p411)
・表20-1 出現の社会的文法 ?? 10のカテゴリー(p457)
・「どんなインタビューにおいても、耳を傾けるということが絶対必要条件だ、ということです。つまり聞き手である私にとって、私の内面に「他者」の為の空間を作ることが必要だ、ということです。」(p475)
★すべての人間は一つではなく二つである(p496)
一つは過去の旅路を経て現在に至った自分。もう一つは、今後の旅路を通して我々がそうなりうる可能性のあるまだ現れていない未来のの自分。未来の自分は、今の自分の選択と行動で決まる。
・最初の集まりを開くときは、自分自身を超える共通の目的を明らかにする。(p509)
★その努力は流れになるのだ。大きなコミットメントをすることで(犠牲ではなく)初めて、ものごとは前へ進む。ということは、基本的に自分がもっているすべてをあたえなければならない。(p514)
#chiedas 立ち上げのときは、全てを与えたと思う。
★手を使って探せ。考えず、感じろ。手にある知恵には頭は永遠にかなわない。(p521)
・ワークショップや集まりの場をファシリテートするときは、前の晩に少し時間をとって、自分の意図をそのグループやコミュニティの未来の最高の可能性に一致させる(p539)
★図21-7 Uの実践と 24の原則(p544)
#行動(実践)の視点から Uのプロセスをみたもの。
・プレゼンシングインスティテュートコミュニティジャパン
http://www.presencingcomjapan.org/index.html
メーリングリストは presencingjapan-subscribe@yahoogroups.jp から。
<きっかけ>
twitter で話題になっているのをきっかけに購入。著者オットー・C・シャーマー氏は『出現する未来』の共著者の一人。”