ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ 世界を変えてみたくなる留学

著者 :
  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760470

感想・レビュー・書評

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  • 今年のマイベスト本に間違いなく入選です。この時点で。
    それくらい衝撃的に面白かった。

    官僚だった著者がハーバードケネディースクールに
    留学したときの体験記。
    前半は講義録、後半は海外でのインターン経験を
    著者が余すところなく綴っている。

    「答えのない問題に対してどう取り組むのか?」
    政治・NPO・ビジネス…あらゆる答えのない問題に対して、
    著者やその周りの学生や教授たちはどう考え、
    取り組もうとしているのか、自分も一緒に考えながら、
    ページを進めていくと、本当に留学している気分になっちゃいます。

    自分は、今まで「学校」という場所のことを、
    教えてもらうところだという意識が強かったように思いますが、
    本来は自分で何をどう学ぶか自分で見つける場所。
    そんなハーバードに留学してみたくなっちゃいます。
    ま、まずは、英語ですな。。

  • 本書は、日本の財務省若手官僚が世界各国トップクラスの社会人達が集うMPPプログラム(Master in Public Policy:公共政策修士課程)を学ぶため、ハーバード大学ケネディ校にて留学した2年間を大学の授業や留学中の様々な体験を惜しみなく綴った記録です。行間から著者の心意気や熱気が伝わってきて、好感が持てます。

    特に印象的だったのは第4章。
    「リーダーシップは教室で学べるのか?」の副題で、リーダーシップを学ぶ授業の様子が紹介されています。
    これが面白い!
    池田さんのブログで、その一部を読むことができます。
    講義中に先生が消えてしまうなどの型破りで奇想天外な授業の様子が、まさしくワークショップそのものでした(本書に登場するミュージック・エクササイズが凄い!)。

    ブログ「ハーバードケネディスクールからのメッセージ」より
    http://blog.goo.ne.jp/ikeday_1977/e/4558feb483b8abe90ba4a80140812d98

    当然ながらリーダーシップは、偉大なリーダー達の話を聞いたり読んだだけで発揮できるものではありません。
    ハイフェッツ教授は、「Authority(権威)」と「Leadership」を明確に区別し、地位や資質・能力を意味する「Authority」に対し、「Leadership is an action.」であるということを様々な形態の授業を通じて受講生に伝えようとします。

    既存の方法では解を見い出すことのできない課題「adaptive work」について、皆で考え、何とか新たな解を見い出すために必要な「学び(learning)」を続ける空間を、”問い掛け”によって作り出すこと、そして集団が持つ資源を課題解決に向けて結集するよう働きかけること、を「頭の上と下(both above and below the neck)をつかって考えてほしい」としています。
    やはり頭で理解するだけじゃ駄目なんですね。首から下、つまり身体でどれだけ考え、理解できるか。
    また、この授業の中で、リーダーに必要なこと、あるいはワークを通じて次のことが強調されていました。

    1)Create Holding Environment(安心できる空間を作る能力)
    2)Create Interaction with Audience(観衆と相互に影響し合う能力)
    3)Improvise(即興の能力)
    4)Listen(耳を傾ける能力)

    1)Stay with your audience(聴衆とともにあれ)
    2)Make each word count(一つひとつの言葉を大切にしろ)
    3)Allow to silence(沈黙を許せ)

  • ハーバードでの講義内容などが綴られている。正直内容は過去のものであり、ふーんと言う感じだが、大学院のカリキュラムなどがよくわかる。
    reflectionについては、忘れがちだが大事な行為だと思う。

  • 財務省の官僚がハーバード・ケネディスクールで公共政策学修士号を取得する留学体験記。

    まずなんといってもよくまとめられている。体験記というと日記のように、ただ単にあった出来事を書いていくように思うけどそうではない。授業内容を事細かに紹介している章があり、実際にアメリカの大学院で授業を受けている感覚になる。特にリーダーシップの章は秀逸すぎる。自己啓発本としての要素も含んでおり、留学そのものに興味がない人にとっても面白く感じられるのでは。

    もちろん留学体験記としても良書。あとがきでも書いているけど留学を限りなく「体験」できる内容。
    興味深いのは留学で得たもの。最後にまとめて記述されているが、語学力が上がったことが全く触れられていないこと。
    代わりに出てくるのは"自分らしさ"について。
    語学力UPが留学の目的ではないにしろ、非常に面白い。

  • 素晴らしい本でした。文句無しの5つ星です。できれば、もっと早く、大学1年生のころに出会っていたかったですね。
    学生の方には強くオススメします。
    この本を通して感じたことは主に3つあります。
    1つめは、自分の問題意識と重なって勉強になった、ということです。この本の著者は、「激変する現代社会の中で、政策を担うのは政府だけではないだろう。色んなアクターが公共政策に参加していくべきではないか」という問題意識を持って、ケネディスクールの門を叩きました。私自身も先日、「政府が信頼されないのはなぜか」というテーマで発表を行ったばかりで、その中で同じ問題意識に辿りつきました。そうした観点から本が読めたことはとても勉強になりました。
    2つ目は、視野が広がった、ということです。本一冊で視野が広がるなんて、と思うかもしれませんが、この本にはそんな力がありました。
    そしてそれを可能にしてくれたのが、3つ目の、自分が感じたことを表現するのが上手いな、と私に感じさせてくれた著者の能力だと思います。自由で、それでいて素直な表現は、私に著者のケネディスクールでの経験を具体的にイメージさせてくれ、自らが授業を受けているような感覚を与えてくれました。同時に、そんな素直な表現は私のボキャブラリーを豊富にもしてくれました。

    学生の内にこの本を読むことで、視野が広がり、これから先の学生生活でできることの選択肢を増やすことができると思います。
    またそれだけでなく、文中で著者が自分に対してする「問いかけ」の一つ一つを通して、読み手である読者自身もつい自分を振り返させられます。これから社会に出る学生という身分の内に、そうした自分の振り返りを行い、自分が社会に出て何がしたいのかを問わせてくれる、そんな力も本書にはあると思います。
    とにかく、オススメです。

  • 勧められて数ヶ月、ようやく読みはじめ、読み終わった!
    故ケネディ元大統領の名言"Ask what you can do for your country"を真摯に追求し、あえてパブリックセクターに留まって変化を起こそうという若手官僚の男性の留学レポート。力に奢らず、「雄弁な語り手ではなく思慮深い聞き手であること」。誠実に生きるということ。自分の襟元を正したくなるような、生きた経験を走り気味の文章で綴られている。
    授業で扱う様々な事例に対する思考プロセスも覗き見ることができるようで、そういう意味でも面白かった。

  • 文句なくおすすめ。

     低所得者の厳しい生活、高齢者の孤独死、それらを政府の責任だとする意見は多々見られる。
     また、政府なんて信用できない!という意見は私も含め多くの日本人の中にある共通のオピニオンだろう。

     そのような私たちと同じ問題意識をもった財務省官僚の一人が著した一冊。


     政府に全てを任せていいのか?リーダーシップとは何だ?そういった数々の疑問を一緒に考えるのがハーバードケネディスクール。
     アメリカドラマでよく目にするセントラルパーク、グラミン銀行で有名になったマイクロファイナンス、NPOと企業をつなぐコモンインパクト。。。等々、書を置き、世界へ出ようというテーマのもと訪れる様々な現場の話は非常に興味深い。

     また、政府保護の下目まぐるしい発展を遂げてきた日本と自由主義と言う名のもとに市民一人一人の力で発展を遂げてきたアメリカとの国民性の違いについても言及してあり非常におもしろかった。

     機会があればこういう留学もいいな。

  • なんか自分のモチベーションもUPしてくれる良書 日本と世界のギャップというか、自分の視野の狭さを 著者が経験してきた視点を通して、ビッと指摘される感じもする。 様々な社会問題に対する、行政・民間のそれぞれの取り組み方、 あるいは協調のあり方を、実践的で生々しいケーススタディと 世界中の有志による鋭いディスカッションを通じて学ぶ、 そんな学校が世の中にはあるようです。 民間でよく使うマーケティングの理屈・手法もフル活用。 この事実からして目から鱗。 日本人からしてみれば、ハコモノとやゆされる行政について 本当に真正面から突っ込んで取り組む姿勢に感服するかんじ。 世界は進んでいるのですね。 とにかく、何事も学ぶ、考える、議論する、そして経験するという すべてに前向きな姿勢が伝わってきて、好感が持てます。 インドやケニヤでのNPO法人活動に参加、カトリーナの災害地での ボランティア活動を通じて見た行政・NPO、人材・資金の諸問題。 これら実体験をレポートする形式で、論文などは出てきません。 著者の人柄か、霞が関のヒトの割にはとても文体も砕けていて 専門用語も丁寧に説明してくれてます。 著者のような人が多ければ、日本の行政・NPOも変わるのでは。 自分のやる気も刺激されます。

  • 世界の第一線の人々が大学という場所でどんなことを考え、活動しているのかを読者の視点に立った筆者が伝えてくれる。

  • 著者の友人チュン氏がハーバードに挑戦することを決めた理由
    「自分を鍛えるため」

    このチュン氏の言葉がもっとも心に残った。

  • 【推薦者】
     四十万谷

    【一言コメント】
     猛烈な努力の末、ハーバードケネディスクールへの留学をした財務省
     若手官僚の体験記です。

     日本のために、世界を相手に、自分にも何かできることがあるかも、
     いや、やってみたい!! と思わせてくれる本です。

     日本の若手にはこんな人がいるのか・・・と衝撃を受けました。

     自分のスケール感を大きくしたいときにオススメです。

  • Ask what you can do for your country.
    自分の原点はここです。作者の池田氏にありがとうと言いたい!

  • 現役財務官僚がハーバードの公共政策大学院に留学中の経験をまとめた本。

    単なる留学本かと思いきや語学や入学準備などのことは冒頭にちょっと触れただけで、ハーバードの講義を臨調感をもって追体験できる濃い本。

    前半は「沈黙する教授のリーダーシップ論」や「官民恊働」、「命を守る逆マーケティング」などハーバードの名物講義・講演の内容の紹介と考察、後半はニューオリンズの復興ボランティアやインドのマイクロファイナンスを主な業務とする金融機関でのインターン、ケニアの孤児院など現場に赴く筆者の経験を紹介する骨太な内容。

    筆跡から日本の大学にはない学びの興奮が伝わってきて、ハーバードに行きたくなった。特にリーダシップに関する講義などは独特で面白い。

    全編を通して筆者の問題意識として取り上げられる、政府と民間(企業、NPOなど)の官民恊働については自分の問題意識にも繋がる部分があったので非常に示唆に富んでいた。あとAuthorityとLeadershipの違いなども新たな視点を与えてくれる。


    「よりよい社会をつくろう」という単純でともすれば青臭く、だけど熱くがむしゃらに頑張る筆者のパッションに共感

  • 講義の実況中継部分がやはり一番面白く、大学に入った当初の「これがずっと気になってたけど実際に研究のコンセプトとして存在してたんだ!」という素直な喜びと気づきがたくさん得られた章。
    ソーシャル・マーケティングとリーダーシップ、そして自分で作るケーススタディの難しさに思いを馳せる。

    後半での筆者の実地研修、実践をしていく過程は一貫したテーマはなく、迷っているというか探求しているさまが目に浮かぶ。民としてのNPOか、あくまで政府か、そのバランスに苦心していたように思える。

    官民の協働は理想的で目指すテーマなのだが、個人なのか、NPOなのか、中間団体である利益団体なのか、無数のvenueがあり、無数のバランスを構築していく難しさ、および喜び。

  • ビジネススクールといえば膨大な課題や議論を通じてビジネス理論と実践をがっつり学んでキャリアアップ、という認識が強い。
    もちろんそれもあるのだが、この本を読んでキャリアやスキルのアップ以上に関心を持ったのは、新たな世界に飛び出した先にある「わくわく感」だった。

    自分のように毎日同じ場所で同じ仲間と仕事をしている環境から考えると、個性豊かな学生と教授で賑わうケネディスクールへの留学自体も、そのような「わくわく感」に満ちたものだ。
    さらに筆者はそれに留まらず、カトリーナ被災地やインドの奥地といった様々なフィールドワークにも飛び出し、そこでしか得られない沢山のインプットをしている。今の自分にそれをやれと言われても足がすくんでしまうだろうが、読み進めていて伝わってくるのはやはり「わくわく感」。

    世界を広げるというのはこういうことなのかなと漠然と感じ、自分も新しい事に挑戦したくなりました。

  • 【対象】
    社会人で留学を考えている人には、現地の雰囲気を掴む上でとてもよい参考になると思う。また、今の社会を変えたいなぁと漠然と考えている人にはこんなアプローチもあるんだというきっかけ作りになるかも!?


    【感想】
    MPP ( Master in Public Policy 公共政策学修士)という魅力的な学問があるということを初めて知った。

    作者が自分と結構似た境遇だったのと、日本人的な発想・言動がそこはかとなく漂っているが、読んでて共感を覚えるとともに笑える。
    素晴らしいのは、現場を積極的に見て感じてこようとする姿勢。官僚がこういう人達で形成されていたら、今の日本もちょっとちがってくるんじゃないかなという期待はある。ただ、政府や国に任せるのでなく自分達でできることがないか・どうやったら一緒にできないかを考えだすことが重要だなと気づかせてくれたことが自分にとって一番の収穫だった。

    あと、リーダーシップのロナルド・ハイフェッツ教授のメッセージ(P334~340)は一読の価値あり。

  • ハーバード・ケネディスクールに留学した若手官僚のブログをまとめた本。読みやすいのだが、意外と分厚い。ケネディスクールがどんなところか垣間見える気はするのだが、逆にアメリカ留学が怖くなった・・。

  • 財務省若手職員が2年間のハーバード・ケネディスクールの経験(ブログ)を書籍にしたもの。寝る前に読むつもりが面白くて一気に読みました。ケネディスクールの授業が疑似体験できる。ソーシャルマーケティング、インド農村部のマイクロファイナンスの事例にせよ、考えさせるものが多い。今ドラマ化している「官僚たちの夏」より全然お勧めです(あれは時代遅れの感あり)。

  • MBAではなく、公共政策大学院はどんなところ?と思って読んだ1冊。

    学ぶことのプログラム自体はMBAと重複する部分はあるものの、何の為に学ぶのか?ココロの根ざす部分が2つの間では大きく違うのだろうな、という印象をうけた。

    具体的には、MBAは「ビジネス(企業活動を継続的に成功するためには?)=営利」、公共政策大学院は「社会(社会システムが継続的に機能するためには?)=非営利」というイメージ。
    なんか言葉にすると当たり前ですが、「お金が大事?それより大事なものがある?」という部分で、考え方・価値観が大きく異なる気がする。

    そして、貧困とか災害支援とか、やっぱり現場にいることで感じられるもの、必要としているものがあるんだということを改めて認識した。
    使い古されたフレーズだが「事件は現場で起こっている」のである。
    マイクロファイナンスもそれだけでは機能していなくて、以下のような問題を解決しなければいけない。
    ・低生産性の継続・・お金の使い方がわからない
    ・一農家だけではコントロールできないリスクの存在・・自然災害や家畜の病気や事故など
    ・マーケットの適正価格との接点がない・・頑張ってつくっても結局買い叩かれる

    そして、最後のまとめで印象的であったのは「無理に計ろうとするな」ということ。人はすぐに成果を目に見える形で求めがちだが、100人を助ければ200人、200人を助ければ400人と求め続ければ際限がない。
    今、この場で出来ることを大事にしよう。ということを心に留めたい。

  • かなりおすすめの一冊です。感動します。留学したいと思っているひとにはもちろん、なにかを前向きにがんばりたい!と思っているひとにはぴったりの本です。

  • 官から民へだけでなく官のテコ入れも(57頁)

    対象となる公益を明確に定義する(62頁)

    ニーズとウォンツを区別(80頁)

    リーダーシップと権威の違い

    権威は、Protection, Direction, Order
    リーダーシップは、Group Dynamics
    Courage to keep asking

    “よい政策”の企画・立案ではなく、効果的・効率的な政策の実施・レビューが求められる(208頁)

  • ケネディスクールでのパブリック・プライベート・パートナーシップ、
    ソーシャル・マーケティング、リーダーシップといったユニークな授業、
    ニューオリンズでの復興ボランティア、
    インドやケニアでのインターンを疑似体験させてくれる本。

    筆者の率直な目線で書いてあるから、入り込みやすい。
    本に書かれている部分だけじゃ物足りない!と思ってしまうほど面白かったです。

  • (Toshi)
    今年読んだ本の中では文句なく一番面白かった。(まだ2カ月だけど)

    筆者は早稲田出身でハーバードケネディスクール(公共政策大学院)に留学した財務省キャリア。
    この本の中では彼の目線はいい意味でニュートラルで、一つ一つの物語が非常にわかりやすく語られている。

    何より特筆すべきなのは、「公共政策」という、ともすればわけがわからないものを、非常にわかりやすく語ってくれている点だ。

    僕は官僚・政治の世界はあまりにステークホルダーが多すぎることにうんざりして、自分のキャリアの選択肢に入れないことにしたが
    パブリックな問題解決の妙味がとても魅力的に描かれており、自分の選択を少し後悔してしまうほどワクワクさせてくれる本である。

    例えば、
    ・ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの復興支援期間
    ・インドのマイクロファイナンス
    ・ケニアのHIV解決機関
    ・大企業と草の根NPOをつなぐ架け橋のソーシャルベンチャー

    などなどが抱えるめちゃくちゃ複雑な問題を、
    マーケティングやファイナンスといったビジネススキルに、
    更にパブリックの要素を加えて何とか問題解決をしようとする様は
    むちゃくちゃ面白そう。

    そして、僕個人としては、将来的に携わりたい教育・子ども関係のことについて調べていく際に
    アメリカのNPOとかソーシャルベンチャーを調査すれば面白いものがあるかもしれない、という大きな学びもあった。

    留学体験記系ではハーバードMBA留学記があるが圧倒的にこちらをオススメする。
    (性格が違うのはわかった上で、単純に「留学」による「未知なる広い世界」をより体感できる本、として。)

  • 今年読んだ本の中では文句なく一番面白かった。(まだ2カ月だけど)

    筆者は早稲田出身でハーバードケネディスクール(公共政策大学院)に留学した財務省キャリア。
    この本の中では彼の目線はいい意味でニュートラルで、一つ一つの物語が非常にわかりやすく語られている。

    何より特筆すべきなのは、「公共政策」という、ともすればわけがわからないものを、非常にわかりやすく語ってくれている点だ。

    僕は官僚・政治の世界はあまりにステークホルダーが多すぎることにうんざりして、自分のキャリアの選択肢に入れないことにしたが
    パブリックな問題解決の妙味がとても魅力的に描かれており、自分の選択を少し後悔してしまうほどワクワクさせてくれる本である。

    例えば、
    ・ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの復興支援期間
    ・インドのマイクロファイナンス
    ・ケニアのHIV解決機関
    ・大企業と草の根NPOをつなぐ架け橋のソーシャルベンチャー

    などなどが抱えるめちゃくちゃ複雑な問題を、
    マーケティングやファイナンスといったビジネススキルに、
    更にパブリックの要素を加えて何とか問題解決をしようとする様は
    むちゃくちゃ面白そう。

    そして、僕個人としては、将来的に携わりたい教育・子ども関係のことについて調べていく際に
    アメリカのNPOとかソーシャルベンチャーを調査すれば面白いものがあるかもしれない、という大きな学びもあった。

    留学体験記系ではハーバードMBA留学記があるが圧倒的にこちらをオススメする。
    (性格が違うのはわかった上で、単純に「留学」による「未知なる広い世界」をより体感できる本、として。)

  • 公共政策大学院であるハーバードケネディスクールの授業について書かれた本。

    実業、公共的な貢献の実用に目指した授業の方法が書かれている。

    いかに、頭を使って今までの方法を参考にしながらもそれに囚われないか。

    これらの教育が非常にうらやましく見えます。
    とってもオススメの一冊で、これを読んだらきっとケネディスクールに行きたくなると思う。

    ボランティアについて触発された。

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著者プロフィール

1977年タイ・バンコク生まれ。2001年に早稲田大学政治経済学部を卒業、財務省に入省。主計局、広島国税局、金融庁を経て2006年秋よりハーバード大学ケネディスクールに留学、2008年6月に公共政策学修士号を取得・卒業。以後、財務省国際局にて、世界金融危機への対応、世銀と日本の協働プログラムの企画・立案等の担当として活躍。2011年夏より世界銀行に出向。バングラデシュ現地事務所での2年間の勤務を経て、現在ワシントンの本部にて、世銀をより成果重視の機関とするための組織改革に従事。 公務の傍ら、「官民協働ネットワークCrossover21」を2001年に創設。官と民、営利と非営利、年齢や国境、あるいは前例や先入観等、様々な壁を乗り越える力を高め、社会問題解決に向けた協働のきっかけを創り出すための勉強会、討論会等を代表として多数主催。著書に『ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ――世界を変えてみたくなる留学』(英治出版)がある。

「2013年 『バングラデシュ国づくり奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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