働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む

著者 :
  • 英治出版
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760913

作品紹介・あらすじ

外資系金融機関で働いていた26歳の著者は、ある出来事をきっかけに、同世代の仲間を募って風変わりな組織を立ち上げる。目的は、みんなの空き時間を集めて貧困をなくすこと。取り組むテーマに選んだのは、児童養護施設を通じて知って、日本社会を蝕む「子どもの貧困」問題だった-。

感想・レビュー・書評

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  • 慎さんの本は「15歳からのファイナンス理論入門」始め何冊か読んでいます。

    たまたま子供の貧困問題に興味を持っていたところ、慎さんがパートタイムでのNPO活動を通じてこの問題に取り組んでいるということを知りました。

    慎さんが本文で述べているように、まずは関心を持ち、小さいことから始めようと思います。

  • 僕自身がボランティアで参加しているNPOの代表の著書です。活動を通して知った事は、世の中にとって良いと自分が思った事を発信し続ける事で、そのアイデアが的を得たものであれば、共感の輪が少しずつ広がっていくという物です。
    社会養護に興味がある人にはもちろん、日本をとりまく貧困の問題や、広く社会問題に取り組みたいと思っている方まで、是非手にって貰いたい本です。

  • タイトルから想像するのとは違い、
    児童養護施設の直面する現実について、著者の施設での実体験と統計等の客観的な情報の両面から語られる、興味深い内容だった。
    10年前の著作なので社会状況や制度等は変わっている(良くなっていると良いが…)とは思うが、一読の価値はあると思う。
    福祉や保育に直接従事していない普通の人、かつ優秀なビジネスパーソンだからこのような本が書けたのではないか。

    自分も会社勤めをしながら、何か社会にできることはないかと手に取った一冊だったが、良い意味で、それはとても難しく甘い考えだったのかなと思った。
    まずは知る、そして周囲とそういう話をする、何かしら関わりを持つことから始めたい。

  • 「児童養護施設でボランティア・実習をするんですが
     事前学習として何を読んだらいいですか?」
    と聞かれたら、この本をおススメする。

    第2部「分析」を読めば、
     児童養護施設に入所するに至ってしまう社会状況、
     虐待をうけた児童の特徴や
     児童養護施設の運営や職員の奮闘について
    平易な言葉で書かれている。
    また、児童養護施設「内部」の描写だけではなく、
    「外部」状況と上述の問題との関係性についての
    説明・分析も詳しい。

    そして、他の人の感想・レビュー・書評に
    児童養護施設の現状を知るための良本である
    といった趣旨の記載が多いことも、
    おススメできる理由である。

    ・・・・
    『働きながら、社会を変える。』
      自分も挑戦したくなった。

  • 2018.10読了。
    久しぶりにグッとくる本に出会った。

  • 著者が子どもの貧困について関心をもち、実際にアクションを起こして世の中を変えていこうとする話。
    子どもの貧困に関する事実などについてはすでに知っていることが多かったが、専門家ではないのに分かりやすくまとめられていた。
    そして児童養護施設を訪問し、住み込みまでしてしまう行動力はすごい。真の問題を探るために、現場を知るというのは重要だが、なかなかできることではない。外からではあるけれども、他人事と済ませるのではなく、きちんと向き合おうとしている。自分も寄付だけでなくもっと行動できることがあるのではないか。

    今後心にとめておきたいこと。
    「自己肯定感は日ごろのちょっとしたことの積み重ね」
    「社会の一つの役割は、人の運命が紙の偶然に翻弄されることを防ぐことにある」

    折しも、「児童養護施設で暮らせる期間 22歳まで延長へ」というニュースが入ってきた。喜ばしいニュース。

    購入してそのままになっていた「貧困の終焉」を読んでみたい。世の中を変えるのは2.4%の力でいいという。よく言われる「一人ひとりが」という文言を数字で表すとこういうことだろうか。

  • 社会起業の方法の本かと思い買いましたが、児童養護施設の支援ボランティアの話が中心でした。しかし施設の実態は衝撃的で、実体験に基づいたお話は非常に説得力がありました。

    素人ボランティアがあれこれ口を出すよりも、本来の専門分野で貢献したり、お金を出したりする方が子供たちの役に立つようだと感じました。

    とても大切なことが論理的かつ実体験に基づいて書かれているので、ぜひ多くの人に読んで欲しいです。

  • こういう本を読んで、よし俺も!と思ってもなかなかまねできるもんじゃない。別に真似しなくてもいいし。
    作者の「社会を変えたい」という視線の先が弱者に向いているところに、非常に共感を覚えるし、若い人がそういうことに真剣に取り組んでいることがとても素晴らしいと思う。
    つまり、24時間死ぬまで働け、とかグローバルに勝つためには年収100万でも我慢しろ、とか、そういう世の中を是としてほしくない、と思って具体的なアクションを起こしてくれたら、それは素晴らしいことだ。

  • 個人的にはもう少し、この本で「働きながら」「社会を変える」ことそのものを知りたかったのですが、
    どちらかと言えばこの本は、「社会を変える」ことが目的だと思います。

    この本の趣旨は「児童養護施設の現状について」です。
    「社会起業家」って何?
    「NPO」って何?
    ということを知りたくて、タイトル買いした私としては、若干目的と違いました。

    ただ、すごく学ぶことが多かったです。
    こんなに日本が貧困なんだとか、千葉の恩寵園事件とか、すごく自分が知らないひどい世界があること。
    自分が子供の頃に受けた教育や育った環境は、知らずうちに身についてしまっていること。
    なぜかNPOの人の多くはExcelが得意だということ。
    (ちなみにこの本を見て、Excelを勉強し始めました。笑)

    そして何より、
    情熱×スキルで道は拓けるということです。
    果たして今の仕事をしていてどんなスキルが付くかは分かりませんが、人に関わる仕事という経験を生かせるようになるまで、仕事に打ち込みたいなあと思います。

  • ビジネスパーソンが書いた本は、スマートで分かりやすく、余計な主観を挟まずに真っすぐ心に届く。そんな印象を受けた。

    読み始めて10ページもしないうちに、この本は面白いと思った。
    まず書いている人の頭が良いし、恣意的に人の心情を揺さぶるような感情表現が無いし、事実を事実として真っすぐぶつけ、それでも心が動かされる現実があることを教えてくれる。
    非常に僕の好みのタイプの本と言える。

    カタリバ大学で児童養護施設の話は少し聞いていたが、これも非常に大きな教育問題の一つであるのだろう。
    3keysやBridge for Smileなど、数ある有名な団体の存在が僕の耳に届いているのもその証左の一つだ。

    間違いなく「機会」を奪われた子どもたちが、そこにはいる。
    カタリバで初めて定時制高校へ授業しに行った時も似た感覚を得たが、きっとそれよりも深刻なのだろう。

    幸い、彼らの問題へコミットすべく誰にでもできることの一つとして、筆者はお金を稼いでしっかり税金を納めることを挙げていた。
    そしてできることなら、収入の2.4%を寄付すれば、先進国の人間の最低限の額は貢献できたことになる。

    タイガーマスク運動が騒がれた時期もあったけど、実はあれもまだ密かに続いているらしい。
    一過性に終わらず、もっともっと広がってくれたらいい。
    俺なら、2.4%とは1ヶ月に500円程度。
    どこかに寄付契約してもいいかなあ、と思えた。そいえば確か、カタリバも一ヶ月一口1,000円だった気がする。

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著者プロフィール

1981年日本生まれ。朝鮮大学校法律学科卒業後、早稲田大学大学院ファイナンス研究科に入学、修了。大学院在学中からモルガン・スタンレー・キャピタルで働き始め、同社のグローバル不動産投資ファンドの運用における財務モデルの作成や負債管理システムの構築などに従事。2010年からはユニゾン・キャピタルに投資プロフェッショナルとして入社し、投資の実行、売却、負債リストラクチャリング他、数多くの投資プロジェクトに従事。金融プロフェッショナルとしてのキャリアの傍ら、2007年に認定NPO法人Living in Peaceを設立し、機会の平等を通じた貧困削減のために活動。2009年には日本初となるマイクロファイナンス投資ファンドを企画。国内では、親と暮らせない子どもの支援に従事し、これまで二つの児童福祉施設の新設に関わる資金調達支援、退所後の子どもの就学資金支援、政策提言活動などを行ってきた。2014年7月に五常・アンド・カンパニー株式会社を創業し、2015年10月時点で、カンボジア、スリランカ、ミャンマーにある子会社を通じて現地の貧困層にマイクロファイナンスを提供している。

「2015年 『ランニング思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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