知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ
- 英治出版 (2011年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862760975
作品紹介・あらすじ
勉強会、講演会、セミナー、イベント、ワークショップ…「わくわく感」をつくる技法。知がめぐり、人がつながる場のデザイン。
感想・レビュー・書評
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著者が、全てではないだろうが、新しいテーマでこの「ラーニングバー」を準備する時にすることや考えていることを、惜しげも無く、ある種、赤裸々に語っていることに、そして、実際に200人にも及ぶ社会人の参加者を集めて学びの場を作り出し、その中からアクションを起こすが出てきていることに、対象は全く異なるが教育実践者として敬意を感じる。Driving questionを立て、対話を引き起こす経験材料としてゲストスピーカーを呼び、学び手が協同で学んだ結果、自らアクションを起こすことを目指すという形は、自分も従事する初等教育における探究型の学びに一致している。
自らの学びとして、設定したテーマに関する文献を何十冊も読むと見取り図ができる。その見取り図を元に、講師の選定とともに「参加者の思考をかきたてる良質の問いかけ」を設定する。それが、参加者がそれぞれに違った見方や意見の判断を保留して鑑賞・吟味しあう「対話」を起こし、リフレクションが生まれる。
このプランニングの過程は、まさしく探究型の学びを自ら実践しながら授業で学びを導いて行く探究型の教員があるべき姿であろう。
Learner-centeredであって、参加者みんなが楽しみ、形成的評価を忘れない、そして、崩すことも厭わないが、造り込むことによる丁寧な学びの過程は、自分が心がけてきたことでもある一方で、完成形のない尽きることのない工夫や改善が生ずる場だと思われる。
残念ながらこの場に参加したことはないが、書かれているように、自分も毎日の授業からは少し外れた、児童や保護者を対象にしたラーニングバーを企画実践したいという思いを持つに至っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
場づくりの参考になった!
・アイスはブレイクするもんじゃないメルティング
・聞くは最小限にして対話対話
・参加者が場の創り手になる仕掛け
・あなたの日常は私の驚き、私の日常はあなたの驚き
・倒置と異化でアンラーン
・モヤモヤを残す -
中原淳准教授の話題のラーニンバー、組織を超えた「大人の学び場」の仕組み作りについてまとめた語った一冊。一方向の講演ではなく、対話しながら学ぶ場づくりが詳細に描かれている。メモ。(1)教育技術や学習技術はオープンに流通し、語られ、消費され、世代継承されていくべきもの。オープンソースであり、使い手に解釈可能性があり、改変する自由があるもの。(2)良質な問いがなければ対話は生まれない。対話無きところに内省は生まれない。(3)何らかの業務経験をコアにしつつも、必要に応じてある経験知をunlearnし、学習し直すことの出来る個人、「ラーナビリティ(学習可能性)が高い」個人、変化可能性のある個人が求められている。学びの経験を通じて、他人の日常を自身の驚きとして取り入れ、裂目を入れていく(気付き)を得ていくことが大事。
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経営学習論,組織行動論を専門とする研究者が,プロデューサーとして,自身が運営してきたラーニング・バーの経験を綴った書。
マニュアルではなく,あくまで場のデザインのヒントがちりばめられている。
言うは易く行うは難しであろうことは容易に推測できるし,著者自身もそのことを踏まえている。その点で,本書はバイブルでも,手引書でも,本書を読んだだけでラーニング・バー,あるいはそれに類する何らかの場をすぐさまデザインできるわけではない。
ただし,いろいろなドライブにはなりうるであろう。
コミュニティ作りは知識を貯めつつ実践あるのみ。
そう感じさせてくれる本でした。 -
対話を取り入れたラーニングイベントの作り方が、裏側も含めてとても詳しく書かれています。当日の運営や流れなど、背景や目的に言及しながらの詳しさです。
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2011年に出されたとは思えないほど新鮮で、いま各業界で実施されているワークショップの源流なのではと思えるラーニングバーの仕掛けの裏側を見ることができた。少し抽象度が高い?
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普通のワークショップやワールドカフェともちがう、色んな要素をごちゃ混ぜにしつつ一本芯の通った作り方ですね。
ノミニケーションと建設的なディスカッションの混ぜ方に苦慮していたので、大きなヒントになりました。 -
途中で気づいた、この人『職場学習論』を書いた人だ。
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五年前の本である。感慨深い。学習についての社会的な流れが大きく変わってきている中でこの本の在り方も変わってきている気がする。現在、学習環境・経験について参考にするために本書を読んだが視点と領域は重ならなかった。少し残念。