学習する組織――システム思考で未来を創造する

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761019

作品紹介・あらすじ

経営の「全体」を綜合せよ。マネジメントの形を根本的に変えたベストセラー経営書。

感想・レビュー・書評

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  • 時間をかけて唸りながら読みました。良書。

    いかに学習する組織の少ないことか。。。
    そして自分の組織は学習する組織でありたいと思う。

    以下、フレーズの抜粋。

    ・問題はどんなビジョンかではない。ビジョンで何をするかだ
    ・人は変化に抵抗するのではない。変化させられることに抵抗するのだ
    ・組織を設計することは理性の力を超える
    ・私たちはより賢く働く代わりに、単にがむしゃらに働いていた
    ・私たちは昔から上司への報告を書くのはお手の物だが
     自分の経験から学ぶことは必ずしも得意ではない
    ・上司を相手にするときは「約束は控えめに結果は期待以上に」
    ・過去の戦略や経営上の変更、リーダーシップのアプローチにおいて
     何が成功し、何が失敗したかを調査することに
     自分たちの組織がほとんど資源を投資していないことは
     まさに職務怠慢と言ってよい

  • かなり良書

    ビールゲームの罠というロールプレイの話題が興味深く、システム思考に関してかなりわかりやすくまとまっている。

    企業組織系のプロジェクトに携わる際は再読したい

    個人的にも学習のディシプリン、とくに自己マスタリーに関する意識をもち、より良い生き方をしていきたいなとぼんやりおもった

    再読となるが、かなり良書です

  • 分厚い本ではあるけど、この思考を理解し、実践できてる組織は強いと思わされる。

    個人的に、この本の最も重要なポイントを3つ挙げるとするならば、

    ・リーダーは、自らが学習者、実践者であり、システムの設計者になること

    ・状態はシステムによってもたらされ、すべて、その一部としてつながっている

    ・共有ビジョンを持ち、現実をデータで正しく認識し、システムそのものが自ら回り続けるように取り組むこと

    このあたりが主なメッセージだと解釈した。


    以下は気になったところを抜粋↓

    ・特に変化の激しい環境下においては、ジャズプレイヤーがその場やその演奏者の状況を見ながら適応する即興が協働の質を左右するだろう

    ・学習する組織では職位に関係なくすべての人がその時、その場でリーダーとなり得るのである

    ・学習する組織は、「いかに私たちの行動が私たちの現実を生み出すか、そして私たちはいかにそれを変えられるか」と言うことを人々が継続的に発見し続ける場である

    ・民間セクターには、公共セクターや教育セクターにはない、そして往々にして非営利組織にもかけている「実験する自由」がある。また、ビジネス部門には明確な最終損益があるので、実験を客観的な基準によって評価することができる。

    ・職業は何かと聞かれると、大抵の人は、自分が毎日どういう職務を行っているかを話すばかりで、自分の属する事業全体の目的については語らない。属しているシステムに自分が影響を及ぼす事はほとんどない、あるいは全くないと思っている人が大半だ。

    ・組織内の人たちが自分の職務だけに焦点を当てていると、すべての職場が相互に作用した時に生み出される結果に対して、責任感をほとんど持たない。

    ・各プレイヤーは、充分やる気があり、何が起こり得るかについての理にかなった推測に基づき、明確に正当化できる判断を行った。悪人は1人もいなかった。にもかかわらず、危機は存在していた。このシステムの構造に組み込まれていた危機があったのだ。

    ・個々の行動を形作り、ある種の出来事が起こりやすい状況を作り出している、根底にある構造に目を向けなければならない

    ・面白いことに、ビールゲームや、他の多くのシステムでは、あなたが成功するためには他の人も成功しなければならないのだ。

    ・効果が現れるのを待つ。パニックに陥らない。

    ・なぜ構造の説明が非常に重要かと言うと、それを持ってしか、挙動パターンそのものを変えられるレベルで、挙動の根底にある原因に対処することができないからだ。

    ・30番街で麻薬密売人を逮捕すると、やがて単に犯罪の中心を40番街に移しただけだということに気づく

    ・相殺フィードバック⇨良かれと思って行った介入が、その介入の利点を相殺するような反応をシステムから引き出す

    ・長期的な依存につながる短期的な改善は非常によく見られる現象で、システム思考家の間では「介入者への問題のすり替わり」と呼ばれている

    ・どの分野であれ長期的な解決策は「システムがそれ自身の問題を引き受ける能力を強める」ものでなければならない

    ・原因と結果が時間的にも空間的にも近くにあると言う考えを手放すこと

    ・誰も悪くない。あなたも、他の誰かも1つのシステムの1部なのである。

    ・環境の危機は非常に厄介なのである。自己強化型のパターンをたどるものは特にそうだ。問題に注意が向けられたときには手遅れの可能性があるのだ。

    ・システムにはシステム自身が目指すところがある。暗黙の目標。バランス型のシステムには、何らかの目標または目的を維持しようとする自己補正能力がある。

    ・問題のすり代わりの構造が見られるのは、農家が作物を栽培しなくてもよいように救済する食糧援助政策や、一時的には害虫を駆除するものの、同時に自然の点滴による害虫駆除機能も排除してしまい、将来再び害虫が大発生しやすくする農薬などがある。

    ・良かれと思ってなされた解決策が実は長期的には状況悪化させると言う挙動は、問題のすり替わりの構造によって説明することができる

    ・はじめのうちは意識的な注意や努力が数多く必要だ。その仕事に必要なスキルを学んでいくにつれて、活動全体がだんだん意識的な注意から潜在意識のコントロールに移行していく。

    ・創造的緊張の原則では、潜在意識が最も効果的に働くのは、ビジョンと今の現実に焦点がぴったり合っている時だと認識されている。

    ・潜在意識は、特に心の1番奥深くにある志や価値観に沿った目標を受け入れるようだ。

    ・振り返りの基本スキルは、口で言っている事と実際の行動との乖離をとらえることだ。(人は信頼できる⇨友人にお金を貸さない)

    ・信奉理論と現在の行動との乖離が認識されない限り、どんな学習も起こらない。

    ・最も生産的な学習は、通常、主張と探求のスキルが融合された場合に起こる。全員が自分の考えを明らかにし、公の検証にさらすのだ。

    ・主張と探求のバランスが取れている場合は、データを却下することにも、データを確認することにも抵抗感がない。なぜなら、真に関心があるのは、自分の考え方の欠点を探し出すことだからだ。

    ・相手が自分の考えの探求を受け入れるようには思えない場合、どんなデータや論理があれば考えが変わり得るのかを聞いてみる。

    ・組織全体が、真実に忠実であること

    ・共有ビジョンは、「あの人の会社」ではなく「自分たちの会社」となる

    ・現代の組織のほとんどでは、参画している人は相対的にごく少数である。コミットしている人はさらに少ない。大多数の人は追従の状態にある。

    ・優れた結果を出せる人とは、ビジョンを保持しながら、今の現実をはっきり見ることに全力を投じることができる人だ。この原則は、組織にもそっくり当てはまる。

    ・優れた組織の証は「悪いニュースがどれだけ早く上に届くか」

    ・健全な、生きているシステムでは、管理は分散されることを私たちは知っている。

    ・振り返りは仕事の遂行の1部として位置づけなくてはならない。何が起きたか、何を予想していたか、この乖離から学べる事は何か。

    ・リーダーの役割は、船長と考えがちだが、船の設計者である。設計者ほど、船全体に影響を及ぼすものはいない。

    ・邪悪な指導者は、人々に罵られる。善い指導者は、人々に尊敬される。偉大な指導者は、人々に「これを成し遂げたのは我々だ」と言わしめる。

    ・偉大なる教師の周りには学習する人がいる。偉大なる教師は学習する場を作り出し、人々をその場に招き入れる。

    ・真の教師になるためには、まず、学習者にならなくてはならない。実際に、教師自身の学習に対する情熱は、その専門家としての知識と同じ位、生徒たちに刺激を与える。

    ・単なる提唱者や伝道者ではなく、実践者でなくてはならないのである

    ・最終的に最も有能なリーダーになった人たちは、階層や職務が何であれ、必ずや真の学習者でした。

    ・進化は「保全から生まれる変化」のプロセスである

    ・大事な事は、再度働きかけをしなくても良いように、改善を試みること 

  • 「学習する組織」の原典ともいえる"the fifth discipline"の2nd editionの完訳版。
    原書の2nd editionは、1st editionから100ページくらい増えていて、これまでの翻訳「最強組織の法則」は1st editionからの抄訳だった。

    まずは、ざっと一読した感じは、「最強組織の法則」とは全然違う本になったな、というところかな。

    580ページの厚めの本になったということもあるけど、なんだか、調子が大部違う感じだ。

    「最強組織の法則」を読んだのが大分前なので、ちゃんとした比較はできないのだけど、そのときの印象は、「良い事言っているけど、なんだか大雑把で、一貫性ないな」という感じだった。

    同時期にたまたま読んだ「ビジョナリー・カンパニー」が、かなりしっかりとした実証研究のうえになりたちつつ、そういう実証的な本が陥り勝ちな「そんなの当たり前じゃん」的な退屈さからはすごく遠い、スリリングで明快な主張を持つ本だったのとは対照的で、「最強組織の法則」は、「で、それがうまくいく証拠あるの?まだまだ頭で考えただけじゃん」という印象であった。

    つまり、「最強組織の法則」は、なんだかピンと来ない本だった。

    で、今回の翻訳だが、「そうそうそうなんだ!」と共感しまくり、付箋を貼り始めたら、付箋だらけになってしまった。

    この数年間、「フィールドブック」を始め、「学習する組織」関係の本をいろいろ読んできたので、理解度が深まったということもあるが、初版から15年を経ての実践からの学びが本のなかに凝縮されている感じだ。つまり、フィールドブックや「出現する未来」など1st edition以降に出された本のエッセンスも織り込まれたまさに「学習する組織」の原典に相応しい本に仕上がっている。

    あいかわらず、事例の部分は、インタビューを中心としていて、全く実証的ではないのだが、それをはるかに超える迫力と説得力をもった本だ。
    不確実ななかで、これからの未来を作るのに、過去の成功事例とか、統計処理とかから、帰納的に考えてもしょうがないんだね。

    それから、もともとシステム思考が最重要のディシプリンということだったはずなのだが、2nd editionでは、「自己マスタリー」のほうに重点が移った感じがした。結局、未来をつくっていくのは、なにかを始めようとするリーダーなんだよね。そして、それは役職としてのリーダーじゃなくて、一人一人のなかにあるリーダーシップ、自己マスタリーの問題なんだな。

    内容も素晴らしいが、翻訳がとても信頼できる感じがして、そこがとても良い。

    「最強組織の法則」が抄訳だったり、なんだか誤訳じゃないかと意味が分かりにくいところがあったので、原書と読み比べたりしていたのだが、今回の本は、原書の印象とかなり近い気がする。

    前回が無理矢理ビジネス書の体裁にまとめました、という感じだったのに対して、今回の訳は、原文の内省的な感じがよくでていると思う。

    ちなみに、原書の最初には、蛇が5匹とぐろを巻いていて、それを大きな蛇が囲む挿絵が入っているのだが、今回の翻訳では、これが省略されている。これを最初につけると「かなりスピリチュアルにいっちゃうな、ビジネス書っぽくない」という判断なのかな、と思ったが、個人的には、そのビジネス書らしからぬところが好きなので、ちょっと残念。

    その点を除けば、素晴らしい出来だと思う。

    何度でも読み返すに値する本

  • 内容濃すぎる。
    システム思考の3パターンを押さえ、環状で問題解決することを学んだ。後で、1つ1つ咀嚼する。

    ・チームの中核的な学習能力
    ①複雑性の理解(システム思考)
    ②内省的な会話の展開(メンタル・モデル、ダイアログ)
    ③志の育成(自己マスタリー、共有ビジョン)

    ・問題を細かくわけよ。世界を断片化せよ。と教えられる。分けることで複雑な課題や対象が扱いやすくなることは明らかだが、私たちには目に見えない莫大な代償を払うことになる。自分の行動の結果がどうなっているかが見えなくなるし、本来私たちに備わっている、より大きな全体とつながっている感覚が失われてしまう。

    ・大半の人が、自分の仕事をシステムの残りの部分と切り離して、「自分の役をうまくやること」が自分の仕事だと考える。必要なのは、その役がより大きなシステムとどのように相互作用しているのかを理解することなのだ。(渋滞の原因はわたしにもある)

    ・組織の学習障害 10のこと
    ①私の仕事は○○だから。
    私たちは自分の職務に忠実であるように教育される。職業は何かと問われると、たいていの人は、自分が毎日どういう職務を行っているかを話すばかりで、自分の属する事業全体の目的については語らない。
    組織内の人たちが自分の職務にだけ焦点を当てていると、すべての職務が相互作用したときに生み出される結果に対して、責任感をほとんどもたない。

    ②悪いのはあちら
    私の仕事は○○だから、から醸成される非システム的な世界観の副産物。

    ③先制攻撃の幻想
    たいていの場合、積極的に見えても、実は受け身なのである。ビジネスであれ、政治であれ、「あちらにいる敵」と戦おうとしてより攻撃的になるとき、私たちは―私たちがそれを何と呼ぼうと―受け身なのである。

    人々の思考が短期的な出来事に支配されていると、組織内で根源から未来を創造する生産的学習を持続させることはできない。

    ④ゆでガエルの寓話
    ゆっくりと徐々に進行するプロセスを見ることを学ぶには、私たちの猛烈なペースを緩めて、顕著な変化だけでなく、わずかな変化にも注意を向ける必要がある。

    ⑤「経験から学ぶ」という妄想
    行動の結果を見て、新たにまた別の行動を取ることによって学ぶことができる。だが、行動の結果を観察できない時、結果が現れるのが遠い先のことであったりする時、時空間的にある一定の幅の視界の中で自身の有効性を評価しているので、直接的な経験から学ぶことが不可能になる。

    1~2年以上のサイクルをもつ循環は、とりわけ見えにくく、それゆえ学ぶことも難しい。

    ⑦経営の神話
    たいていの場合、企業内のチームは、縄張り争いに時間を費やし、自分たちが個人的に恰好悪く見えることは全て避け、あたかも全員がチームの全体戦略に従っているようなふりをする。
    大きな疑問を抱えた人たちは公言を避け、共同決定は、全員が容認できるように骨抜きにされた妥協案か、そうでなければ一人の意見がグループに押し付けられた案にすぎない。

    ・ビール・ゲームの教訓
    問題があったとき、あるいは意図した通りの結果を出せなかったとき、誰かや何かのせいにするのは簡単だ。だが、外部の力や個人の過ちではなく、システムそのものが危機を引き起こすことが、私たちが考えている以上によくあるのだ。

    ・注文はしたものの、遅れのために届いていないビールを頭に入れておくこと。これを「アスピリンを2錠飲んで待つ」と呼んでいる。頭痛がするのでアスピリンを飲む必要がある場合、頭痛が消えるまで5分ごとにアスピリンを飲み続けたりはしない。

    ・システム思考の法則
    ①今日の問題は昨日の解決策から生まれる
    問題を、単にシステムのある部分が別の部分へと移動させただけの解決策は、たいてい気づかれずに継続される。

    ②強く押せば押すほど、システムが強く押し返してくる
    相殺のFB。物事を解決しようとすればするほど、更に多くの努力を必要とする。
    発展途上国への食糧・農業支援も、入手できる食料の増加が、栄養失調による死亡者が減少することから人口の純増加が起こって、ついには更なる栄養失調が起こることで「相殺され」てきた。

    ③挙動は、悪くなる前に良くなる
    政治的意思決定、とは、行動の代替案が持つ本質的な価値以外の要素-自分自身の権力基盤を構築することや、「恰好よく見える」こと、「上司を喜ばせる」ことなど-が重要性をもつような意思決定を指す。
    複雑な人間のシステムでは、短期的に物事をよく見える方法が常に数多くある。

    ④安易な出口はたいていの基の場所への入り口に通ずる
    問題に対して見慣れた解決策をあてはめることに安らぎを覚え、自分が最もよく知っていることに固執している。解決策が見えやすかったり、誰にとっても明らかであったりするならば、恐らくは見つかっているだろう。

    ⑤治療が病気よりも手に負えないこともある
    算数の知識によって単純な計算をする負担を電卓へ依存にすり替え。など。
    「問題のすり替わり」の構造により明らかになるのは、どの分野であれ、長期的な解決策は、「システムがそれ自身の問題を引きうける能力を強める」ものでなければならない。

    ⑥急がば回れ
    生態系から、動物、組織まで、ほぼすべての自然のシステムには、本質的に最適な成長率というものがある。最適な成長率は、可能な限り最速の成長率よりもはるかに小さい。

    ⑦原因と結果は、時間的にも空間的にも近くにあるわけではない
    原因と結果は、時空間的に近くにあるとは限らない。ほとんどの場合は、近くにあると考えられ、生産ラインの問題は生産ラインの中で原因を探してしまう。

    ⑧小さな変化が大きな結果を生みだす可能性がある。
    高レバレッジの変化を見つけるための単純な法則はないが、見つける可能性を高める考え方がある。出来事ではなく、根底にある構造を見ることを学ぶのが第一歩だ。もう1つは、スタップショットではなく、変化のプロセスの点から考えることだ。

    ⑨ケーキをもっていることもできるし、食べることもできる-が、今すぐではない
    彼らが考えなかったのは、長期的に品質の向上とコストの削減を両立させる術だ。
    二律背反の中で、二者択一であるようにしか思えないのは、翌月のことを考えるならどちらか一方を選ばなければならないかもしれないが、真のレバレッジは、長期的に渡って両方を改善できるかをみることにある。木も見て、森も見て欲しい。

    ⑩1頭のゾウを半分にわけても、2頭の小さなゾウにはならない
    3人の盲人は、多くの会社の製造部門、販売部門、研究部門の責任者と同じではないだろうか?それぞれに会社の問題ははっきりと見えているが、自部門の施策が他部門といかに相互に作用し合っているかを見えている人はいない。
    「ゾウ全体」をみるということは、組織全体をみるだけですべての組織的な問題を理解できるということではない。中には、製造、販売、研究などの主な部門がいかに相互に作用し合っているかを見るだけで理解できる問題もある。

    ⑪誰も悪くない
    あなたも、他の誰かも、1つのシステムの一部である。解決策は、あなたとあなたの敵との関係の中にある。

    システム思考では、
    ・線形の因果関係ではなく、相互関係、つまり、環状になっていることに目を向ける
    ・スタップショットではなんく、変化のプロセスに目を向ける

    基本は、自己強化型(ぐるぐる成長、下降していくイメージ)、バランス型(一定を保ち続けようとするイメージ)、遅れ(原因と結果のタイムラグ)の組み合わせで構築されている。

    ①成長の限界
    原則:成長を無理に加速させてはいけない!
    良かれと思ってではあるが、突然なされた改善の取り組みの多くが、成長の限界にぶつかる。農家は、肥料を施すと収量を増すが、やがてその地域の降水量が維持できる収量を越えると収量の増加は止まる。

    ②問題のすり替わり
    人々は、問題の負担を他の解決策-非常に効果的に思える、善意から出た簡単な応急処置-をとることにすり替える。
    原則:対処療法的な解決策に注意しよう。問題の根本的な原因ではなく症状だけに対処する解決策は、せいぜい短期的な利益をもたらすばかりだ。

    ・「自己マスタリー」は、個人の成長と学習のディシプリンを指す表現である。
    自己マスタリーがディシプリン-自分の人生に一体化させて取り組む活動-の一つになれば、2つの根本的な動きが具現化する。1つは、自分にとって何が重要かを絶えず明確にする。私たちは往々にして、道の途中で起こる問題に対処するのに多大な時間を費やすあまり、そもそもなぜその道にいるかを忘れてしまう。
    もう1つは、どうすれば今の現実をもっとはっきり見ることができるかを絶えず学ぶこと。私たちは誰もが、逆効果を招く関係に陥っている人たちを見てきた。何もかもうまくいっているふりをし続けているために身動きがとれなくなっている人たちだ。あるいは、現状をありのままに見ればそうでないことは明らかなのに、全員が「計画に従って目的地に向かっている」と口をそろえる会議を見てきた。

    ・人は変化に抵抗するのではない。変化させられることに抵抗するのだ。

    ・「行動は言葉より雄弁」だ。他人に自己マスタリーを探求させたいなら、まず自分が真剣にそうして見せることほど説得力のあることはない。

    ・メンタル・モデル。新しい見識を実行に移すことができないのは、その見識が、世の中とはこういうものだという心に沁みついたイメージ、つまり慣れ親しんだ考え方や行動に私たちを縛りつけるイメージと対立するからだ。

    ・「自分がよくわかっていたのに話す機会がなかった」という恨みがなくなるには、前提として「徹底的に話し合えば、何をすべきかわかる」という確信をもつことである。この「ダイアログ」によって、「合致」がチームの中に生まれる。

    ・共有ビジョンの多くは外発的なものだ。競合他社などの外部のものと比較した何かを達成することに主眼を置いているのだ。敵を打ち負かすことに限定された目標は維持知的で、それが達成されてしまうと、「手に入れたものを守り、No.1の地位を失うまい」とする守りの姿勢に転じやすく、そこから新しいものを生み出す創造性というのは生まれにくい。

    ・人々が心から成し遂げたいと思う目標へと引っ張る力がなければ、現状を指示する力の方が優勢になる。高い目標をもてば、新しい考え方や行動様式をもたずにはいられなくなる。

    ・先生にあてられて、「正解」を答えられなかったときのトラウマを思い出してほしい。そして大人になればそれは仕事で強化される。

    ・自分からはじめる。
    周りにいる人たちにとっていやというほど明らかな私自身の欠点を、自ら進んで理解しようという気持ちからすべてが始まる。組織の中の私の周りにいる人が、私よりもオープンであることや、学んだり改善したりすることに私よりも意欲的であることは期待できないのです。

    ・不可能にみえること
    私は人々の差し迫ったニーズを見つけ出そうと心掛けています。組織がこれまでに解決することをあきらめてしまったことや、社員がひたすら我慢するようになってしまったことです。私はこれを「不可能に思えること」と呼んでいます。毎年少なくとも1つの「不可能に思えること」いわば、どうアプローチすればよいかさえ検討がつかないことに取り組むようにしています。鍵は、とにかくはじめることです。始めてしまえば、社員たちは言います。「なんだ、簡単なことでしたね」と。

    ・一日の終わりに、ただ自分にこう問うのです。「わたしたちのビジョンや価値観は、今日行った決定にどのような影響を与えただろうか?」もし何の影響も与えていなかったら、これらのビジョンや価値観は、だいたいが嘘っぱちなのです。

  • 日本語が読みにくくて、挫折した。

  • 難解…全体像が掴めなかった。
    でも各章で言っていることはごもっともな事ばかり。ビジョンを作っただけではダメでいかに社員の人生まで落とし込めるか。

    本の内容も実践も極めて難解!
    チームダーウィンと漫画で分かるシリーズを読んで、2,3年後にまた挑戦したい。

    つながりがあると思う本
    U理論
    ティール組織
    イノベーションのジレンマ
    なぜ人と組織は変われないのか

  • ・ 実験室で新しいアイディアがうまくいくことがわかったとき、アイディアが「発明された」という。そのアイディアが、現実的なコストで本格的な規模の複製を行えたときに初めて「イノベーション」になる。
    ・ 学習する組織の核心にあるのは、認識の変容である。自分自身が世界から切り離されているとする見方から、つながっているとする見方へ、問題は「外側の」誰かか何かが引き起こすものだと考えることから、いかに私たち自身の行動が自分に直面する問題を生み出しているのかに目を向けることへの変容だ。
    ・ 典型的な「自分の役をうまくこなす」四季の考え方にかけているのは、あなたの発注量がほかの人の発注量と相互に作用する結果、あなたが「外的要因」ととらえている諸変数に影響を与えている。プレーヤーは自分が影響を与える範囲を定義し直さなければならない(つまり、業界をかえるアクションをする場合は、業界の中での位置づけから、どういった変数に影響できるのかを考える必要がある)
    ・ なぜ構造の説明が非常に重要かというと、それをもってしか、挙動パターンそのものを変えられるレベルで、挙動の根底にある原因に対処することができないからだ。構造が挙動を生み出す故に、根底にある構造を変えることで異なる挙動パターンを生み出すことができる。
    ・ 安易な出口はたいてい元の場所への入口に通ずる
    ・ 小さな変化が大きな結果を生み出す可能性がある、が、最もレバレッジの高いところは往々にして最もわかりにくい
    ・ 複雑性 → 種類/ダイナミズム(原因と結果がとらえにくく、相互作用が長期に及ぼす効果が明らかではない)
    ・ 線形の因果関係の連なりよりも、相互関係に目を向ける
    ・ スナップショットよりも、変化のプロセスに目を向ける
    ・ すべての行動は自然の性質のみによって形作られる。自己は利己主義に惑わされ、「私が行為者である」と考える
    ・ バランス型プロセスは、すべての関係者が変化を望んでいる時でさえ、現状を維持する
    ・ ある変数が別の変数に影響を及ぼすのに時間がかかる場合、送れは、システム言語の三つ目の基本構成要素となる
    ・ 各状況でのレバレッジは自己強化型ループではなく、バランス型ループの中にある。システムの挙動をかえるためには、制約要因を特定してそれを変えなければならない。
    ・ より強く押すことはレバレッジではない。それは抵抗をさらに強めるだけだ。たいていは、制約条件を弱める、または取り除くことが求められる。
    ・ 問題のすりかわり:対症療法的な介入をすることで、根本的な問題への副作用が生まれる場合も多い
    ・ 根本的な対応を強めるには、長期的な方向性と共有ビジョンの意識が必要である。
    ・ 従来の階層制組織は、人間の高次のニーズや自尊心、自己実現をもたらすようにはできていない。組織が、全従業員のために、こうしたニーズに取り組むようになって初めてマネジメントの混乱は終わるだろう
    ・ ビジョンと目的は違う。目的は方角のようなもの。全体的な進行方向だ。ビジョンは具体的な目的地、望ましい未来像である。目的は抽象的なもので、ビジョンは具体的なものだ。「人類の宇宙探索の能力を進歩させる」は目的、「1960年代末までに人類を月面に立たせる」はビジョンである
    ・ ビジョンは内発的なものであり相対的なものではない。他人と比べて相対的にどうにかなれるからではなく、その内在する価値故に望むものである。(絶対的だから価値がある)暫定的なものならば、相対的ビジョンが適している場合もあるが、相対的ビジョンで偉業を成し遂げられるものは滅多にない。
    ・ 失敗とは、その最大限のメリットがまだ強みに転じていない出来事のことである
    ・ 「完璧に問題のない人生ならば、真っ先になにを求めますか?」−「変化です。何か新しいものを創造したい」
    ・ どんなに盲目的で偏見に満ちた人間であっても、人生には常に真実を見るという選択肢がある
    ・ アインシュタインのいう、「つながりを増やしていく体験」は、自己マスタリーの最もとらえがたい側面のひとつであり、システム思考から最も直接的に生じるものだ。アインシュタインのいう「思いやりの輪を広げること」もそうである
    ・ 組織は本質的に「高圧的なシステム」である
    ・ 意思決定の中枢にいる人たちのメンタル・イメージ、つまり彼らが現実をどうとらえているかを動かさない限り、シナリオは何の効果もない
    ・ 主張と探求を融合させて、協力的な学習を促す
    ・ 「真実に忠実であり」「私は物事をこういう風に見ている」とメンタル・モデルに目を向けることで会話の質が変わる
    ・ 守勢の目標(手に入れたものを守り、ナンバーワンの地位を失うまい)が何か新しいものを生み出す創造性や興奮を呼び起こすことは滅多にない。自分自身の中にある内発的な「卓越」の基準の方に意を注いでいる
    ・ 来年の戦略の出発点は、ほぼ例外なく今年の戦略にある。改善はわずかだ。本当の好機がほかにあったとしても、会社は自分たちのよく知っている市場セグメントや事業領域に固執するものだ
    ・ ビジョンに対する7段階
    コミットメント:心から望み、どんな法も生み出す
    参画:心から望み、法の精神内でできることをする
    心からの追従:ビジョンのメリットを理解。期待されていることとそれ以上をする
    形だけの追従:ビジョンのメリットを理解。期待されていることだけはする
    嫌々ながらの追従:ビジョンのメリットを理解していないが義務感でやる
    不追従:ビジョンのメリットを理解せずやらない
    無関心:「もうかえっていい?」
    ・ 参画とは、ビジョンに対する本物の熱意、そして進んで他社に自分自身の選択をさせることから生じる自然なプロセスである
    ・ 大半の組織はシステム思考ではなく、直線的思考に支配されている。直線的思考とは、自分の問題は「ほかのどこか」や自分とは無関係の「システム」が生み出したと考えるコトが原因で。出来事に対応しながらやっていき、変化を生み出さない、
    ・ 既存の方針や行動がいかに今の現実を創り出しているかを組織にいる人々が学び始めれば、ビジョンが育ちやすい土壌ができてくる。新しい自信の源泉が生まれるのだ。
    ・ ダイアログとディスカッションのバランスを取る。ディスカッションでは、様々な意見が提示され弁護されるので、全体状況の分析として役立つ。ダイアログでも、様々な意見が提示されるが、それは新しい見方を発見するための手段としてのことだ。ダイアログは意見の分かれるものであり、合意を目指すのではなく、複雑な問題をより深く理解することを目指す。
    ・ 前提を保留し、検証する
    ・ 私たちは、世界を単純で明白な言葉でとらえているので、単純で明白な解決策を信奉するようになる。だから、単純な応急処置におわれてしまう
    ・ 利益はすべての企業に取っての業績の要件ではあるが、目的ではない。
    ・ 長寿命の企業は自らを利益を追求する機関としてよりも、人のコミュニティとして考える傾向がある
    ・ 知的な行動は、ネットワークのメンバーの誰もが、ほかのメンバーをネットワークの正当な参加者として受け入れる社会システムにおいて生み出される
    ・ 知識時代の着眼点:①部分から全体へ ②分類から統合へ ③個人から相互作用へ ④観察者を外におくシステムから観察者をうちに含むシステムへ
    ・ 授業のイメージは、「間違いを避ける」とか「正しい答えを出すことが重要」という強い感情を呼び起こす。これに対し、真の学習プロセスは、新しいことを試すことやたくさんの間違いをすることにより定義される
    ・ 二割の人を同じ方向に動かすことができれば、ティッピングポイントに到達している
    ・ インターネットでは退場のコストがかかりません。お互いに飽きてきたり、他人がいっていることに興味がなくなったりすれば、簡単に接続をたつことができます。その結果もたらされるものは、すべての人がほとんど同調し合いコミュニティです。真のコミュニティは、互いに離れることができない場合にのみ起こりえる
    ・ 学習する組織において、リーダーは設計者であり、教師であり、執事である
    ・ サーバントリーダーかどうかを確かめる最適の方法は「奉仕されている人々が人間として成長しているか?」「奉仕されている人々は、より健康に、より賢く、より自由に、より自律的になり、また、自らも奉仕者になる可能性が高くなっているだろうか?」である
    ・ 私たち人間が地球規模のシステムの一部にすぎないということを見つめ、それに応じて役割を果たすことが先決です。
    ・ 私たちはあまり物事を知りません。だからたくさんの疑問を持つことが簡単にできるのです。

  • 最強組織の法則の改訂版のようです。概念はすごく分かるがどうやってやるのかがいまだによくわからない一冊です。 和田

  • 学習組織の日本語番。システム思考、自己マスタリー、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習など今後の組織のあり方、考え方の基礎となる。
    具体的な進め方は、個別に別簡易な本を読むことを勧めます。
    例えば、システム思考なら、「システム思考教本」など。

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