なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践
- 英治出版 (2013年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862761545
感想・レビュー・書評
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前々から気になってた1冊。旅行中、読もうと思い、持っていくも全然読み進められずにいてやっと読み終わることができた。
最初の出だしの「心臓病患者がなぜ変われないのか」という問いからグッと引き込まれる内容。
要は変わる必要性も分かっているし、変わりたいという想いもある。どうすれば変わるのかという方法も分かっている。
なのになぜ人は変われないのかというメカニズムを解き明かしていることに本書の意義がある。
簡略に言うと、それは人の固定観念に基づいているから。
行動だけを変えても何も変わらない。その行動の裏にある価値観を変えないと変われない。
それが「技術的な課題」と「適応を要する課題」の差。
そして最も驚きだったのは、人が変わろうとする際には「変革をはばむ免疫機能」がそれを阻害するということ。
変わりたいと思う自分が表だとすれば、裏では実は変わりたくないと自然に思っている自分がいるということ。
要はアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態。
だから進もうと思っても進まず、人は変わらないのであるというわけ。
正直、変革のための具体的な方法まですべて理解できたわけではない。何回か読み込む必要あり。
でも、留学の価値の本質について確信を深められた。
留学に行って人が変わるのは、やはり内面が変わることに関係していることは間違いない。
そしてどうしてその内面が変わるかというと、それは自分の固定観念が明らかになるから。
日本にいたときには気づきもしなかった固定観念があぶりだされる。
そしてその固定観念に支配されないで、自分を支配していたものを「客体」として客観視できるようになる。
こんなことは今明らかになったわけではないけど、学術的な側面から証明されたのは大きい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人や組織に限らず、
問題解決など「変化」を語る前に是非読みたい本。
個人的には星5つでもたりないと思うぐらい満足。
人間は弱いものである。
そして弱さゆえの無意識の思い込み(固定概念)にふりまわされる。
その思い込みにきちんと目を向け、
人や組織の本当の問題解決を目指す。
それを免疫マップという表現で洗い出している。
実際しっかり実践するのはなかなか簡単ではないだろう。
普段意識下にもない無意識に向き合うことをやるのだから。
だからといって諦めてはいけないのだと思う。
我々が固定概念に囚われているということを念頭において、
うまくいかない理由は隠れた無意識にあるかもしれないと
「意識下におこうとする」ことから始めたいと思う。 -
成長する為には変化が必要とされて久しいが、多くの個人や組織は変われなくてもがいている。その変化への処方箋として改善目標、阻害要因、裏の目標、強力な固定観念からなる免疫マップを提唱する。
改善目標とは、権限委譲して重要課題に時間とエネルギーをつぎ込むなど、自分が目指すこと。阻害要因は新しいことに手を出して仕事を増やしたり、他者に仕事を頼めないなど、目指すことができない理由。裏の目標は他人に依存しない万能人間でありたい、自己犠牲の精神の持ち主でありたいなど自分の中の別な部分が望んでいる結果。強力な固定観念は、他の人に頼ったり、多くのことが実行できなければ自尊心を失うなど本人が無批判に事実と認識していること。
このような分析やコンサルティングで改善目標へと導く多種多様な個人そして組織を描くことで、変化への考え方をとても分かり易く描いている。実際に行うのは自分の心との葛藤が大変で一人ではかなり難しそうだ。 -
読み込むのは少し難しいですが、原理も分かりやすく、事例も多く、とても実用的な内容です。私はこれをベースに約200人に対して1on1コーチングを実践しました。今も進行中です。1人で考えても不安を避けようとするので、深い固定観念に到達するにはコーチの伴走が必要です。アレンジも必要ですが、とても効果を感じています。この本に感謝してます。A4サイズで履歴を残せるあたりも企業向けとしてもちょうどよいです。
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自分がどんなレンズを通して物事を見ているか、を客観視することで知性は向上する。
私が心掛けている、感情で話すのではなく感情を話す、に通ずるものがある。
知性の段階は3段階あるらしい。私が意識してるのは自己変容だが、対立を恐れるあまり環境順応に伏してる気もする。あまり自分の知の段階を理解できてないなー。
人が変わらないのは、変わりたい欲求と変わりたくない欲求が無意識でぶつかってるから。変わりたくない欲求を顕在化させることで、表面的で単発的な打ち手に止まらず、行動と思考を一緒に変容していく方法論はすごく良いと思う。大学生ぐらいに自分なりの同じようなアプローチを理解していたが、自己認識が苦手で全然手をつけてなかった部分。
免疫マップはさっそく自分で試してみた。が、改善目標からすでにあやふやで覚束ない(笑)
とりあえず、SPIとストレングスファインダーも並行してやって自己認識を高めつつ、改善目標は周りからヘルプをもらって作り上げていこう。
最後に、自己変革やチーム変革は、自分の免疫を作り変える作業なのでプロセスは辛いものだ。その中でも自分の成長や縛られている固定観念から解放されることを喜びと感じられる自分がいそうなら完走できる可能性が高いと思うので、ぜひやってみる価値はある。
そうじゃない人も、自分が本当に変わりたいのか自問するために取り組んでみると良い。あまりベネフィットを感じれず完走できなくてもよいと思う。それも一つ自己認識の結果なのだから。 -
印象に残ったところ。
ハイフェッツは人が直面する課題を「技術的な課題」と「適応を要する課題」に分類する。盲腸の手術や、旅客機を無事着陸させるのは「技術的な課題」。
その種の活動で得られる知識と技能は、言ってみれば、コンピュータに取り込む新しい文書やプログラムのようなものだ。そういう知識と技能にも、それなりに価値はある。しかし新しい文書やプログラムをどこまで活用できるかは、コンピュータのOSで決まる。
本当の能力開発(成長)を成し遂げるためには、単に知識や行動パターンのレパートリーを増やすだけでなく、OSそのものを進化させなくてはならない。
今日と明日の世界で直面する課題の多くは既存の思考様式のままで新しい技術をいくらか身につけるだけでは対応できない。この種の課題に対応するためには、知性のレベルを高めることによって、思考様式を変容させなければならない
つぼみがいずれ綺麗な花になり、イモムシがやがて美しいチョウになってはばたくと知っていたら、
目の前のつぼみやイモムシにいらだちを感じることはない。
メンバーの知性の発達を促すために、リーダーが取るべき大切な行動がある。
つぼみを力ずくで開花させたり、イモムシを特訓してすぐに空を飛ばせたりすることはできないが、
チューリップを豊かな土壌に植え、イモムシにみずみずしい葉っぱを与えることはできる。
支援と試練
「他人に弱みを見せるのは、相手に銃弾を与えるようなもの。みんなの関係が良好なうちは問題ないかもしれない。でも、誰かがその弾を銃に装填して、背後から撃たない保証はありません」
(さわ) -
目から鱗の一冊。早速ノウハウが指導に活かされました。
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「学習する組織」に続けて読むべき本。免疫機能という表現を使っているが、なぜ変われないかを良くえぐっていると思う。ここに書かれていることは理解できるが、実践するのは相当の覚悟と努力が必要。
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べらぼうに面白い!心が湧き立つネ!
通常の読書とは別に,教科書として,読み直しながら実践してみようと思う…いや,実践する!