なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761545

作品紹介・あらすじ

必要だとわかっていても85%の人が行動すら起こさない-?「免疫マップ」が本当の問題をあぶり出す!発達心理学と教育学の権威が編み出した、究極の変革アプローチ。

感想・レビュー・書評

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  • 職場の上司に勧められた1冊。
    この手の本は、自分自身の人生を振り返りつつ、読むのが大切だと考えます。
    個人的な解釈を交えつつ、内容紹介に移ります。

    〇「知性」とは?
    ⇒自分自身の価値基準の限界を理解しつつ、複数のシステムを場面毎に使い分け、批判を受け入れる能力
    〇不安管理システム(裏の目標)を理解
    ⇒人は不安を避ける生き物であり、自身の不安管理システムを緩やかにする
    〇人間の「知性」を高めるために必要なのは「適度の葛藤」
    ⇒挫折を味わうこと且つ適度な支援を受けることが重要

    総括すると、①人の話をよく聞き、②日々振り返り、③3歩進んで2歩下がる・・かな?
    当たり前の大切さに気付く(体系的に理解する)ために、この手の本は需要がある気がしました!

  • 前々から気になってた1冊。旅行中、読もうと思い、持っていくも全然読み進められずにいてやっと読み終わることができた。

    最初の出だしの「心臓病患者がなぜ変われないのか」という問いからグッと引き込まれる内容。
    要は変わる必要性も分かっているし、変わりたいという想いもある。どうすれば変わるのかという方法も分かっている。
    なのになぜ人は変われないのかというメカニズムを解き明かしていることに本書の意義がある。

    簡略に言うと、それは人の固定観念に基づいているから。
    行動だけを変えても何も変わらない。その行動の裏にある価値観を変えないと変われない。
    それが「技術的な課題」と「適応を要する課題」の差。

    そして最も驚きだったのは、人が変わろうとする際には「変革をはばむ免疫機能」がそれを阻害するということ。
    変わりたいと思う自分が表だとすれば、裏では実は変わりたくないと自然に思っている自分がいるということ。
    要はアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態。
    だから進もうと思っても進まず、人は変わらないのであるというわけ。

    正直、変革のための具体的な方法まですべて理解できたわけではない。何回か読み込む必要あり。
    でも、留学の価値の本質について確信を深められた。
    留学に行って人が変わるのは、やはり内面が変わることに関係していることは間違いない。
    そしてどうしてその内面が変わるかというと、それは自分の固定観念が明らかになるから。
    日本にいたときには気づきもしなかった固定観念があぶりだされる。
    そしてその固定観念に支配されないで、自分を支配していたものを「客体」として客観視できるようになる。
    こんなことは今明らかになったわけではないけど、学術的な側面から証明されたのは大きい。

  • 「嫌われる勇気」でも書いてあったけれど、自分が望ましいと思っていない状態にあっても、その状態を解消しないのは、それが解消されると困るから。という考え方を、解決のために進む方法を記載したもの。
    やめたいと思っていることがあるので、読む。

    自分が解決したい行動、それを阻害しているもの、その裏の目的、という説明。
    裏の目的まで掘り下げなければ、行動だけ変えようとしても、結局、元の目的に従ってしまうので解決しないというのに納得。
    たとえば、お酒をやめたいのにやめられない。
    部下に権限を委譲したいのに出来ない→これの裏の目的は、自分が解決してすごいと思われたい。何でも自分の自由にしたい、などの実例があがっていた。
    何かをつよく望む一方で、その反対のことをつよく望んでいるという状態。

    自分の例で言うなら、私は眠りたいのに、別に急ぎではない用事でだらだら時間を使ってしまうことをやめたい。
    翌日きついのがわかっているし、阻害行動を始める前に時間に寝ても、とうに6時間も眠れないとわかっている時間なのに!
    本読み始めたり、煮豆の仕込み始めたりね……

    ルール化や、フィンランド式キッズスキルでがんばってみたけれど、解決しなかった。技術では解決しない問題なんだろう。
    これは、ちょっとネットで検索した心理に納得。
    その日の過ごし方に満足していない、一日を終わらせたくない、遊びたい……など。
    私の行動を適応で解決するには、これをもっと掘り下げないと。

  • 人や組織に限らず、
    問題解決など「変化」を語る前に是非読みたい本。
    個人的には星5つでもたりないと思うぐらい満足。

    人間は弱いものである。
    そして弱さゆえの無意識の思い込み(固定概念)にふりまわされる。
    その思い込みにきちんと目を向け、
    人や組織の本当の問題解決を目指す。
    それを免疫マップという表現で洗い出している。

    実際しっかり実践するのはなかなか簡単ではないだろう。
    普段意識下にもない無意識に向き合うことをやるのだから。
    だからといって諦めてはいけないのだと思う。

    我々が固定概念に囚われているということを念頭において、
    うまくいかない理由は隠れた無意識にあるかもしれないと
    「意識下におこうとする」ことから始めたいと思う。

  • 成長する為には変化が必要とされて久しいが、多くの個人や組織は変われなくてもがいている。その変化への処方箋として改善目標、阻害要因、裏の目標、強力な固定観念からなる免疫マップを提唱する。
    改善目標とは、権限委譲して重要課題に時間とエネルギーをつぎ込むなど、自分が目指すこと。阻害要因は新しいことに手を出して仕事を増やしたり、他者に仕事を頼めないなど、目指すことができない理由。裏の目標は他人に依存しない万能人間でありたい、自己犠牲の精神の持ち主でありたいなど自分の中の別な部分が望んでいる結果。強力な固定観念は、他の人に頼ったり、多くのことが実行できなければ自尊心を失うなど本人が無批判に事実と認識していること。
    このような分析やコンサルティングで改善目標へと導く多種多様な個人そして組織を描くことで、変化への考え方をとても分かり易く描いている。実際に行うのは自分の心との葛藤が大変で一人ではかなり難しそうだ。

  • なんやこれは

  • 当該観点については非常に思うところがあり、手に取った本。
    知性の話に始まり、とても幅広く研究解釈されている名著
    自己変容型知性と仕事能力との相関関係性は強く共感
    深い洞察が多く盛り込まれている。
    組織と人の変革に関するバイブル的名著

    メモ
    ・自分を変えられない人は7人に6人
    ・人は何歳になっても世界を認識する方法を変えられる可能性
    ・月並みなリーダーと傑出したリーダーの違い、それはチーム全体の能力を高められるかどうか
    ・大人の知性の三段階
     環境順応型知性 周囲に合わせる、忠実、順応する
     自己主導型知性 環境を客観把握し内的判断基準に基づき、判断選択する。自身の価値観に基づく自我。
     自己変容型知性 自身の価値基準の限界を検討できる。システム秩序の不完全性を理解。矛盾や反対を受け入れられる。複数システムの保持を考えられる。矛盾を統合しつつ自我を形成する

    ・変革を実現できないのは二つの相反する目標の両方を本気で達成したいから。人間は矛盾が服を着て歩いているようなもの
    強力な阻害行動の裏の目標を明らかにする必要がある
    ・問題は同じでも本当の動機は人それぞれ

    ・裏の目標に加え、強力な固定観念の存在
     この真偽を試す行動をとれれば、固定観念修正の道が大きく開ける

    ・権限移譲できない人の例
      裏の目標 他人に依存せず万能でありたい、自己犠牲の持ち主でありたい、問題の解決策を見出したい
      固定観念 頼って上手くできなければ自尊心を失う、自分を最優先させると薄っぺらで自分が嫌いなタイプに、課題できないと価値がなくなってしまう 給料泥棒になりたくない

    ・変わるために必要な三つの要素
      心の底 変革を起こすやる気の源
      頭脳とハート 思考と感情の両方に働きかける
      手 思考と行動を同時に変える

    ・自己変革成功者の共通要因
      思考様式と行動の両方を変えることに成功
      思考と感情を鋭く観察し、結果を情報として活用したこと
      明確な意図を持って行動し、データに基づいた基本認識をつくり新たな力と評価基準を獲得したこと
    ・免疫マップ
     一枠 改善目標
      自分にとって重要なものであること
      周りの誰かにとっても重要であること
      目標達成のために自分自身の努力が必要だと認識できていること
     二枠 阻害行動
      目標達成の足を引っ張るもの
      要素多く、率直なほど免疫マップの診断効果高まる
     三枠 裏の目標
      二枠の反対行動を取った際の不安を考える。  
      不愉快な感情が生まれないか?感情を引っ張り出す。不安ボックスに書き込んでみる
      第一枠と衝突する裏の目標の候補を明らかにする
      自己防衛という目的との関わりが明確なものであるはず。裏の目標達成のために阻害行動が重要な役割を果たしているもの。
     四枠 強力な固定観念
      裏の目標の根底にありそうな固定観念。
      事実だと確信しているもの
      裏の目標の少なくとも一つを必然的な生み出すもの

    ・序盤 舞台を作る
      免疫マップを練り上げる
      事前調査を行う 周りに意見を聞く
     中盤 掘り下げる
      目標への道のりを作成する  
      自己観察をおこなう いつ固定観念は猛威をふるうか。覆す機会はないか
      固定観念の履歴書をつくる、検証する
     終盤 学習の成果を定着させる
      事後調査をおこなう まわりにきく
      落とし穴と脱出ルートを発見する

    ・発達思考の姿勢
     大人になっても成長できるという前提にたつ
     組織学習を業務と完全に切り離したものとしない
     自分を成長させる良い問題に取り組んでいるか
     感情が重要な役割になっていることを理解する
     考え方と行動のどちらも変えるべきと理解する
     メンバーにとって安全な場を用意する

  • 読み込むのは少し難しいですが、原理も分かりやすく、事例も多く、とても実用的な内容です。私はこれをベースに約200人に対して1on1コーチングを実践しました。今も進行中です。1人で考えても不安を避けようとするので、深い固定観念に到達するにはコーチの伴走が必要です。アレンジも必要ですが、とても効果を感じています。この本に感謝してます。A4サイズで履歴を残せるあたりも企業向けとしてもちょうどよいです。

  • 読むのはなかなか苦労したが、中身はなるほどーと思うものだった。

    変革をはばむ免疫機能に焦点を当てて、自分の裏に潜む行動要因を深掘りしていく思考法。
    改善目標、阻害行動、裏の目標、強力な固定観念を免疫マップというツールを用いて明らかにしていく、真の自分を見つめる面白い考え方だと思った。

    改善目標をはばむ裏の目標が隠れていて、それが相反することで改善目標が達成されないでいるという考え方。
    何かを成し遂げたいと思う反面、、、ということは確かにある。
    この裏の目標をあぶり出して、自分が震えるほど納得して、初めて改善のスタート地点に立てる。
    自分に正直に、自分のことを深く深く見つめていかないといけない、非常に苦しい作業であるが、面に炙り出された時の納得感は心に刺さるものが出てきそうだと感じた。

    強力な固定観念が裏の目標を生み出し、裏の目標が阻害行動を突き動かし、阻害行動が改善目標を妨げている、という図式が明らかになるのなら、自分を変える大きな力になるに違いない。

  • ちょっと読んだけどおもろい

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著者プロフィール

ハーバード大学教育学大学院教授(成人学習・職業発達論)。30 年あまりの研究・執筆活動を通じて、人が成人以降も心理面で成長し続けることは可能であり、現代社会のニーズにこたえるためにもそれが不可欠であるという認識を広めてきた。授与された名誉学位や賞は多数。

「2013年 『なぜ人と組織は変われないのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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