世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方

制作 : 小田理一郎  枝廣淳子 
  • 英治出版
3.84
  • (29)
  • (43)
  • (28)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 675
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761804

作品紹介・あらすじ

『世界がもし100人の村だったら』を生んだドネラ・メドウズに学ぶ「氷山の全体」を見る技術。株価の暴落、資源枯渇、エスカレートする価格競争…さまざまな出来事の裏側では何が起きているのか?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 工場を取り壊しても、工場を作り出した理屈がそのまま残っているなら、その理屈が別の工場を作り出すだけ。革命が起きて政府を倒したとしても、その政府を作り出した組織的な思考様式がそのまま残っているなら、その思考様式は同じ事を繰り返す。

    政治リーダーが不況や好況を起こすのではない。景気の上下の動きは市場経済の構造に元々内在している。

    複雑なシステム内ではフィードバックに遅れが生じるため、問題が明らかになった時には、その解決策は不必要に難しくなっている。

    世の中のあらゆる問題は、システムの問題。私たちは非難をどこかに向けるのをやめ、システムをそれ自体の源であると見て、そのシステムを再構築する勇気を知恵を見出す事。

    システム思考とは、
    1.部分を理解する力を鍛える。
    2.相互のつながりを見る。
    3.将来的に可能性のある挙動について「もし〜ならどうなるか?」を問う。
    4.創造的に勇敢にシステムを再設計する。

    システムを構成する3つのもの
    「要素、相互の繋がり、目的」

    その方向に行き過ぎてしまう前に、要素分解をやめて、要素をつなげている関係性を探す事。

    AがBを引き起こしていれば、BもAを引き起こしている。

    新しい事を学ぶよいやり方は、抽象概念や一般論よりも具体例を通して学ぶ事。

    新しい構造を作り出し、複雑さを増していくプロセスの中で、自己組織的なシステムによって生み出される事が多いのが「ヒエラルキー」。宇宙もヒエラルキーに組織されている。

    シンプルなシステムから進化して複雑なシステムが生まれるのは、安定した中間的な形態がある時だけ。結果として生まれる複雑な形態は、必然的にヒエラルキーのあるものになる。

    部分最適と同じくらい害がある問題は、過度に中央でコントロールする事。

    ヒエラルキーのあるシステムは、下位から上位へと発展する。ヒエラルキーの高次層の目的は低次層の目的に役立つ事。

    私たちの知識は驚くべきものだが、私たちの無知もそれ以上に驚くべきもの。

    成長によって制約要因が変わっていく事を知る事。

    建設や処理の時間的遅れをモデル化する時、そのシステムの中にいる全ての人に、その時間的遅れはどれくらいの長さと思うかを尋ねて、もっとも妥当だと思われる数字を考え、それを3倍する事。

    限定合理性、、、人は自分の持っている情報に基づいて極めて合理的な意思決定を行う。

    「わかったよ、みんなでちょっとの間、一歩下がろうよ」と言う為には、多大な相互信頼が必要。

    施策への抵抗に対処する上で最も効果的なやり方は、全ての主体者が各自の限定合理性から脱出する事ができるような包括的な目標を提示し、サブシステム(低次層)の様々な目標の整合性を取る方法を見つける事。

    共有地の悲劇の回避方法は、規制する事。相互の合意による相互強制を図る。

    自己強化フィードバックループの一種である「エスカレート」を回避する方法は一方的な武装解除。意図的に自分自身のシステム状態を縮小して
    、相手側の状態の縮小を誘導する事。

    自己強化フィードバックループの「成功者がさらに成功する」原型から抜け出す方法は、定期的に条件を公平にする事。

    システムを統治するルールは、「ルールに従っている」「目標を達成している」という見かけを与えながらシステムを歪める「ルールのすり抜け」に繋がる可能性があるが、この回避方法は、ルールの目的を達成する方向に創造性を解き放つよう再設計する。

    GDPが測っているものに、人生を価値あるものにしているものは何一つない。

    自己組織化とは、まったく新しい構造や行動を作り出す事によって、自らを完全に変えてしまう、下位にあるシステムのどんな側面をも変える事。

    システムの中の人を変える事は、その人が同じ古いシステムに属している限り、あまり機能しない。唯一例外はその人がトップの場合だけ。

    パラダイムを変えるには古いパラダイムの異常や失敗を指し続ける事。自信を持って新しいパラダイムに基づいて話し、行動し続ける事。新しいパラダイムを持った人々をみんなに見え、権力のある場所におく事。反動主義者に関わって時間を無駄にしない事。能動的な変化の担い手や、偏見のない中立的な多くの人々と共に活動する事。

    システムのモデルを構築する為には、システムの外側に出て行き、システム全体を見る事。

    パラダイムを変えるよりさらに高次のレバレッジポイントは、柔軟で在り続ける事。「真実であるパラダイムなど存在しない」事を知り、膨大で驚異的な宇宙について、ほんの僅かしか理解していない事を知る事。

    システムをいじろうとする前に、そのシステムのビートを理解する事。「何が悪いのか」だけでなく、「どうしてこうなったのか?」「どのような挙動モードが可能なのか?」「方向性を変えなければ最後はどこに辿り着くのか?」を考える事。

    情報は力。可視化するだけで大きな影響がある。

    可能な限り正しく言葉を使う事。

    測りやすいかに関わらず、成長、安定性、多様性、レジリエンス、持続可能性と言った、システム全体の特性を高めよう。

    システム全体を見るために従来の専門分野の境界線を越えて学際的に取り組む事。各々が学問的に正しくあろうとするのではなく、無知を認め、問題解決に全力を尽くす事。これが起こるととても胸が躍る。

    時間軸と思考の範囲を広げるだけでなく、思いやりの範囲を広げる事。実際のシステムは地球の生態系と繋がっている。道徳的なルールと実用的なルールは相互に繋がっている。

    よりよい未来を築く為の5つのポイント。
    1.ビジョンを描く
    2.仲間を創る
    3.真実を語る
    4.学習する
    5.慈しむ

    システム思考の活用法
    1.何が起こっているのかをありのままに見つめる
    因果だけでなく、フィードバックループまでみる
    2.なぜ起こっているのかを説明できる物事のつながりを見出す
    3.レバレッジポイントと呼ばれる効果的な介入ポイントを特定する
    4.その実施や移行の為の戦略を築く
    5.リソースを動員する人達の合意を得る

    「誰かが問題を起こしている」と見るのではなく、「いかなる構造がそこにいる人に問題に繋がる行動をとらせるのか」と見る。

  • 「システム思考」の解説書。
    ビジネス書的な問題解決を扱ってるはずなのですが、書きぶりからアプローチから、非常にユニークな本、という印象を受けました。「システムとダンスを踊る」って表現は面白いです。

    そこまで難しい言葉では書かれていないはずなのですが、どういう訳か読みきるまで時間がかかりました。身につくにも少し時間がかかりそう。

    入り口の入門書、キッカケとして良い本ではないかと。

  • 仕事にも生き方にもすごくためになる本。
    訳文も明るく愛に満ちている。

    [more]<blockquote>P91 資本のシステムを、人口のシステムと同じ種類の”動物園の動物”と呼ぶのは変だと思うかもしれません。これらのシステムは、多くの点では似つかないものの、システム的な観点から見ると重要な共通点が一つあります。それはフィードバック・ループの構造です。両方とも、自己強化型の成長ループとバランス型の死のループの影響を受けるストックが一つあります。どちらにも老いていくプロセスがあります。
    似たようなフィードバック構造を持つシステムは、似たようなダイナミックな挙動を生み出します。

    P122 レジリエンスとは、ある変動のある環境の中でシステムが生き残り、持続する能力がどの程度あるか、ということです。

    P134 ホラの時計とテンパスの時計- シンプルなシステムから進化して複雑なシステムが生まれるのは、安定した中間的な形態がある時だけです。結果として生まれる複雑な形態は、必然的にヒエラルキーのあるものになります。


    P158 境界の教訓を学ぶのは、システム思考家にとってすら難しいものです。システムの周囲に、唯一合理的な境界が描けるわけではありません。わたしたちは明晰かつ健全であるように、境界の引き方を考えなくてはなりません。そして、「境界は自分たちが人為的に作り出したものだ」ということを忘れてしまうと、境界は問題を生み出す可能性があります。

    P161 「境界とは、私たち自身が作っているものであり、新たな議論や問題、目的ごとに、考え直すことができるし、考え直すべきである」と覚えておくことは、重要な技能です。

    P180 「時間的遅れ」や「非線形性」「はっきりした境界の欠如」といった、私たちを驚かせるシステムの特性は、ほとんどのシステムにもみられるものです。一般的にこういった特性は、変えられるものでもなければ変えるべきものでもありません。

    P183 施策への抵抗は、それぞれ自分の(組織の場合は自組織の)目標を持ったシステム内の主体者の限定合理性から生まれます。[中略]そういった変化への抵抗が生じるのは、サブシステムの目標が互いに異なり、一貫していないときです。

    P188 システム内で目標を一致させることは、常に可能なことではありませんが、探ってみる価値のある選択肢です。それは、より狭い目標を手放し、システム全体の長期的な幸せを考慮することによってのみ、見出すことができます。

    P195 「私有化」は「勧告」よりも確実に機能します。しかし多くの資源は私有化のしようがありません「相互の合意による相互強制」しか選択肢はないのです。人生や暮らしは、相互強制に満ち満ちています。

    P200 低パフォーマンスへの漂流は、徐々に進むプロセスです。だれもが「より低い期待、より少ない努力、より低いパフォーマンス」に陥ってしまいます。「目標のなし崩し」には二つの対処法があります。ひとつはパフォーマンスに関わらず絶対的な基準を守ることです。もう一つはこれまでの最悪ではなく最良のパフォーマンスに応じて、目標を定めることです。

    P218 中毒の一つの定義は「同じばかげた行動を何度も何度も繰り返し、どういうわけか異なる結果が起こると期待すること」です。

    P221 自分が介入者なのであれば、システム自体の問題解決能力を取り戻す、または高めるようなやり方で取り組み、そのあと自分自身は身を引くことです。もし自分が支えがたいほど依存している側なのであれば、介入を外す前に、自分のシステム自体の能力を構築して戻しておくこと。すぐにそうしてください。

    P235 システムに深く関与している人々は、どこを探せばレバレッジポイントが見つかるかを直感的にわかっていることが多い。しかしたいていの場合、変化を間違った方向へと押してしまう。」

    P239 私の『強力な介入のリスト』の中で、数字、つまりフローの大きさは、最下位に位置しています。おそらく私たちの注意の90%、いえ99%はパラメーターに向けられますが、そこにはレバレッジはそれほどありません。

    P242「破滅的な河川の反乱』の話は、『破滅的な湖の反乱』よりずっと頻繁に聞きますよね、なぜならフローに比べて大きなストックは、フローに比べて小さなストックより安定しているからです。

    P254 システムがうまく機能しない理由の中でももっともよく見られるものの一つが、情報の流れの欠如です。「共有地の悲劇」が生じるのは、魚の個体数の状況についてのフィードバックが、漁船への投資の意思決定にほとんど届いていないからいです。

    P268 パラダイムを超えた「極みの領域」とは、レバレッジポイントを押すということよりも、戦略的に、心から、思い切り「手放す」ことであり、システムとダンスを踊ることなのでしょう。

    P291 システム志向が私に教えてくれたのは、自分の直感をもっと信じること、理解するための自分の合理性を信じるのは控えめにすること、できるだけその両方に頼ること、しかしそれでもなおびっくりさせられることに備えることでした。

    P297 システム全体をみるには「学際的」であるだけでは足りません。学際的なコミュニケーションがうまく行くのは、解決すべき実際の問題があり、様々な分野の代表者たちが、学問的に正しくあろうとするよりも、その問題解決に全力を尽くす時だけです。その人たちは学習モードに入らなくてはなりません。無知を認め、互いに、またシステムから教わろうとしなくてはなりません。

    P312 人類がよりよい未来を築くために必要となる5つのポイント「ビジョンを描く」「仲間をつくる」『真実を語る』『学習する』「いつくしむ」である。</blockquote>

  • 読み終わった

  • 私にはちょっと難しかった。

  • 「システム屋」と呼ばれる方々がいらっしゃることがわかりました。
    世の中で起きている出来事をシステム化してみると、科学的なこと、ITでおきていること、政治行政でおきていること、家庭の問題、など、実は統一したシステムで起きていることがわかった。

    「お風呂の栓をしないまま水をためていってもたまらない」という単純なシステムで動いているシステムがいかに多いことか!

    「このことに気がついて、万能感をもったシステム屋さんが調子に乗って行政に提言してもうまくいかない」
    というのもひとつのシステムだそうで、それも面白かった。

    ときどき難解に、そしてまたときどき具体的になりながら、私たちの注意を引きつける文章。この世の中の秘密がまたひとつ、解き明かされたような気がしました。

    著者のドネラさんは夭逝されたとのことですが、ひとつの大きなシステムを人間は失ったことへの損失は計り知れませんね。

  • 世界の流れや社会の仕組みを総合的な関係性から解き明かすものの考え方を説いている。訳者である枝廣さんの著書システム思考の元になっていると感じた。
    成長の限界を考えた考え方の基本が書かれている。

  • 近頃、本を読むスピードが落ちたな〜、と思っていたけど、これは3日間で読んでしまった。
    単に、最近、それほど面白い本に出会っていなかったということだね。

    これは、本当に面白い、エキサイティングな本です。

    システム思考については、ある程度、知っているつもりだったけど、なるほど〜、な話しが満載です。目から鱗が落ちまくります。全く新しいことが書いてある訳ではないのだけど、これまで知っているつもりだったこと、単独では分かったつもりだったことが、つながるわけ。まさに、個別要素の合計ではなくて、知識同士のつながりが新たな知識として、立ち上がってくる感じ。

    ちょっと、またシステム思考、がんばってマスターするぞ〜、な気持ちになりました。

    ちなみに、これは、入門書としては、やや難しいのではないかと思います。システム思考関係の本は、入門書か、スターマンとか、モデリングとか、どっちかというと中〜上級向けの本しかなかった印象なので、その間を埋める中級の本かな?と思います。

    多分、「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか」を読んでからにしたほうが、いいかな?あと、複雑系とか、限定合理性みたいなのに関連する本もパラッと読んだ方が分かりやすいかもしれない。

    クドいけど、この本の価値は、分かりやすい中級レベルの本ということには留まらない。いろいろな刺激的な視点をくれる本です。

  • 大変な名著ですので、ぜひ多くの人に読んで頂きたいと思います。

    多くの人が「読みづらい」と言っていて、「あ、そういうものなのか」と思いました。

    ぼくが「システムのモデリング」や「ダイナミクスの分析」というアイデアをすんなり理解できたのは、もともとシステム制御工学を専攻していたり、バージニア・アンダーソンの『システム・シンキング―問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術』を若い頃に読んだりしていたからなのかもしれません。

    ぼくはそのような知識に早くから触れるという「幸運」に恵まれていました。しかし、多くの人は、そうではないんですね。

    たしかに、学校教育のカリキュラムを考えてみれば、「システム的な思考法」に関連した教育内容は、ほとんど無いかもしれません。

    この「システム思考」というものが、多くの人にとって馴染みがないだけでなく、容易に理解できないものであるということを、あらためて認識しなければならないと思いました。

    その認識から出発することで、よりよい実践や、よりよい教育につなげていくことができるだろうと。

    いずれにせよ、この本を多くの人に読んでもらいたいと思いました。

    ---

    お気に入りの逸話:カーター元大統領はメキシコからの不法移民に対処すべく、「米国とメキシコとの間の、機会と生活水準のギャップが埋まらない限り移民は止まらない」「国境警備や防壁より、メキシコ経済の構築のためにカネを使うべき」と主張した。しかし実現しなかった。

    本書の難点:索引がないこと。

全44件中 1 - 10件を表示

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方のその他の作品

ドネラ・H・メドウズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
ジャレド・ダイア...
ジェームス W....
ビジャイ・ゴビン...
クリス・アンダー...
有効な右矢印 無効な右矢印

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方を本棚に登録しているひと

ツイートする