社会変革のシナリオ・プランニング――対立を乗り越え、ともに難題を解決する

  • 英治出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761859

作品紹介・あらすじ

これから起こり得ることは何だろう?-多角的な視点で組織・社会の可能性を探り、根本的な変化を引き起こす。民族和解、コミュニティ再生、経済開発…世界50カ国以上で変革プロジェクトを導いてきた敏腕ファシリテーターの流儀。本気で世の中を変えたい人のための一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 問題にかかわる様々なステークホルダーを集め対話することで導き出す計画を超えたシナリオプランニングの世界。人々が役割や前提を取り払って、向き合ったとき生まれる初めて物事が動き出す。

  • これ気になる​ / “​社会変​革のシナリオ・プ​ランニング|書籍|​英治出版”​ http://t.co/zp​S6lKD2f9
​
— Ch​ihiro T.​ (@coquelicotlo​g) November​ 15, 2014​


  • 昔、たまたま読みたいリストに入れていた
    本。意識してなかったけど、今やっと読んでみたら、こないだ読んだU理論の本とめちゃ同じ流れだった(笑)。繋がるもんですね。
    著者が、U理論開発者の一人。
    シナリオプランニングというのは、もともと、石油のシェルで開発された手法で、いろんな未来シナリオへの適応策を考えておいて不測の事態に備えるというものだったようだけど。
    それを、行動(意識)変容と繋げたのが、この、transformative scenario planning。
    まぁ、サクッと読めて良かったよ。

  • 「社会変革のシナリオ・プランニング――対立を乗り越え、ともに難題を解決する」のレビューを書きました!
    アダム・カヘンさんの3冊目の本です。
    1冊目で対話の大事さをかたり、2冊目はマーティン・ルーサー・キングを踏まえて、「愛と力」を語った。3冊目は、ついにお待たせという感じのアダムの必殺技シナリオ・プランニングの本。アダムのファシリテートした南アフリカでのシナリオ・プランニングのプロジェクトは、アパルトヘイト後に国が平和的に体制を移行することに貢献したといわれる。
    この本は、そうしたアダムの経験を通じて生み出された「トランスフォマティブ・シナリオ・プランニング」が理論、テクニック、そして実例を通じて、丁寧に紹介されています。
    原書にはないシナリオの事例やとても充実した訳者解説がついていて、かなりお得です!

    今回のキー・フレーズは、ニーバーの祈り。
    「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
    変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
    そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。」

    (O GOD, GIVE US SERENITY TO ACCEPT WHAT CANNOT BE CHANGED,
    COURAGE TO CHANGE WHAT SHOULD BE CHANGED,
    AND WISDOM TO DISTINGUISH THE ONE FROM THE OTHER)

    そうだね。シナリオプランニングって、そういうことだよね。と深く共感。

    ということを前提に、なにが、これまでのシナリオ・プランニングと違うのかな、という観点で読んだのだけど、実は、かえって分かりにくくなった気もしている。

    手法的にここが従来のシナリオ・プランニングとは違うと思っていたことは、実は違ってなかったりする。

    ある意味、手法的なところでの決定的な違いはなくて、シナリオプランニングをやるときの姿勢、態度というところが違うのかな、と思った。未来をつくる関係者が一同に会して、未来について対話する。このプロセスをU理論と統合した形で進めて行く、という感じかな?

    ここまで丁寧にガイドしていただければ、あとは実際にやってみるのみ、って感じだけど、さて、ステークホルダーを一同にあつめるのって、なかなか難しいね〜。

  • 南アフリカのアパルトヘイト撤廃プロジェクトなど、政府や企業が複雑な社会問題解決に取り組む際のファシリテーターとして国際的に活躍する著者が、自らの経験の集大成として「変容型シナリオプランニング」のノウハウをまとめた一冊。

    変容型シナリオプランニングとは、単なる予測やビジョンの作成ではなく、現状のシステム構造や文脈を含めた深い洞察により、“最も重要性の高い不確実なこと”を明らかにした上で、自分自身が未来に影響を及ぼすのだという意図をもって、明確で現実味がありながら、現状の思考に一石を投じるようなストーリーを構築し、その具現化を図るまでの一連のプロセスである。

    その際に重要なのは、心理的に「安全な器」としての場を準備して利害関係者全員を集め、各参加者が自身のメンタルモデルを「保留」し、お互い同士の「対話」を通じて利害対立を超えた信頼・協調関係を結ぶことであり、国家レベルの社会問題とまではいかなくとも、何かを変革したいが、自分一人では無力だと感じている人ならば、誰でも応用し得るノウハウが詰まっている。

  • 「主よ、変えられないものを受け入れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気と、その両者を見分ける英知を与え給え。」ラインホルド・ニーバー

    変容型シナリオプランニングの目的は、協力して新しい未来を変えようとしている人たちが、身を置いている状況の変化に適応するのではなく、状況を変容させられるようにする事。イモムシが蝶になるような状況の劇的な変化を引き起こす。

    シナリオプランニングでは、これから起こるだろうと予測することや起こるべきだと信じている事ではなく、これから起こる可能性があると思う事についてのみを語る。

    変容型シナリオプランニングの5つのステップ
    システム自体からチームを招集する、、5-10人の主催チームが25-35人の指導的立場にある関係者を集めたシステム全体を代表するシナリオチームを作る。メンバーの一人一人が物事を見抜く目と影響力を持ち、活動に打ち込める人である事。様々な背景や視点を持つ人にする事。セクター、イデオロギー、専門性、地理的バランス等。プロジェクトの器を作る。
    何が起きているか観察する、、1回3-4日のワークショップを4-8ヶ月の間に3-4回行いながら2,3,4ステップに進む。これより期間が短いと、道に迷う。チームで共有し、内省する。ラーニングジャーニーに出る。研究論文を入手する、リソースパーソンと交流する、システム構造の駆動力を探す、確実な事、不確実な事ををリスト化する。
    何が起こりうるかについてストーリーを作成する、、鍵になる確実な事、不確実な事を選ぶ、演繹的にシナリオを作成する、帰納的にシナリオを作成する、仮定の未来の出来事の論理的ストーリーを書く、各シナリオのメタファー、イメージを見出し、シナリオの名前をつける、比較対称できるように視覚化したチャートを作成する、様々な媒体でシナリオを記録する。
    何ができて何をなさねばならないか発見する、、適応型の姿勢をとってみる、変容型の姿勢を取ってみる、各シナリオでの自分たちの強みと弱み、機会と脅威を考える、恊働行動と個別行動の選択肢を考えだす、自身がなにをなすか結論を出す。
    システムの変容をめざして行動する、、、4-8ヶ月かけて進む。これより短いとチームの行動が状況を変容させられない。個人、組織、公共のレベルでミーティングを開催する、印刷物、放送、ソーシャルメディアを使ってシナリオを普及させる、派生したイニシアチブを興す、シナリオに触発され、連携した関係者達の持続的なネットワークを育て、調整する。

    変容型シナリオプランニングで自らが変容させる4つの点
    自らの理解を変容させる。自分達が属するシステムの中や周辺で起きている事や起こりうる事を集団として総合したものをはっきりと物語る。その状況における自分たちの役割を新鮮な目で見る事。
    自らの関係を変容させる。関係者に対する共感や信頼を強化する。
    自らの意図を変容させる。理解と関係が変わると、根本的な意志が変容する。
    理解と関係と意図が変わると行動が変容し、状況が変容する。

    変容型シナリオプランニングを成功させる3つの条件
    洞察力と影響力があり、利害関心を持つ関係者の代表が集まったシステム全体を代表するチームである事。
    メンバー達自らが理解、関係、意図を変容させる事ができる場となる強固な器である事。
    現状認識や固定観念に一石を投じ、現実味があり、明確なものという基準で一連のストーリーを作成する。願望や提案のストーリーではない。

    チームは率直に話す事、皮肉らずに違いを表現する事、人は誠実だという前提に立つ事、寛容で規律正しく、時間に正確である事、具体的で簡潔である事。秘密を守る事。

    聞いているときは、判断や結論を脇に置いて観察や話し合いを続ける事。話している時は自分の考えを仮説として呈示する事。


    私たちは、他の人たちの大いなる豊かさに気付いていない。正直に言えば、その人から学ぶ事があるとは思いもしなかったような人からたくさん、それも相当たくさんの学びを得る。

    種類の異なる系統だった学習体験がある事で、その社会で何が起きているか、何が起こりうるかについてチームは共通理解を確立しやすくなる。

    未来についての対話を促す新しい機会を創出する事。

    チームに知識や結論を押し付ける専門家というよりは、チームのリソースになるリソースパーソンを外部要員に招聘する事。

    場の質は結果の質を決定づける。ハード面では気を散らさずに仕事ができる場所にし、ソフト面では、安全だと感じてくつろいだり、新しい考え方や付き合い方を共有したり、試したりする気になりやすい空間を創る事。

    システムで起きている事の様々な重要な側面を具体的に示す人や物や場所と出会うラーニングジャーニーを行う事。これは何か閃くような、好奇心をそそられる出会いになる。また、共通の体験だが違う見方をし、違う解釈をしたものを語れるようになる。


    シナリオ作成に役立つ結論の一つは、確実な事と不確実な事のリスト作り。また、起こってほしい事ではなく、起こる可能性がある事に焦点をあてる。そして、取り組む問題に関連している事、一石を投じるものである事、現実味がある事、明確である事。演繹法のメリットはストレートである事。帰納法のメリットはより創造的な事。

    有益なシナリオの骨格を決めたら、各シナリオを練り上げる。全体的なキーワードだけでなく、具体的な論理ストーリーで構成する。何がなぜどんな仮定の未来の出来事を通して起こり、その結果どうなるか?そしてシナリオの名前も選ぶ。


    今起きている事、これから起こりうる事に私が果たす役割は何だろう?私の責任はなんだろう?未来は私に何を求めているのだろう?

    創造的な姿勢の本質は、内容を抜きにした意図、すなわち内容はどうなるかわからない空間の中で、体系的でダイナミックな目的を持った状態であり続ける事。

  • No.729

  • 適応型シナリオプランニングではなく、変革型シナリオプランニングについて、深く書かれています。
    アダム・カヘンのワークショップに参加しましたが、存在感がすごかったです。
    国単位のファシリテーションの難しさが書かれています。

  • 2014年109冊目。

    自社本のため割愛。

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著者プロフィール

レオス・パートナーズ社パートナー。オックスフォード大学経営大学院「科学・イノベーション・社会研究所」特別研究員。過去にはロイヤル・ダッチ・シェル社にて社会・政治・経済・技術に関するシナリオチームの代表を務める。1991~92年には南アフリカの民族和解を推進するモン・フルー・シナリオ・プロジェクトに参画。以来、企業や政府などの問題解決プロセスのオーガナイザー兼ファシリテーターとして、これまで50カ国以上で活躍している。アスペン研究所ビジネス・リーダーズ・ダイアローグ、組織学習協会(SoL)のメンバー。カリフォルニア大学バークレー校エネルギー・資源経済学修士、バスティア大学応用行動科学修士。2022年には、シュワブ財団の「ソーシャル・イノベーション思想的指導者2022」に選ばれた。著書に『敵とのコラボレーション』『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』『社会変革のシナリオ・プランニング』『共に変容するファシリテーション』(以上、英治出版)など。

「2023年 『それでも、対話をはじめよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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