物事のなぜ――原因を探る道に正解はあるか

制作 : 依田光江 
  • 英治出版
3.93
  • (6)
  • (2)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 115
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761897

作品紹介・あらすじ

古代から現代にいたるまで、人は「因果関係」をどう考えてきたのか?ますます複雑化する問題にどう向き合うべきか。古代哲学から物理科学、カオス理論まで、先人の軌跡をたどりながら、私たちの思考の可能性と限界を問いかける。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12401123043.html

  • 原因の分析がすごい

  • 物事のなぜ ピーター・ラビンズ著
    複数の視点で解く因果関係
    日本経済新聞 朝刊 読書 (31ページ)
    2018/3/17 2:30
     「なぜ?」と問うのは子どもだけではない。一流の科学者もまたさまざまな現象を前に「なぜ?」と問うことから出発する。この世界は原因と結果の連鎖から成り立っており、そのメカニズムを知れば、あらゆる物事の予測が可能と信じているからだ。


     だが、原因と結果の結びつき、すなわち因果関係の解明は一筋縄ではいかない。七年前の福島原発事故では、そのため「想定外」という責任放棄の言葉が飛び交った。本書の主題は、その因果概念の探究である。原書の副題は「科学、医学、人生における因果性」、考察範囲は自然科学から歴史、哲学、宗教までと幅広い。

     結論を先取りすれば「普遍的かつ唯一の因果性モデルはない」というのが本書の立場である。著者は「真の因果メカニズムなるものは存在するのか?」と問い、「答えはノーだ」と断言する。つまり、「完璧な知識」を得ることは不可能だが、諦める必要はない。研究を重ねることで予測の精度を上げることは十分に可能なのだ。

     そのために著者は「複数の手法を活用し、複数の視点を持つこと」を推奨する。具体的には本書で展開されている「三面モデル」である。第一面は因果関係の論理を示す三つの概念モデル(断定型、確率型、創発型)、第二面はアリストテレスに倣った四つの分析レベル、そして第三面は原因の情報を得るための三つの論法(検証型、叙述型、信仰型)からなる。

     この三面モデルを駆使して、著者は「喫煙と肺がん」などの身近な事例からプレート・テクトニクス理論など高度な科学理論まで、そこに複雑に絡みついている因果の糸を丹念に解きほぐす。著者は精神科医とのことだが、該博な科学知識は驚嘆に値する。

     論法については、「検証型」の自然科学であれ「叙述型」の人文学であれ、「共通しているのは、正確な事実を土台とし、組み上げた解釈が正しいことを人に説明する際に、修辞的技法を用いている」ことが指摘される。つまり、理系と文系をきっぱり分けることは、現実的ではないということだ。

     豊富な具体例の説明も明確でわかりやすく、第一級の科学啓蒙書といってよい。翻訳もそれに劣らず明快であり、一読を勧めたい。

    《評》東北大学総長特命教授

    野家 啓一

    原題=THE WHY OF THINGS

    (依田光江訳、英治出版・2700円)

    ▼著者は精神科医、米ジョンズ・ホプキンス大老年精神医学・神経精神医学部長。

  • なぜなぜ分析という手法はかなり一般的ですが、物事の本質に迫る「なぜ」を考えることは難しいものです。

    物事の因果関係の読み違いやデータ解釈のミスなど、失敗例について整理してくれている本はありますが、「なぜなぜ分析」という手法自体を体系的に整理し、具体的な手法まで落とし込んでくれる本はあまり無かったと思う。

    何か起きた際に、それは「なぜなのか?」
    最初に思いついた「なぜ?」が当てずっぽうでやっていては精度が低い。その精度いかにあげていのか?
    さらに、複数考えられる原因をどのように整理して、いかに真因に迫っていくのか?考えるられる「なぜ」の種類の分類はとても参考になる。

    難しくて理解するのが大変ですが、大変勉強になります汗。!

  • 2018年9冊目。

    一口に「因果関係」「なぜを問う」と言っても、問いの性質によって最良のアプローチは異なる。
    さらには、因果関係には「複数のアプローチ」が必要だと、2000年前からアリストテレスが唱えてきた。
    古代から現在まで、そして哲学から物理科学まで縦横の研究を通じてこの本が提唱する「三面モデル」は、
    ①因果関係の論理を表す「概念モデル」
    ②原因の「分析レベル」
    ③原因の情報を得るための「論法モデル」
    をカテゴライズしている。
    何か問題に行き詰まったとき、「その“なぜ”の問い方で良いのか?」と立ち止まり、「より適した“なぜ”」「より多面的な“なぜ”」を扱えるようになるヒントになる一冊だと思う。

    ※自社本に対する個人的なメモです。宣伝の意図はありません。

  • ますます複雑化する問題にどう向き合うべきか? 独自のフレームワーク「三面モデル」を紹介しながら、ものごとの考え方について説く。

    第1章 歴史から学ぶ――因果性の四つのアプローチ
    第2章 三面モデルで考える――因果性を考察するための多重手法
    第3章 断定型で考える――「イエス」か「ノー」で考える
    第4章 確率型で考える――「発生を促す」「影響を及ぼす」因子
    第5章 創発型で考える――非線形のアプローチ
    第6章 検証型で考える①――物理科学の場合
    第7章 検証型で考える②――生物科学の場合
    第8章 検証型で考える③――疫学の場合
    第9章 叙述型で考える――物語から見える真実
    第10章 信仰型で考える――信念体系から見える真実
    第11章 物事の「なぜ」の探究――三面モデルを適用する

  • 歴史を通じた学者の思考の変遷。
    哲学や物理、科学など横断的に、
    何をどう考え、発見してきたかをまとめた本。

    ある程度幅広い分野の基礎的教養がないと
    読みづらいでしょう。

    でも逆に基礎知識がある人にとっては
    横断的にものの考え方の変遷が捉えられて
    面白いと思います。

全7件中 1 - 7件を表示

物事のなぜ――原因を探る道に正解はあるかのその他の作品

ピーター・ラビンズの作品

物事のなぜ――原因を探る道に正解はあるかを本棚に登録しているひと

新しい本棚登録 1
ツイートする