異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
- 英治出版 (2015年8月22日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862762085
作品紹介・あらすじ
ハーバード・ビジネス・レビュー、フォーブス、ハフィントン・ポストほか各メディアで話題!ビジネス現場で実践できる異文化理解ツール「カルチャーマップ」の極意をわかりやすく解説。
感想・レビュー・書評
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たくさんの気付きを与えてくれる本。
異文化をOJTである程度学んだつもりでいたけれど、8つの指標でマッピングされるカルチャーマップはとても興味深いし、その背景にある歴史、教育、哲学の説明もありストンと懐に落ちる。
常々我々日本人の一般的な「普通」はグローバルスタンダードではないのだろうな、と思ってはいたけれどこうもそれぞれのマップで究極に位置にする文化だったとは。
欧州各国の違いも面白かったけれど、一番意外だったのはお隣中国のカルチャーかもしれない
2020.10.15 -
実際にあった話を多く紹介しながら、文化の違いによるビジネスシーンで発生しやすいすれ違いやそれに対するアドバイスが述べられており、非常に勉強になりました。
本書でも同様のことが述べられていますが、日本人の中にも色んな人がいるように、◯◯人だからこうだと決めつけることは非常に危険です。ただ、いくらインターネットを通じて簡単に世界とつながれるようになったと言っても、同じ教科書を読んで学んだり、同じテレビを見たり、同じ習慣で生活をしたりしていると、国や地域ごとに考えが似てくるのもそれはそれで自然なことでしょう。私たちも日本の社会ではこれくらいの行動や発言をしておけば無難で、これ以上やると危険だなとういのを感覚的に身につけていると思います。
同じように国や地域ごとの文化的分布特徴を把握しておくことで、外国人と仕事をすることがあっても動じず、過度に傷付いたり、傷付けたりせずにコミュニケーションが取れるのではないかと思います。これからは日本にいても外国人と働く機会は多くなると思うので、多くの人にとって一読する価値がある本だと思いました。
また、本書は訳書で日本のことが中心に書かれている訳ではないので、外国人から見た客観的な日本人の特徴も知れて面白かったです。-
感想を書いてから、ああ確かに自分は調和に重きを置く傾向がある日本的な考え方だと思いました(笑)感想を書いてから、ああ確かに自分は調和に重きを置く傾向がある日本的な考え方だと思いました(笑)2019/09/30
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8つの軸で文化を整理。主にビジネスシーンを想定してその違いがコミュニケーション、相互理解にどんな影響を与えるか解説。
これ、文化差はもちろん、個人差もかなりあるので、チーム内でアセスメントして共有してみた。次はチーム以外にも広げていこう。世代によっても違いそうで、昭和なマネジメントが嫌いな僕にとって、上司の昭和度を可視化して、上司にも変わってもらうことが狙いのひとつ。
解決策としてのお互いの歩み寄りを素直に促進させてくれるし、歩み寄れなくても、チームの方針開示によって、解消図るようにと。
だいぶ前に研修受けて買ったものの、ぱらぱら見た感じ、研修で疑問に思ったことがあんまり書いてないと思い、そのまま読まずに、はや2年?
前々から新しいチームでもアセスメントしないとなあと思いながら、だいぶ日が経ったけど、最近、和音だけでなく不協和音も出始めてるので、えいやとやってみた。
音に無頓着、区別つかない僕からすると、不協和音を不協和音と捉えなくて便利だと思うのだけど…文化でもなんでも、所詮は勝手に作り上げたもの。もっと楽になりたいもんです。
ま、とにかくその準備で、そういえばとこの本を取り出し、一昨日の夜中にページめくると、疑問に思うことについてもいろいろ書いてあるかもと、読み始める。
なんであの時気づかなかったんだろうなあ。
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1 コミュニケーション
ローコンテクスト vsハイコンテクスト
2 評価
直接的vs間接的なネガティブフィードバック
3 説得
原理優先vs応用優先
4 リード
平等主義vs階層主義
5 決断
合意志向vsトップダウン式
6 信頼
タスクベースvs関係ベース
7 見解の相違
対立vs対立回避
8 スケジューリング
直線的vs柔軟
日本について
1.2 ハイコンテクスト&間接的
アジアの中でも端
3 アジアは包括的思考
4.5 階層主義なのに合意志向
いずれも端なので特異、傾向ではドイツに近い、中国は階層&トップダウン、オランダは平等&合意志向、アメリカは平等なのにトップダウン
6 関係ベース寄り
アジアの中では比較的欧米寄り
7 対立回避&感情表現控えめ
アジアの中でも端
8 直線的
ドイツと同レベルに端、中国と正反対 -
著者が推奨する8つの指標で我が日本はいつもスケールの一番端に位置しているのが目に付いた。行間を読む文化や、人を傷つける直接的な物言いを避けたり、とっても階層的な社会なのに極端な合意志向、対立回避型で、時間管理は細かい。こんな特徴的な文化背景に育った僕らが、国際交流の現場で苦労するのは当然のことなんだね。常々攻撃的と感じていたオランダやドイツでは、それが悪気ではないとはいえ、とても暮らせそうにありません。日本に暮らす外国人や、海外で暮らす邦人の勇気と苦労には頭が下がります。とっても面白い本でした。
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グローバルで働く人で、言語以外で悩む人におすすめしたい本。アメリカ本社の会社でインド圏にルーツを持つカウンターと日々コミュニケーションをとる日本支社の一個人として、大いに参考になった。
・8つの指標に沿って文化の違いが説明されている
・個人差を認識しつつも他国の文化を知ることで、意図せぬ偏見を持って他者を非難することを防げるとする
・事例で理解しやすく、提案されるhow toはすぐに実践できる -
帯に書いてある通り“語学力より不可欠”な異文化を理解する力が養えます。
階層性やネガティブフィードバックのスタイルなど様々な切り口で各文化の差異が相対的にマッピングされることで文化間のギャップが理解できました。
差異を知るだけでなく異なる価値観の人々とどのように接するべきか、筆者と周囲が経験したグローバルなビジネスの場での例を使いながら説明しているため実践的です。
読み進めると分かるのですが、日本は多くの軸で最端に位置しており、世界的にみてもかなり特殊なようで、それ故にエピソード例として多く登場するので日本人にオススメです。 -
アメリカに長年駐在してた尊敬する上司に勧められた本。とても面白かった。外国人と働く機会のある人全員におすすめ!
特に外国人と接する機会のない人だと「外国人=日本人よりフレンドリーで思った事を直接言って、時間にルーズ」なんてぼんやりしたイメージを持つ人が多い。
実際に外国人と働くと、確かにそんな側面もあるけれど、想像の何倍も複雑な事に気づく。
この本はその文化の違いを国別、各観点別に解説してくれる。
各観点というのは、例えばアメリカ人はもちろん日本人よりフレンドリーで、散歩やお店でも気軽に話しかけてくれるし、直接的な物言いをする事が多い。でも仕事で上司から言われた事には反論はしないし、あんなにフレンドリーに見えた同僚が辞めたら次の日から興味はない。そして評価面談等では悪い所を直接言うと「高圧的で嫌な上司」と見られる。普段のコミュニケーションと、ネガティブなフィードバックをする時の手法は違うし、仕事はトップダウン方式。フレンドリーなのは実際の仲の良さとは別。
8つの観点について、実例を使って紹介されていて楽しく学べる。実際にその国の人と働いた人にとっては「あるある」な内容。
そして、各国の文化の違いがそれぞれの歴史的背景によるもので、何百年前の出来事が現在まで根付いて影響を及ぼしているのが面白い。
この本はアメリカ人の筆者によって書かれた物だけど、日本の事が結構な頻度で紹介されていて、我が国はなかなか独特な位置にいるんだなと再認識。
日本の例は特に「そうそうそうなんだよ!」って思う事が多く、海外関係ない人でも、マネジメントする立場にある人にとっては面白いかも。
日本パートで1番共感したところ↓
『会議で上司が「こうしたいんだけど、どう思う?」と聞いたら日本人は「上司の意見を理解できたかどうか確認してる」と受け取る。本当にメンバーの意見を聞きたいので有れば上司不在のところで意見を交わしてもらってその議事録を提出してもらったり、質問項目を事前に送ってこれについて意見を考えてくるように、と指示しておく事が必要。』
好きに意見して欲しいのに、皆全然意見出してくれないんだよね〜と悩みがちなマネジメント層、ぜひこれを意識すべき。メンバーが意見出すべきなのは勿論だけど、やり方を変えるだけでもっと意見を引き出せるはず。
最後に、この本を勧めてくれた上司が言った、好きな台詞を紹介します。
「『失敗しても恥かいても良いから意見言って』なんて言っても意見出る事はない。できる人や上司が腹を割って、素を先にださなきゃ。上から目線で言うんじゃなく同じ目線に立って先に弱みを見せて初めて相手も口を開く」 -
アメリカ人であって、フランス、シンガポールを中心に世界で活躍する異文化の女性研究者による、民族間の違いについて述べた本。いろいろな国民を、コンテクスト、ネガティブ・フィードバック、平等主義か階層主義か、トップダウンか合意志向かなど、さまざまな視点から分類し、まとめている。それぞれの項目における各国の比較は、もちろん定量的に正確に行われているわけではないが、概ね適切に行われていると思われ、説得力がある。平素から異文化交渉など、ビジネススクールにおいて教えているだけあって、わかりやすい。役に立った。
「ローコンテクスト(明確なコミュニケーション):アメリカ、オーストラリア、カナダ、オランダ、ドイツ、デンマーク、イギリス、フィンランドの順。
ハイコンテクスト(ほのめかしなど、はっきりしないコミュニケーション):日本、韓国、インドネシア、中国、ケニア、サウジ、インド、ロシアの順」p59
「ハイコンテクストな文化圏は長いあいだ共有してきた歴史を持っていることが多い。それらの文化圏は主に関係性を重視した社会であり、人とのつながりというネットワークが代々受け継がれていく中で、コミュニティのメンバー間にコンテクストがどんどん共有されていく。日本は単一民族の島国社会で数千年に及ぶ歴史を共有しており、その歴史の大部分は他の国から閉ざされた状態だった。数千年をかけて、人々は互いのメッセージを汲み取る能力に長けるようになったのである(空気を読む)」p60
「互いに全く違うルーツを持つハイコンテクスト文化出身の者同士の間で最も行き違いが生じやすい」p77
「直接的ネガティブ・フィードバック(ネガティブなメッセージを単刀直入に伝える):イスラエル、オランダ、ロシア、ドイツ、デンマーク、フランス、ノルウェー、スペイン、オーストラリア、イタリアの順。
間接的ネガティブ・フィードバック(ネガティブなフィードバックは、柔らかく、さりげなく、またはポジティブなメッセージに包み込んで伝える):日本、タイ、インドネシア、韓国、ガーナ、サウジ、中国、ケニア、インドの順」p95
「(オランダ人)アメリカ人の同僚たちはいつも「素晴らしい」点や「優れた」点からコミュニケーションを始めますが、それは誇張されすぎていて自分がおとしめられているように感じます。私たちは大人で、しっかりと仕事をしに来ているのです。同僚にチアリーダーは必要ありません」p106
「原理優先の説明:フランス、イタリア、スペイン、ロシア、ドイツ、ブラジルの順。
応用優先の説明(まとめたり箇条書きにする。実践的、具体的):アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、オランダの順」p127
「ロンドンの人々やニューヨーカーに向けてプレゼンするなら、本題から入り話を逸らさないようにしよう。フランス人、スペイン人、ドイツ人にプレゼンするなら、各要素の説明に時間を割き、結論を語る前に背景を説明しよう」p131
「応用優先の思考を持つ人々はまず実例をほしがる。その実例の数々から結論を導くのである。原理優先の思考を持つ人々も実例を嫌いではないが、応用へ移る前に基本的な枠組みを理解しておくのを好む」p133
「中国人はマクロからミクロへと考えるが、西洋人はミクロからマクロへと考える。たとえば、住所を書く時も、中国人は省、市、区、地名、番地と書く。西洋人は正反対に書く。同じように、中国人は名字を先に書くが、西洋人は名前から書く。中国人は年、月、日と書くが、これも西洋人は反対に書く」p142
「平等主義的な文化では、たとえば、権威ある人間としてのオーラはチームの一員として振る舞うことで培われることが多く、反対に階層主義的な文化では、周りと一線を画すことで培われる傾向にある」p155
「平等主義的(上司はまとめ役):デンマーク、オランダ、スウェーデン、イスラエル、オーストラリア、フィンランド、カナダ、アメリカの順。
階層主義的(組織は多層的で固定的、序列に沿ってコミュニケーションが行われる。上司と部下の距離が遠い):日本、韓国、ナイジェリア、インド、中国、サウジ、ペルー、ロシアの順」p159
「(プロテスタントの平等主義)宗教改革によってカトリックから分離し、教会の伝統的な階層性を取り除いたから」p163
「平等主義的文化圏では、組織を飛び越えてコミュニケーションを取っても許容されることが多い」p169
「アメリカは階層主義的というよりは、トップダウン式である。ひとりが素早く決断を下して全員でそれに従うという価値に重きが置かれている」p184
「日本は強固な階層主義を持ちながら世界でも有数の合意志向の社会になっている。階層主義のシステムと合意志向の意思決定という一見矛盾したパターンは日本文化に深く根差している」p193
「日本の稟議システムは、集団の合意形成に全員が参加するため決断に時間を要する文化の典型例だ。しかしいったん決断が下されると、それはほとんどの場合覆らないものなので実行は非常に迅速になる。全員が同じ方向を向いているからだ」p197
「(過剰な挨拶回り)「ちょっと挨拶する」ためにかける時間は、次に彼らの助けが必要なビジネス上の問題が起きた時に大きな利益となって帰ってくる可能性が高い。信頼とは保険のようなものだ。実際の必要が生じる前に、あらかじめ投資を行っておく必要があるのである」p239
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