異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

制作 : 田岡恵  樋口武志 
  • 英治出版
4.26
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本棚登録 : 744
レビュー : 70
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762085

作品紹介・あらすじ

ハーバード・ビジネス・レビュー、フォーブス、ハフィントン・ポストほか各メディアで話題!ビジネス現場で実践できる異文化理解ツール「カルチャーマップ」の極意をわかりやすく解説。

感想・レビュー・書評

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  • 海外で働くと文化の違いから自分にとっての当たり前、普通がそうでないという事象が事例と文化から分析したグラフで書かれている。
    文化が人の性質の根底にどれだけ影響を与えているのかを実感すると共に、同じ文化圏の出身者同士でもよくあることだなぁと思った。
    複数人で働く上で価値観のすり合わせや進め方などお互いの事を理解するためのコミュニケーションにコストをしっかり取りたいし、そう思ってくれる人と働きたい。
    「私たちはみんな同じで、みんな違う」という言葉が最もだと思った。

  • 英語版で読了。

    ものすごく勉強になった。

    日本人から見た外国人や外国人から見た日本人の本はあるが、これは世界の国々がある基準に対してどういう位置にあるかという関係性を客観的に書いている。例えば、日本人から見るとアメリカ人は時間にルーズに見えるかもしれないが、フランス人からアメリカ人を見ると時間に厳しすぎるように見える。なぜなら時間にどれくらい厳しいかというのを示したとき 日本→アメリカ→フランスという立ち位置になるから。多国籍の人と働くには、自分の国からの味方だけではなく、ある国がある国よりどうかという視点も大事であると思った。

    生ま育った国で人を判断するな!という批判もあるかもしれない。著者も個々人で違うことは認めているが、一方で「あの人は悪い人だ」と決めつけ、個人を責めたりしてしまうことになるかもしれないとも。「Being open to individual difference is not enough」。文化が人格や行動に影響を与える限り、違いを理解しておくことは重要。

    本書では、8つの基準で文化の違いを述べている。
    Communicating: low-context vs. high-context
    Evaluating: direct negative feedback vs. indirect negative feedback
    Persuading: principles-firs vs. application-first
    Leading: egalitarian vs. hierarchical
    Deciding: consensual vs. top-down
    Trusting: task-based vs. relationship-based
    Disagreeing: confrontational vs. avoids confrontation
    Scheduling: linear-time vs. flexible time

    第1章
    Communicating: low-context vs. high-context
    low-contextとは、全てを明確に、詳細に述べてコミュニケーションをとること。high-contextとは、行間を読む必要があるということ。

    フランス人はhighでアメリカ人はlow。英語は70000語あるのに対し、フランス語は5000語しかないことからもフランスでは行間を読む必要がある。

    また歴史の長い国はhigh-contextになる傾向がある。アメリカは色々な民族がいて、明確にコミュニケーションする必要があるため、low。イギリス人も日本人に比べればlowだが、イギリス人に言わせると、アメリカ人は冗談すら通じない。アメリカ人はjust kidding!と言わないと怒り出すそうだ。

    第二章
    Evaluating: direct negative feedback vs. indirect negative feedback

    日本人から見ると、イギリス人は十分ものをはっきり言うように思っていたが、世界的に見るとオブラートに包む方のよう。オランダ人はネガティブなことをはっきり言う文化。イギリス人が言ったことをオランダ人が聞くと否定的に言ったつもりが肯定的に取られてしまう。

    イギリス人「with all due respect...」
    イギリス人の意図「I think you are wrong.」
    オランダ人の理解「He is listening to me.」

    アメリカ人もネガティブなことはオブラートに包んで言うと言うのは日本人からすると意外な感じがした。Low-contextだからと言って、direct negative feedbackをするとは限らない。

    Politenessの理解は文化によって違い、オランダ人ははっきり正直に悪いことを伝えるのがPoliteと思い、イギリス人やアメリカ人は悪いことを率直に言うのは失礼だと考える。文化によって「Polite」であることの定義が違うのは注意すべき点。

    第3章
    Persuading: principles-firs vs. application-first
    説得するときに原理から説明するか、具体的なものから話すか。ドイツ人はwhyを説明するのに対し、アメリカ人は「じゃあどうするの?」から聞きたがる。
    アジア人はこの指標には載らず、「holistic approach」と言う別のアプローチが必要。アジアでは意見を求められると、延々と質問に関係ない部分まで話してやっと結論に達する。水草の生えている水の中に、魚が泳いでいる絵を見せると、アジア人はまず「水草があって、石が下にあって・・・魚が三匹います」と説明するが、アメリカ人に何の絵ですか?と聞くと「魚が三匹いる絵」と説明する。

    日本人に仕事をお願いするときは、「あなたはこれをやってくだい」ではダメで、「あなたはこれ、あの人はこれ、あの人はあれをやります」と全体を説明しないと前に進まない。

    そうなのかな。

    第4章
    Leading: egalitarian vs. hierarchical
    ヨーロッパの中でも平等と階層型の文化の国がある。オランダやスウェーデンは平等。イタリアやスペインは階層型。これには3つの歴史的背景がある。

    ①ローマ帝国に支配されていた国は階層型。オランダはローマに支配されていなかったから平等型。
    ②バイキングに支配されていた国は平等型。スウェーデンが平等型なのはそれゆえ。
    ③カトリックの国はプロテスタントよりもより階層型。

    求められるリーダーも違い、階層型の文化では、指示しない上司は評価されない。強いリーダーが好まれる。なるほど、プーチンが人気の理由もよくわかる。

    level hoppingにも気をつけなければならない。オランダでは、平社員が上司をすっ飛ばして社長に話すことが許されるが、それを階層型の国で行うと反感を買うことがある。なぜ自分に言って来ないで、部下に言うんだ!と。

    第5章
    Deciding: consensual vs. top-down
    まずみんなで同意した上で決定を下すのがconsensual。トップが同意を得ずに決めてしまうのがtop-down。アメリカはtop-downで、ドイツはconsensual。ドイツ人から見るとアメリカ人は人の意見も聞かずに勝手に決めると思われる。非常に階層型だと思われるが、階層型とは違うことに注意。アメリカ人は「とりあえず決める、決めたあと悪ければ帰る」というスタイル。アメリカ人からするとドイツ人は決定が遅いと不満が溜まる。

    日本は究極のconsensual社会。本書では、稟議書や根回し文化が紹介されている。ただdecision makingには時間がかかるが、一度決まれば実行は早い。

    第6章
    Trusting: task-based vs. relationship-based
    アメリカ人はtask-basedですが、中国人はrelationship-based。どんなに中国人にいいプレゼンをしても、個人的な繋がりがないとビジネスは上手くいかない。夜にお食事に誘い、ビジネスと関係のないことを話すと言うようなことが必要。

    アメリカ人もice breakなどと言ってrelationship構築をトレーニングに組み込んでいたりするが、それはあくまでビジネスのためであって、外に出た途端、リレーションを作ろうなんて考えない。

    アメリカのようなtask-basedの社会の人に、何時間もの飲み会に誘うのはあまりよくない。とりあえず一時間のランチに誘い、それから本人が望めば長くするが、もし断られたら強くプッシュしないこと。彼らにとっては飲み会は時間の無駄と考えられている。

    逆に、日本の飲みニケーションを無駄と考えてもだめで、これによって、仕事が早く進むと言うこともあり、効率をむしろあげる場合もある。

    第7章
    Disagreeing: confrontational vs. avoids confrontation
    オープンな場で議論をするかどうか。
    フランス人は人前で不賛成を表明し、議論を活発に行う。そうすることで、良い案にブラッシュアップされていくと考えているから。プレゼンをすると批判の嵐になって、落ち込んでいると最後には「良いプレゼンだったね」と話しかけてくると言うことがあるらしい。

    逆にアメリカのようにいろんな民族がおり、confrontationを避けることっが至上命題という国では、confrontationは避けられる。

    アジアもそう。このようにavoids confrontationの国では、事前に意見をまとめてくる時間を与えたり、先に上司が意見を発表せずまず部下に意見を言わせるというような工夫がないと議論は活発化しない。

    第8章
    Scheduling: linear-time vs. flexible time
    ドイツや日本は時間にストリクト。
    発展途上国は日々社会が変わっていく中で、時間を守るよりもいかにフレキシブルに対応するかが重要なため、時間を守らない。
    中国も時間を守らない国。だから、当日になって「今日会える?」ということもよくある。ただ逆に自分が急に時間が空いた時に「今から会える?」ということも可能。

    多国籍の人がいる場合、チームの時間文化を最初に決めることが重要。このチームでは時間ぴったりにくるのが文化でルールです、破ったら罰金というようにリーダーがクリアに決めてしまう。

    まとめ
    他の国と仕事をしていてトラブルが発生した時には、まずそれぞれの国が8つの基準についてどういうポジションにあるのかを理解する。そして、乖離のある部分に対して、お互いに意見交換をすることが大事。

  • 1 コミュニケーション
    ローコンテクスト vsハイコンテクスト
    2 評価
    直接的vs間接的なネガティブフィードバック
    3 説得
    原理優先vs応用優先
    4 リード
    平等主義vs階層主義
    5 決断
    合意志向vsトップダウン式
    6 信頼
    タスクベースvs関係ベース
    7 見解の相違
    対立vs対立回避
    8 スケジューリング
    直線的vs柔軟

    日本について
    1.2 ハイコンテクスト&間接的
    アジアの中でも端

    3 アジアは包括的思考

    4.5 階層主義なのに合意志向
    いずれも端なので特異、傾向ではドイツに近い、中国は階層&トップダウン、オランダは平等&合意志向、アメリカは平等なのにトップダウン

    6 関係ベース寄り
    アジアの中では比較的欧米寄り

    7 対立回避&感情表現控えめ
    アジアの中でも端

    8 直線的
    ドイツと同レベルに端、中国と正反対

  • 著者が推奨する8つの指標で我が日本はいつもスケールの一番端に位置しているのが目に付いた。行間を読む文化や、人を傷つける直接的な物言いを避けたり、とっても階層的な社会なのに極端な合意志向、対立回避型で、時間管理は細かい。こんな特徴的な文化背景に育った僕らが、国際交流の現場で苦労するのは当然のことなんだね。常々攻撃的と感じていたオランダやドイツでは、それが悪気ではないとはいえ、とても暮らせそうにありません。日本に暮らす外国人や、海外で暮らす邦人の勇気と苦労には頭が下がります。とっても面白い本でした。

  • この本は日本人同士のコミュニティでは意識する機会が少ないけれども1度でも海外の方と仕事をした事がある人にとっては救いの書!

    相手と自分の文化の違いを理解して皆が心地よく良いパフォーマンスを出せる環境を作り出す為に、

    豊富な情報と経験から導き出された「カルチャーマップ 8つの指標」は従業員の士気をあげ、クライアントを喜ばせ、あるいは単に異文化のメンバー間での電話会議が発生する時でも活用できます。
    特にマネージャー層に特にオススメです。

  • リーダーシップ、評価、意思決定、スケジューリングといったビジネスの現場で必ず発生する8つの行為を題材に、世界各国の人々の統計調査をベースに、各国の相対的な価値観のポジショニングを見事にまとめ上げた一冊。そして凄いのは、これが学術的・ビジネスの現場における有意義性と同時に一級のリーダビリティを兼ね揃えているということ、とにかく面白くて一気に読んでしまった。

    本書が優れているのは、例えばコミュニケーションに関して「ローコンテクストorハイコンテクスト」という軸で、各国の文化がどこに位置するかを明示している点にある。そしてここからの重要な示唆は、「絶対的な位置ではなく、自国と比べた際の相対的な位置関係の把握こそが異文化理解のためには重要」という視点である。

    想像どおり、最もハイコンテクストな国は日本であり、ローコンテクストな国はアメリカとなる。日本のように極端なポジションの国から見ると、他の全ての国は等しくローコンテクストのように見えてしまうが、実態はそうではない。イタリアから見れば、ロシアはハイコンテクストな国だが、イギリスはローコンテクストな国であるように、ある国から相対的に見てどうか、という点を本書のポジショニングで理解することができる。

    また、面白いのは、コミュニケーション(ローコンテクストorハイコンテクスト)と評価(ネガティブフィードバックは間接的or直接的)の2軸のポジショニングである。直観的に我々は、ローコンテクストな国=ネガティブフィードバックは直接的、ハイコンテクストな国=ネガティブフィードバックは間接的、と捉えてしまいやすい。しかし、この両者の関係が逆転するケースが実は存在している。この代表例は最もローコンテクストな文化を持つアメリカである。アメリカではネガティブなフィードバックを相手に直接伝えるようなイメージがあったが、実は評価におけるネガティブフィードバックは例外的に間接的に伝えるのだという。このようなイメージとは異なる事実を、ビジュアルで理解でき、我々のパブリックイメージが崩れていく面白さを本書では楽しむことができる。

  • 「文化は仕事に大きな影響を与えている」……技術一辺倒でやっていくと息を巻いていた10年前の自分にこんなことを言っても全く聞く耳を持たないであろう。しかし、実際に仕事をしていて、これを実感する機会は多い。やり取りや人間関係は仕事において本質的であり、そこでの人の動き方には文化的な背景が大きく影響している。

    本書は、多国籍チームや国をまたいだビジネスにおけるやり取りや人間関係を円滑にするための知識とテクニックを伝える本である。文化的要因の強い国ごとの習慣の違いを8つのトピックに分けて議論する。各トピックで一つの大まかな指標を取り上げ、代表的な国がその指標に関して直線上にマッピングされる。例えば、最初に取り上げるのはコミュニケーションがローコンテクストかハイコンテクストか、というトピックである。ここでは、ローコンテクストな国が左に、ハイコンテクストな国が右に来るような図が示される。この図を見ることにより、コミュニケーションをする相手の国と自分の国の相対的な位置関係を理解し、本のアドバイスを活かすことができる。

    例えば、面白いなと思ったのは、①ローコンテクストな国同士②ローコンテクストな国とハイコンテクストな国③ハイコンテクストな国同士、のどのパターンが一番厳しいか、というのがあった。正解は③である。文化的背景が異なるハイコンテクストなコミュニケーションは極めて意思疎通が難しい。一方で、文化的背景を共有するハイコンテクストなコミュニケーション、即ち日本人同士のようなパターンは、実はメリットもあそうだ。まず、主張を繰り返さないので、効率的である。また、意見の相違があっても、空気を読み合うので、関係性や調和を維持しやすい。自分はUSが中心となっている国際的なコミュニティへの論文投稿で、常になるべくローコンテクストに寄せるよう心がけて活動していたので、いつしかハイコンテクストなコミュニケーションは良くない物だとなんとなく思ってしまっていたが、言われてみるとその通りでメリットもあるなと思い、面白かった。

    「文化」というとつい教養よりの非実用的な印象を持ちがちだが、この本はかなり具体的かつ実用的な本であると感じた。訳書なので日本を中心とした本ではないということがまた良い。例えば、2ヶ国以上が関わる多国籍なチームや社内の日本人が含まれていないようなチームに関して考えるときにも役に立つ。また、実際には日本人のみのチームを考える際にも役に立つように感じた。日本人の間でも個人差はあり、日本人同士を直線上にマップしコミュニケーションの課題を考えることもできるように思う。

  • ===qte===
    リーダーの本棚お茶の水女子大学学長 室伏きみ子氏 
    多様な文化の相互理解に

    2018/12/1付日本経済新聞 朝刊
      小さい頃から読書に親しんだ。
     父親が元文学青年で、仕事のかたわら詩も書く人でした。家には本があふれていました。
     美しい絵は、本を読む楽しみの一つです。幼稚園児のころから好きだったのが、初山滋さんです。詩集『こころのうた』は、初山さんが装画を担当しました。高村光太郎、三好達治、立原道造、八木重吉さんら、自分が大好きな詩人の詩が収められています。
     いわさきちひろさんの絵にも、心ひかれてきました。余白の使い方、線の美しさなどに、初山さんの影響を感じます。命あるものに向ける優しさと悲しみが絵にあふれていて、とても心が落ち着きます。『母のまなざし、父のまなざし』は、疲れて心が萎えそうになったときに、よく見ています。
     理系への関心も、早くから芽生えていたかもしれません。自分では覚えていないのですが、幼稚園のころ子ども向けのキュリー夫人のお話を読み、「キュリー夫人みたいになりたい」と母親に言っていたそうです。
     『キュリー夫人伝』は中学生のころ読みました。夫人の次女が書いた本で、マリーと夫のピエールの人となりがよく分かります。徒労に終わるかもしれない、それでも何度も実験を繰り返す。その姿に感動しました。発見した元素は医療に応用され、多くの人を助けます。「自分もいつか人の役に立つ研究を」と思うようになりました。
      研究者、教育者として歩むとともに、子育てもしてきた。
     研究の道に進んだのは、学校の先生の影響も大きかったと思います。小学校の理科の専科の先生は、教えるよりまず「どうなるか考えてごらん」という先生でした。自分の予想を伝えると校庭で遊ばせてくれます。そして次の授業で実験し、確かめました。これこそ本当の教育ではないでしょうか。同学年から5人が研究者になりました。
     中学からはお茶の水女子大附属に通い、ここでも先生方に恵まれました。大学院の博士課程で結婚し、長男が生まれてすぐに夫婦で米国に留学することになりました。米国では時間外に子どもを連れて行くと、研究室のみんながかわいがってくれ、助かりました。
     かつて自分で読み、子どもとも一緒に読んだ本の一つが『星の王子さま』です。読み返すたびに、発見があります。命のはかなさと、はかなさのなかにある美しさ。愛情と純粋さ……。目に見えないものこそ大事なのだと、ずいぶんと考えさせられました。
     『銀河鉄道の夜』も、繰り返し読んでいます。主人公の一人は、いじめっ子を助けるために自分の命を捨ててしまいます。あなたは人のために生きることに価値を見いだせるか。そう問いかけていると感じます。
      戦争のない社会、多様性を尊重する社会の大切さを感じている。
     『チボー家の人々』は、第1次世界大戦前後のフランスを舞台にした小説です。成績優秀で、医師として将来を嘱望される兄、一時は不良だったが、誰よりも平和を大切に思う弟……。懸命に生きた人たちが、愚かな戦争のなかで未来を奪われます。高校時代に読み、非常にショックを受けました。全13巻と長いですが、1冊にまとめた『チボー家のジャック』もあります。
     世界にいかに多様な考え方、文化があるかを知ったのが、小田実さんの『何でも見てやろう』でした。アメリカからヨーロッパ、アジアへとまわる貧乏旅行の記録です。くすくす笑ってしまうおもしろい本ですが、突きつけてくる課題は重いものがあります。
     『異文化理解力』は、最近、グローバル企業のトップだった方に薦められました。自分の価値観だけでものを言ったり判断したりすると、誤解やあつれきが生まれ、ビジネスもうまくいかなくなることが、よく分かります。
     世界にはさまざまな背景を持った人々がいます。互いに理解しあい、尊重しあう。そうして初めて、社会のなかで自分の夢が実現でき、人々の夢や平和のためにも力を尽くせるようになるのではないでしょうか。ミャンマーで医療貢献活動をしている医師が書いた『死にゆく子どもを救え』を読むと、世界にはまだまだ希望があると感じます。
    (聞き手は編集委員 辻本浩子)

    【私の読書遍歴】
    《座右の書》
    『星の王子さま』(サン=テグジュペリ著、内藤濯訳、岩波書店)
    『チボー家の人々』(全13巻、ロジェ・マルタン・デュ・ガール著、山内義雄訳、白水社)

    《その他愛読書など》
    (1)『キュリー夫人伝』(エーヴ・キュリー著、川口篤ほか訳、白水社)
    (2)『何でも見てやろう』(小田実著、講談社文庫ほか)
    (3)『<詩集>こころのうた』(八木重吉ほか著、初山滋装画、童心社)
    (4)『空海の風景』(司馬遼太郎著、中公文庫ほか)
    (5)『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治著、岩波文庫ほか)
    (6)『十代のきみたちへ―ぜひ読んでほしい憲法の本』(日野原重明著、冨山房インターナショナル)
    (7)『死にゆく子どもを救え』(吉岡秀人著、同)
    (8)『母のまなざし、父のまなざし』(ちひろ美術館編、講談社)
    (9)『異文化理解力』(エリン・メイヤー著、田岡恵監訳、英治出版)
     むろふし・きみこ 1947年埼玉県生まれ。お茶の水女子大理学部卒、東京大院博士課程修了(医学博士)。お茶大教授などを経て2015年から現職。公職も多く務める。
    ===unqte===

  • 近年、ある集団に対してステレオタイプを決めつけてSNS上で発信すると、よく炎上する。これは性別や国籍によって出来ること出来ないことの役割を決め付けたことにより、反感を持つからだろう。ただし、本当に性別の差や、国籍、しいては文化の差を無視してよいものだろうか。
    本著では、国籍や文化が違うことが前提でビジネスをすべきだと説いている。これまで育ってきた環境は生き方に強く影響するため、このような前提を持つことは当たり前だろう。例えば、ある人の文化にそぐわないことをすると機嫌を損ねてしまう可能性があるように。グローバル社会で仕事をするためには、まず異文化を理解しよう。

  • まずはコミュニケーションのローコンテクストとハイコンテクストの差を知ろう。ハイコンテクストなコミュニケーションでは、そこでの会話はとにかく言外の意味や暗黙の了解が多く、少ない言葉数に多くの意味が込められて、皆が基本的な常識を知っている前提である。一方ローコンテクストなコミュニケーションでは、1つ1つの事項はとにかく細かく言葉にされ、逐一確認をしながら先に進んでいく。そう、ハイコンテクスト世界一は日本であり、ローコンテクスト世界一はアメリカだ。
    さて、日本人からすると欧米人は誰をとっても論理的であり、おしゃべりであり、基本的に建前は言わず、そして時間にはルーズ、そんな印象があったりする。ところがどっこい実際には各国の民族差というのはあるもんだ。だから例えばアメリカ人とドイツ人が会議をすれば、アメリカ人側からするとドイツ人はやけに批判的に感じるし、ドイツ人からするとアメリカ人の物言いは結構回りくどい。これはドイツ人のコミュニケーションがローコンテクストであり、かつ極めて直接的なネガティブ・フィードバックを好むから。一方アメリカ人は同じくローコンテクストながら、ネガティブ・フィードバックは間接的なものを好むことによる。そう、アメリカ人ははっきり直線的というイメージだが、存外批判はオブラートの中に包んだものの言いようをする。そして日本はハイコンテクストかつ間接的なネガティブ・フィードバックの世界代表だ。そりゃあコミュニケーションの齟齬が生じるよね、と。アングロサクソンの中ではアメリカがローコンテクスト代表、イギリスはハイコンテクスト代表らしい。だからイギリス人はブラック・ユーモアを解するが、アメリカン人にはそれがジョークだという説明が必要だという。
    全体になるほどねえ、という感想を抱くが、難しいのは国内では国内で相対的なハイコンテクスト、ローコンテクストな人の間における齟齬が生じるわけだ。精神科医的にはASDやADHDの人はローコンテクストな指示でないとわからないという気がするし、定型さんたちはハイコンテクストと言えよう。最近私がよく読む戦国武将たちはやたらとハイコンテクストな内容でやり取りしていますな。

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