行動探求――個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ

制作 : 小田 理一郎  中小路 佳代子 
  • 英治出版
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762139

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  • 「行動探求」Bill Torbert

    大人になると、新たな行動論理へ発達させる為に、生涯をかける長い旅を意図的に続ける人は殆
    どいない。

    現実をどのような枠組みで捉えるかについて一つの絶対的な方法はない。

    職場や家庭での衝突の主因は、個々の発達段階の特徴による行動論理の違いである事に気付いて初めて人は自身や相手の行動論理を理解する事に力を尽くすようになる。

    行動探求は内から外で機能する。行動探求が始まるのは、自分がやりたいと願う事と実際にできる事の間にギャップを経験するから。このギャップに気づく事で私たち自身の現在の能力を超えた何かを達成しようとする明確な意図を生み出す事ができる。

    権限に基づき一方的に行使される力は、目先の黙認、盲従、依存、抵抗を生み出す。その力が変容を生み出すことはない。

    行動探求は無意識的、習慣的に行動するのを止め、私たちが意識を高め、意図的に探求を実践するたびに個人の日常生活に異なる新たな未来を生み出す。

    行動探求を実践すると、していない人よりも競争上圧倒的に優位に立てる。

    システム理論における3つのフィードバック
    1次ループ、、挙動、行動
    2次ループ、、戦略、構造、目標
    3次ループ、、注意、意図、ビジョン

    注意を働かせる4つの体験領域
    第一領域(幼少期)、、外部の出来事:結果、評価、観察される行動結果、環境への影響
    第二領域(10代)、、自分が認識する行動パフォーマンス:具現化の過程で認識される挙動、スキル、行動パターン、行為
    第三領域(20歳前後)、、行動論理:スキーマ、策略、行動計画、典型的な経験についての内省の様式
    第四領域(僅少の成人)、、意図に関する注意:プレゼンシングの注意、ビジョン、直感/直観、目的、スーパービジョン

    26歳までに習得した第三領域までの行動論理を多くの人間は変容させないが、残り4割の人間はさらに変容し、達成者型に進化する。

    発達段階モデル
    2B機会獲得型、、、自己に有利な機会を見出し、結果の為に手段を問わず行動する。第一領域を主現実として扱い、物事をコントロールする事に重点を置く。一方的な力を唯一の効果的な力と考え、判断の為の期間を数時間から数日と非常に短く設定する。力こそ正義。自分が勝つ事が行動原理。お金を持っている者が力を持つ。この為に発達が大幅に制限される。

    3B外交官型、、、周囲の状況・既存の秩序に合わせて調和を重んじて行動する。第二領域を主現実として扱い、効果的に行動する為に自制心を働かせる事に重点を置く。地位の高いメンバーを模倣する。ルーティン業務に重点を置き、1-3ヶ月の対象期間で判断する。「予定通り」を重んじる。「上の人がうんと言わないだろう」。承認を得る事に焦点を当てる。適切なタイミングでの適切な言葉が正しい規則を守る為に不可欠だと考える。
    フィードバックはメンツや地位を失うの同じ。メンツの保持が鉄則。集団の規範に疑問を投げかけられない。このリーダーの下では現実を変えたり新たな戦略機会を創造する事はない。よく見せる為に目標を下げたり数字の改ざんさえ行う。政府による援助依存を生み出す。

    4A専門家型、、、第三領域を主現実として扱い、具体的に体得した特定の分野を一つ以上習得する事に重点を置く。問題解決に関心を置き、原因を追求する。自己の論理・効率を重視し完璧を目指して行動する。他者に批判的。効果より効率。独断的。ユーモア=悪ふざけ。内部的に一貫した道徳観に対する義務感。「唯一の正しい答え」を導こうとする。グループに迎合せず、グループから際立たせようとする。論理の力を最も意味のあるものとして扱い、6-12ヶ月の対象期間で判断する。スキルに基づく自分の判断を客観的なものとみなす。特定の専門領域において「完璧」に拘る。些細な点に囚われる。効率的に任務を成し遂げる事を重んじる。専門家からのみフィードバックを受ける。

    4B達成者型、、、目標を掲げ、効果を得る為に他者を巻き込んで行動する。1-3年の対象期間で判断し、戦略、行動、結果の評価の間の相互作用を主現実として扱う。自身が予め決めた重点事項にのみ成果を求める。予定した結果に最終的に到達する為に行動に1次ループの変化を徐々に起こす。自分が市場で短期間に勝ったり、合意された期限を守ったり、効率と効果性を同時にやりくりする事に重点を置く。行動論理そのものの妥当性を疑問に感じて行動の最中に自分の手法を再構築する事はできない。

    5A再定義型、、、戦略・手段・意図の一貫性を問いながら独創的に行動する。相対論的に考える。現在と過去の両方に重点を置く。対立感情を意識する。自己や他者の独特な自己表現に関心を持つ。自力で行う創造的な仕事を追求する。共通点や安定性よりも相違点や変化に惹きつけられる。判断や評価をしない。自分自身の影に気づき始める。相対論以降の原則は未構築。

    5B変容型、、、規則、習慣、例外ではなく、道義、協定、理論、判断を重視する。相互性と自律性を好み、時宜を得て発達を促しながら行動する。弱い自分をさらけ出せる。進化する個性を歓迎する。自律性の限界に気づき、自律的な友人との結びつきを宝物として大切にする。関係性や組織化の初めに明確な相互のビジョンの策定が重要になる。思考や目的を状況の中で再定義し続ける。複数の思考の不一致や矛盾を調整する。矛盾する張力を肯定的に評価し、変容させる解決策を追求する。組織内の役割が何であろうと真に人々を導く。個人や組織の発達を促す方法で社会的不平等を正す。グローバルなビジョンを持つ。おおらか、純粋と強さが入り混じる。感情表現豊か。現在と未来に対する感受性が高い。自身のニーズを超えたところに人生の目的を見出す。自身や他者の継続的な発達が第一の関心事。使命感を持って個人的な探求、ライフワークに関わる。従来の家庭と職場の境界を持たない。アイデンティティの問いは、社会的精神的使命感が含まれる。様々な役割を担う事を楽しむ。機知に富み、経験に基づいたユーモアがある。

    6Aアルケミスト型、、、絶えず自身の注意を働かせ、直感、思考、行動、外の世界への影響の相互作用に対する、1次、2次、3次ループのフィードバックを追求する。明るい面、暗い面を持ち、永続的なパターンの反復、メタ認識で他者を包摂する。意図を察知し直観的・タイムリーに他者の変容を促しながら行動する。多くの組織の中で重要なプレーヤー。調和的でありながら無秩序。仕事を遊びにする仕事遊びをする。ビジネスと芸術と余暇を織り合わせる。1日の中でペースが大きく変動する。行動自体が目的。個人、組織、国際政治というあらゆるレベルの発達類似性に注意を向ける。自身のカリスマを仲間を魅了する為ではなく、協働的な行動探求を行う意欲を掻き立てる為に使う。歴史的、精神的変容の作業に意図的に参加する。枠組みを再設定する想像上の出来事を共同で創り出す。時間と出来事を象徴的で類似的かつ隠喩的に扱う。生命や愛の源に対してその瞬間瞬間に探求する。真剣さと不条理という反する者同士の結合。探求的な友情はあらゆる境界線を超える。定まった言葉で表すことはできず、継続的に新たな事実認識、影、驚きに対して開かれている。善悪等の分極化は相対的に固定された一方的なものの見方であると認識する。行動論理は他者をマネジメントするものではなく、我々自身の注意と外の世界の両方に対する継続的な挑戦。公式の地位を不要とする。傾聴の中に情熱と冷静さと思いやりをいつどのようになぜ混ぜあわせるべきなのかを常に考えて言動する。

    マネージャーは、達成者型を超え、再定義型の相対主義を経て変容者型の行動論理に至るまで考え方を進化させていく事が求められる。

    個人の行動論理は、前ステージまでの全てが内包される。

    体調や心境により、行動論理が退行する事もある。

    一つ前段階の行動論理を蔑視する傾向がある。

    達成者型までの経営者は、自分より先の段階にいる幹部、スタッフを遠ざける。

    参加者全員の相互性の感覚を最大限に活かすこと。

    折り合わせる話し方の4構成要素
    枠組み、、目的、前提の共有
    主張、、行動の為の選択肢、認識、感情、戦略について
    説明、、主張に肉付けする具体的なストーリー
    問いかけ、、相手がどのように枠組み、主張、説明を行うのかについて

    4つの構成要素に一貫している価値観は相互性。
    枠組みは注意に、主張は思考に、説明は感知に、問いかけは懸念によって導かれる。

    今の状況において、どんな問いかけをすれば可能な限り最も広い共通理解と協調的行動を引き出すかを見出す。

    いかなるレベルの組織であっても、リーダーは3次ループを持つ学習システムを生み出すのに必要な個人や組織の変容の支えになる事。

    高いレベルの気づきを生み出す方法
    1.精神的訓練
    2.内省グループの組成
    3.コーチを見つけ、その下に自伝を書く

    学習する組織では、疑問の投げかけが許され、前提が検証され、ミスが許容される。さらなる学習の基盤となり、新たな知識は共有され、新たな知識が協働的に獲得される。

    効果的な行動探求の鍵は、個人の注意と4つの体験領域を織り合わせる人間同士の会話を生み出す事。

    機会獲得型の組織の目的は利益の増大。長期的には成長が阻害される。

    外交官型の組織は市場の論理に従って行動する。必死に合わせようとして自尊心を失う。市場のニーズを満たせたとしてもそのために次に段階に発達できない。

    専門家型の組織は実験段階に入る。

    達成者型の組織は成功すると現在の文化や構造に縛られるのでゆっくり衰退していく。

    発達プロセスはフラクタル。一つの会議体でも当てはまる。

    状況の枠組みを再構築して、ビジョン、戦略、実行をより調和的に具現化するような方法を見つける事。

    達成者型までの目的は「勝つ事」で既存の枠組みの中でプレーし、それ以降型はゲームを続ける事を目的とし、既存の枠組みと未知の境界線でプレーする。

    協働的な探求プロセスの価値と論理を十分に理解するのは変容者型以降のメンバーだけ。

    経営陣が変容者型なのとCEOが変容者型なのは相関していない。

    グループは実際的な問題から感情的問題、精神的な問題へと以降させる事。衝突を理解に変え、理解を行動に変える事を追求する。

    再定義型以降の真実に生きる事に決めた人は、完全に類を異にする事によって自らを社会の権力から切り離す事。

    外部に仮想敵を作るのではなく、自分たちのグループ内の不一致に焦点を当てる。

    機会獲得型、専門家型、変容者型の共通欠点は、主張する権利を過信している事。

    外交官型、達成者型、再定義型の共通欠点は、不調和の明確化が役に立つ時でも対立的に話さない事。

    犯罪者は機会獲得型が多い。

    探求の基盤コミュニティの特徴
    ・反する者同士の継続的な相互作用を高く評価する。
    ・精神的直感的なビジョン、理論的実践的な戦略、タイムリーな実行、結果の評価の間の関係性について経験に基づいた実験的な研究を継続的に行う。
    ・多様な背景の人々の仲間のような相互性と、謙虚で柔軟性のある行動探求を実践する。
    ・組織内部や環境との間で政治的摩擦がある。
    ・他者のストーリーは私のストーリーになる。

    行動論理が変容する人間の方がより健康だった。

    行動よりも探求を強調する。

  • 2018年10冊目。

    人間の意識の発達度合いに応じて、組織のあり方が進化してきているという主張をしている『ティール組織』を読んで、この本を想起したので再読(注:共に自社本)。
    上記の本の中で、「組織の意識はそのリーダーの意識のレベルを超えられない」という言葉が出てくる。
    『ティール組織』が「意識の発達度合いに応じた組織の進化」であれば、まさにこの「リーダー(個人)の意識のレベルの進化」に焦点を当てているのが、『行動探求』だと思う(こちらでも組織の進化レベルの話も出てくるが)。
    「機会獲得型」から「アルケミスト型」までの7つの行動論理を復習して、今回はそれぞれに当てはまりそうな自身の行動を振り返って書き出してみた。
    自分が陥りやすいパターンや、逆に高次の行動論理で動けて調子がいいのはどういうときか、見直す良い機会になった。

    ※自社本に対する個人的なメモです。宣伝の意図はありません。

  • 読了

  • 分からないところもかなりあるけど、とりあえず、なんとか通読。

    という感じで、レビュー出来る状態ではないが、忘れないうちに感想をいくつか。

    「学習する組織」って、一つのコンセプトで、それを実現する決まったステップがあるわけでもなく、「これこそが学習する組織である」という組織があるわけでもなく、さらには「こういう状態が理想の学習する組織である」というものも決まっているわけではない。

    でも、「学習する組織」というコンセプトに共感して、そんなことになればいいな〜と思いながら、やれるところから、周りの人と学びながら、一緒に取り組んで行くこと。そういうプロセスが、「学習する組織」である。といってしまえば、まあ、そんなものかな?

    と思いつつも、現実的には、学習する組織への「5つのステップ」とか、「最初の一歩」みたいなガイドは、欲しいと思うことも多々ある。(で、そういうニーズに応える本もいくつかあると思う)

    そういうなか、学習する組織にむかう現実的なステップ(個人レベル、ニ者間レベル、組織レベルの3つのレベルで)を具体的に示している本として、読んだ。

    が、文化の差なのか、事例のところとか、そもそも、なにが論点になっているのかが、ピンと来ないところもあって、途中でだんだん分からなくなってきたので、とりあえずオーヴァービューするために最後まで通読してみた。

    というところで、やっと全体がおぼろげながら見張らせて、お〜、こういう問題を扱っていたわけね!と分かった感じ。

    分からないなりに、感想とか、先入観的に誤解していたことなどをいくつか。
    ・トルバートは、センゲやシャーマーの先生で、アージリスの同僚みたいな人ということなので、勝手に「学習する組織」第1世代で「古典的な議論」と思って読んでいたのだが、全部読んでみれば、カバーしている領域は、第2世代、第3世代?まで入っている?というか、もっと広いカバレッジを可能性としてみているんだな〜。
    ・たとえば、U理論の「プレゼンシング」という言葉を作ったのもトルバートらしいし。センスいいよね。
    ・帯には、「アルケミスト型リーダーをめざせ」と書いてあるのだけど、なかなか「アルケミスト」の話しはでてこない。最後のほうにやっとでてくるのだけど、これについては「皆さんは反発を感じるかもしれないし、まためまいや吐き気をかんじるかもしれない」そうだ。
    ・が、わたしは、「当然」、そこが一番面白かった!多分、U理論でいっているプレゼンシングみたいな話しと近いところなんですね。
    ・ある意味、アルケミスト以外の話しは、当たり前に感じてしまった訳です。
    ・ということを言って、気づいたのは、まさにこの当たり前のところをしっかりとおさえずに、これまで、「学習する組織」だ、「U理論」だと、「アルケミスト」的な世界にいきなりチャレンジしていなかったか。。。。う〜ん、猛省。
    ・で、その「当たり前」な世界にも、実に複雑な人間心理の交差があるんだよね。それをあとで反省して、次に活かすのではなく、今、ここで気付いて、今、行動する、まさに、アクションとインクワイアリーが同時になされるというわけか〜。
    みたいなこと。

    というわけで、何について書いてある本なのかがやっと分かった気がするので、もう一度、何が書いてあるのか、しっかり読んでみます。

  • 個人の変容、リーダーへの成長?のステップというかその時の行動を7つの行動論理に分けて説明。それと同じ分け方で、組織の成熟も説明できるという内容。
    アルケミスト、錬金術師になるべし。
    系統だった説明であるが、そこまでパターンで考えられるか?という印象。

    機会獲得型……自己に有利な機会を見出し・結果のために手段を問わず行動する
    外交官型……周囲の状況・既存の秩序に合わせて調和を重んじて行動する
    専門家型……自己の論理・効率を重視し完壁を目指して行動する
    達成者型……目標を掲げ、効果を得るのために他者を巻き込んで行動する
    再定義型……戦略・手段・意図の一貫性を問いながら独創的に行動する
    変容者型……相互性と自律性を好み、時宜を得て発達を促しながら行動する
    アルケミスト型……意図を察知し直観的・タイムリーに他者の変容を促しながら行動する

  • 面白い、リーダーシップの醸成パターン‼️

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