なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる

制作 : 中土井 僚  池村 千秋 
  • 英治出版
4.25
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本棚登録 : 133
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762207

作品紹介・あらすじ

ほとんどのビジネスパーソンが「自分の弱さを隠す仕事」に多大な労力を費やしている-。ハーバードの発達心理学と教育学の権威が見出した、激しい変化に適応し、成長し続ける組織の原則とは。

感想・レビュー・書評

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  • キーガンの新作。

    「なぜ人と組織は変われないのか」でも、組織を取り扱っていたのだが、どちらかというと組織というより個人個人への取り組みの積み上げという印象があった。内容的には、前作の延長にあるのだが、こちらは、「組織」がより明確にフォーカスされている感じ。

    組織開発関係の本はそれなりにいろいろ読んでいるつもりではあるのだが、この本からは、久しぶりに、純粋な刺激を受けた感じがする。

    つまり、自分の知っていること、考えていること、問題意識を持っていることと、かなり近いところにあるのだが、答えの方向が自分の予想と微妙違っていて、「なるほど」と思ったり、「どうしてそうなるんだろう?」「本当だろうか?」と色々な考えが頭を巡った。

    最近の私の問題意識として、性善説というか、人間の全体性とか、肯定的意図とか、ポジティブなものをベースにしたアプローチは、元気が出るし、基本好きなのだが、それだけでは、どうも上手くいかないこともたくさんあって、そこをどう考えればいいのか、というものがある。

    多分、この本のベースもこの問題意識の上に立っていると思う。

    そして、仕事に、単なる職務上の役割ではなくて、一人の人間として自己一致して取り組むことができる。そして、組織の発展だけでなく、一人ひとりの人間の成長にフォーカスされた組織を作りたい、という思いはとても共感できる。

    そのためには、自分の弱みもちゃんと出せる組織がいいんだ、というところまでは、多分、全面的に賛成。また、リーダーシップとしても、じぶんの弱みを見せることができる、ということは大切だと思う。

    が、多分、私は、その弱みはチームでカバーしあう、という方向での解決を求めているのだと思う。欠点もある人間が協力しあって、弱みをキャンセルして、チームとしての強みを活かしていく(これはドラッカーの思想の中核でもある)、ということだと思っている。

    一方、この本に出てくる組織では、互いの弱みを発見しあって、弱みの改善に向けて、頑張り続けることを組織的に推進する感じ。

    これは、かなり痛い、よね〜。

    自分の欠点、至らないところ、ようするに真実から逃げずに、しっかりと見つめ、謙虚にそのための改善努力をする。そうしたお互いの成長を共にサポートしあう組織。

    個人的には、正直なところ、そういう組織にいたいという感じはあまりしないかな?ちょっと、怖い気がする。

    「学習する組織」の5つのディシプリンもややストイックで、似たニュアンスを感じる部分はあるのだが、全体としては、元気になれる、頑張ろう!という気持ちになれるんだけどね。

    というわけで、自分なりに消化するのに、しばし時間がかかりそう。

    でも、通常の組織開発本とは何か違うものを提案している必読書だと思う。

  • 「失敗を経験するための投資」は、同社で模範的な行動とされている。元々は、パフォーマンス・コーチのジョッシュ・ウェイッキンの言葉だ。

    同社では、心理面・人格面での長大な「性格」のリストを使って社員のバックハンドを明らかにしてきた結果、ほとんどの人の弱点の根っこにあるのは、自信満々すぎる(傲慢)ことか、謙虚すぎる(不安)ことかのいずれかだとわかった。

    ペイン・ボタン。

    ブリッジウォーターの創業者であるレイ・ダリオは、「私はいつも失敗している」と題した電子メールを全社員宛に送り、社員たちにこう問いかけたことがある。「あなたは、自分がどのくらい優れているかと、どのくらい速いペースで学習しているかの、どちらをより心配しているのか?」

    ネクスト・ジャンプがものごとの失敗の原因を調べたところ、最も多いのは、感情のマネジメントがうまくできないパターンだとわかった。同社で言う「人格のアンバランス」の問題である。感情をマネジメントできなければ意思決定の質が落ちると、同社のリーダーたちは考えている。共同創業者のミーガン・メッセンジャーの言葉を借りれば、「たいていの企業には、自信満々の実行者はいても、自信満々の意思決定者はいない」
    のだ。

    私たちはDDOでない組織と関わるとき、いつもこう尋ねる―「職場のあり方に対して重要な意味をもつ問題について、ほかの人たちにどの程度率直に話していますか?10点満点で採点してください。まったく率直でない=1、完全に率直である=10とします」。この質問に匿名で回答してもらう(匿名性を保証しないと、率直に答えてもらえないからだ)。平均は6点くらいだ。お粗末と言うほかない。医師や弁護士や配偶者が本来あなたに伝えるべきことの六割しか話してくれないとしたら、どう思うだろう?

    私の過去の映画館ビジネスの経験では、19歳と65歳を一緒に働かせれば、確実に悲惨な結果になりました。互いに話が通じないからです。同じ人間として通じ合う部分がない。うまくいったケースは一つもありませんでした。ところが、私たちの映画館では、それがコミュニティに幸せをもたらしています。

  • 「なぜ弱さを見せ合える組織が強いのか」Robert Kegan, Lisa Laskow Lahey


    仕事で燃え尽きる最大の原因は、成長を感じられずに長く働き続ける事。


    VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)が強まる世界では、試練もチャンスも増える。このような環境では社員の一人一人に要求されるものが多くなる。

    VUCA時代の企業は、技術的な課題だけでなく、適応を要する課題にも直面する。技術的な課題は、マインドセットと組織デザインを改良する事で対応できるが、適応を要する課題は、個人や組織がそれまでの自己を超越しなければ対処できない。

    従来的幸福の定義は、喜びを感じられる状態、苦痛や退屈を感じない状態、そして前向きな感情やレジリエンスを通じて、ものごとへの関わりとやり甲斐を感じられる状態。一般的に称賛される「いい職場」でやり取りされる「新しい所得」はこのタイプ。具体的にはフレックス勤務、ビリヤード台とダーツボード、専属シェフによる24時間体制の食事提供、有識者を招いた講演会、昼寝スペース、無制限に取得できる休暇等。
    一方、ユーダイモニアとは、人間が可能性を開花させるプロセスを幸福とみなす考え方。やり甲斐と関わりの要素を伴うが、その感覚は自己の成長と開花を経験する事。ありたい自分の姿に近づく事。より自分らしく世界と関わる事による充実感との関係で得られるもの。

    弱さは、恥や恐れや自己肯定感の乏しさの基である反面、喜びと創造性、帰属意識、愛情の根源にもなる。

    社員が成長し始めると、売上とビジネス全般に好ましい影響が及ぶ。

    人間には他人に奉仕する天性の性質が備わっており、もし仕事の場で他人に奉仕して充実感を味わえなければ職場以外でボランティア活動に携わり、その充実感を得ようとする。

    人は自らの成長を感じ、同時に他の人を助ける活動に携わっている時、真の豊かさを、つまり長く続く幸福感を味わえる。この豊かさは給料からは得られない。

    長期の幸福感は、意義を感じられるような仕事を作り出せる文化があって初めて得られる。

    人は手段であるだけでなく、それ自体として尊重される目的である。

    ワークライフバランスを目標やキャッチフレーズにする事を拒む。もしライフが職場から排除されれば、ワークは非常に暗澹たるものになるから。喜びのある人生と仕事はトレードオフにはならない。

    昔は、人を大切にするとは会社と社員が絆で結ばれ、会社が社員を保護する事を意味したが、今は人々が開花できる場をつくる事。人が花開くとは、楽しく生きる事や自我が脅威や試練やリスクにさらされない事を意味するわけではない。

    全てのメンバーがコミュニティ的な意識決定プロセスに参加する。

    あなたは、自分がどのくらい優れているかと、どのくらい速いペースで学習しているかのどちらをより心配しているのか?

    社員のキャリアの発展ではなく、社員の人間としての発達に光を当て、組織を大きくすることにより、組織をよくする事をまず考える。

    発達するとは、人が世界をどのように理解するか?そして年齢を経るにつれて、その理解がどのように広がり、歪みが小さくなり、ほかの人の視点を受け入れられるようになり、しかも主体性が高まっていくか?

    人は、個人の知性のレベルがその人の行動に及ぼす影響について驚くほど知らないが、個人の行動はその人がどのレベルの知性に基づいて組織文化を見るかに強く影響される。

    組織としての目標とメンバーの能力の発達を一体のものと考える。

    文化と利益がトレードオフの関係にある時はいつも文化を優先させる。

    職場生活に個人の内面の要素を持ち込み、外面の行動だけでなく頭の中の事にも関心を向ける必要がある。

    繰り返し活用できる安定的な慣行や構造、ツールが必要。

  • 「自分の弱さを隠そうとする」「同僚について陰口を言う」と言った行動が組織に与える影響に向き合い、構成員全員が内面的な成長を遂げられるようにするための組織づくり。自分の死角をあぶり出すワークは、時間をかけてやる価値がある。

  •  発達型指向組織についての本。
     タイトルとおり、弱さを見せ合い、それを克服することで、個人のみならず、組織全体も強くなる。

     さて。
     私がなぜ本を読むのかと言う理由に「自分の知らない事を知りたい」というものがある。発達型指向組織について、今の私が知ったところで、属する組織が変わることはない。けれども、それを知ることで、変化できる可能性を得ることができる。考えて方の引き出しというか、いざというときのネタとして、というか。引き出しは多い方が人生が楽しい気がする。

  • 間違いなく人生に大きな影響を与える本であると思う。
    自己の分析が終わって、始められることからすこしずつ始めていて、少しずつ変わってきている実感がある。
    ずっと持っておきたい本であり下取りに出すことは考えられなかったので、テキスト、参考書以外で初めてマーカーを引いた。

  • はたして誰がこれに耐えられるか。カルト宗教を連想した。人が常に成長を求められるとは、なんと過酷な組織よ。あたしゃ心を病む自信があるね。読んでるだけで辛くなったよ。

  • 興味深々❣️遵からの紹介です。刺激的かつ過激的な発達に関する科学的な知見です。

  • 読了

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