隠された悲鳴

  • 英治出版
3.82
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本棚登録 : 254
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762894

作品紹介・あらすじ

「果敢に真相解明に挑む主人公の知恵と勇気とど根性に感服」宮部みゆきさん/読書委員が選ぶ『2019年の3冊』・読売新聞(2019年12月22日)

なにが彼らを“怪物"にしたのか

ボツワナの現職女性大臣が
実際の儀礼殺人事件をもとに描いた
驚愕のアフリカ発サスペンス。

ある午後、ある村で行方不明になった12歳の少女。
村では「儀礼殺人」ではと噂が流れるが、警察は野生動物に襲われたのだと結論づけた。

5年後、その村に赴任した若者が、ひょんなことから事件の真相を追うことになる。警察、政治家、実業家、校長、村人、被害者の母…
何重にも折り重なった嘘と秘密の先で、彼女が見たものとは―。

ラスト10ページ、あなたの耳から悲鳴が離れなくなる。

感想・レビュー・書評

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  • アフリカ発の衝撃の物語。少女の死の真相を説く鍵は……|ユニティ・ダウ『隠された悲鳴』 | 本がすき。 - 本がすき。
    https://honsuki.jp/review/52954/

    隠された悲鳴 | 都築まゆ美 |【東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)】Tokyo Illustrators Society
    https://www.tis-home.com/mayumi-tsuzuki/works/14394

    隠された悲鳴|書籍|英治出版
    http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2289

  • 個人的な2019年のベストワンは、この本かもしれない(まだホロヴィッツ読んでないけど)。

    日本から遠く離れたアフリカの更に現地の人も辺境と考えるような所で起こった、今の日本では考えられないような事件。
    価値観から背景とか、今の日本とは大きくかけ離れた世界なのだが、物語にすっと入り込むことができたのは、作者の巧さだけでもないと思う。

    本の帯にある「なにが彼らを怪物にしたのか」という言葉。
    怪物にしたものは、けっしてアフリカの辺境だけにあるものではないと思う。
    この日本にだって、似たようなものがここそこに転がってるし、それがない場所がこの世界にあるのか、とすら思う。

    この物語の世界は、今自分が立っている場所と地続きになっている。
    いろんな意味で、怖くて面白い物語だった。

  • 古より慣習として残る「儀礼殺人」、今なおそれにより命を落とす子どもが多くいることを、私は知らなかった。
    権力を得るために、呪術師や呪術医を頼る。困り事があると、医師よりも役所よりもまず相談に行くのは彼らの慣わしである。問題や事件は彼らに占いで解決してもらおうとする。そんな風に一見馬鹿げたような話がごく当たり前にされている地域があると思うと、なんとも言えない苦い気持ちが胸に広がる。

    ノンフィクションではなくフィクションで書いた理由は読者が読みながら自分の考えを紡いでいく余地を残すためだと著者は言う。
    正直なところ、フィクションだとはいえ、実際に起こっていることだと思うと、創作された物語としては読めない。

    この物語では、アマントルというたまたまその地域に派遣された外部の人間がその慣習に口を挟む形になっている。けれど、彼らはそんなことでは全くびくともしない。それは心の底から何も悪いことをしていないと思っているからなのか、それとも悪いと思っていても行うことが当たり前で仕方がないことだからなのか。
    こういった出来事とは無縁の読者に対しては、それを信じるものたちが固く戸を閉ざしているようにも見える。我々は黙って見ているしかないのだろうか。

    実際に起こる事件をフィクションとして書き、その問題点の本質を浮き彫りにしている手腕はすごいと思う。
    すごいと思うだけに、もどかしさの残る読後感となってしまった。

  • 3.91/210
    内容(「BOOK」データベースより)
    『ある午後、ある村で行方不明になった12歳の少女。村では「儀礼殺人」ではと噂が流れるが、警察は野生動物に襲われたのだと結論づけた。5年後、その村に赴任した若者が、ひょんなことから事件の真相を追うことになる。警察、政治家、実業家、校長、村人、被害者の母…何重にも折り重なった嘘と秘密の先で、彼女が見たものとは―。』

    原書名:『The Screaming of the Innocent』
    著者:ユニティ・ダウ (Unity Dow)
    訳者:三辺 律子(さんべ りつこ)
    出版社 ‏: ‎英治出版
    単行本 ‏: ‎336ページ
    発売日 ‏: ‎2019/8/30

  • ボツワナでの儀礼殺人事件を下敷きにしたアフリカ発のサスペンス。著者のユニティ・ダウは現職のボツワナ国務大臣である。

    『テスカトリポカ』もそうだったが、陰惨な殺人を扱った小説は言葉で感想を述べるのが難しい。主人公であるアマントルが権力に果敢に挑み、事件の内容を掘り起こしていく様は痛快なように見える。しかし、ラストの衝撃を考えると彼女は単なる狂言回しであるようにすら感じる。

    権力の腐敗やジェンダー格差は勿論問題であろう。だが、根本にあるのはボツワナ人が持つ呪術への信頼と恐怖である。ボツワナ人は何かあると「呪術医」を頼り、実際に他者を呪おうとしたり、あるいは呪いに対抗したりしようとする。

    彼らを非科学的だと、非合理的だと笑うことはできるだろうか。我々が神社に詣でる心、勝負の前に験を担ぐ心と、彼らが呪術に頼る心は同一線上にある。ダウもまた、呪術信仰については決して否定しない。彼女自身、伝統と近代のコンフリクトに対し結論を自分のなかで出せていないのだろう。そこにある歯切れの悪さが却って人間臭い。

  • 儀礼殺人に関するサスペンス
    序盤は男性観や価値観が違いすぎて読み進めるのが重かったけど、アマントルが登場してからは一気読みできた。
    文化の維持と人権の保護、時として対峙するケースがあることをリアルに感じることができた。
    人間を信仰は時として人を怪物にしてしまう恐ろしさを痛感。。。

  •  Unity Dow、ボツワナの現職女性大臣が記したものということで、興味を持った。

     帯にある”驚愕のアフリカ発サスペンス”というほどの、驚きはない。フィクションの形をとっているが、”実際の儀礼殺人事件をもとに描いた”というだけあって、素直なストーリー展開だ。
     
     ただ、未開の地アフリカの一国で、ごく近年まで(地域によっては現在も)、女性の人権が軽視され、権力や男性の欲望のために、純潔どころか、命までもが簡単に奪われていく社会があるのということを知ることには、大いに意味があった。

    「牝牛の乳首をくれてやれ!」=「4回鞭打ちする」という意味のボツワナの慣用句
    レラツアワ・ツィバ、つまりナイフを舐めるやつ = ナイフの血を舐めて証拠を隠そうとするような不正直なやつという意味
    といった、現地の慣用表現も面白かった。

     とはいえ、プロットが単純だし、登場人物の善悪の立場があからさまで、サスペンスというより、途中からは、政治色というか、反体制な民衆運動のルポのような趣きとなり、作品トーンが定まっていない感は否めないか。
     まぁ、もとよりプロの小説家がものした作品でないのは承知の上。

     ただ、これ、映画原作にしたら、もっと興味深くスリリングに脚色できるだろうなと思う内容だ。そして、より広く世界にボツワナの、あるいは周辺アフリカ諸国の現状を知ってもらう良い素材になりうる可能性を秘めていると思う。

     なかなか、興味深い一冊。

     

  • 儀礼殺人を扱った小説。小説の最初のほうは、なかなか読み進めることが難しかった。男性の考え方があまりにも、こちらと違いすぎて。胸糞悪い、という言葉がぴったりだった。
    アマントルが登場してから、どんどん読み進めることができたのに、ラストに打ちのめされてしまった。
    誰だれの母、誰だれの父、という呼び方が当然なのは、個人が認められていないように感じてしまう。けれども、それが普通の世界では疑問に思うこともないのだろう。

  • 2020年4冊目。

    自社本のため割愛。

  • 儀礼殺人というものを知らなかったので、人身売買の話かと思って読んだがとんでもなかった。
    最後の老人の告白で終わるのが、衝撃的過ぎて辛すぎて…
    今でもまだ行われているのか?怖すぎる

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