- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862852168
作品紹介・あらすじ
ルネサンスによりギリシア・ローマの古典に関する知識と興味が盛り上がり、古典の叡智とされる格言への関心も高まった。それを象徴するのがエラスムス(1469‐1536)の『格言集』で、1500年の初版には818個の格言が収められたが、版を重ねるごとに拡充され、最終版では4151個に及んだ。人びとはこれらの格言をとおしてギリシア・ローマの古典および聖書の真髄を身につけようと愛読した。エラスムスは格言の意味を説明し、詳細な解説を加えて、古典文学とキリスト教の教えが一致することを示した。本書はそれら代表的な格言を選び、エラスムス『格言集』の大略と思想的特徴を紹介する。
感想・レビュー・書評
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エラスムスが収集したギリシャ・ローマの古い格言選集。1500年代の初版本には約800が掲載され、1600年代の終版本には、4151にも及んだそうです。大変な努力の賜物ですね。読んでみると、私たちが何気なく使ったり耳にしたりする格言もあって、新たな驚きでした。この本には代表的な35の格言を紹介していて、今の時代でも十分通用する興味深いものばかりです。欲を言えば、もう少し紹介して欲しかったな~。
「火に油をそそぐ」
「何事も過度であってはならない」
「戦争は体験しない者に快い」
「ゆっくり急げ」
「神は自らを助ける者を助ける」
「汝自身を知れ」などなど……。
古代の偉大な人々が、どうしてそのような素晴らしいことを言うことができたのか? とエラスムスは自問します。
「異教徒の書物の中に、わたしたちはキリストの教えと一致する非常に多くのものを見つけることができます」
古代ギリシャ時代の芸術文学に傾倒していたエラスムス。彼の驚きと喜びは、人類が時空を超えて人間の真理や叡智をみいだし、それらがいつまでも色褪せることなく光彩を放っていたことなのでしょう。そんな想いを選集で後世に伝えたかったのかもしれません。また、彼の書いた「痴愚神礼賛」や「平和の訴え」には、そのような痛切な想いと願いがあますところなく描かれていて、今読んでも感激します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私たちを超えているものは、私たちには関係がない。
人間は人間にとってオオカミである。