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- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863060562
感想・レビュー・書評
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本書は、アメリカが偽の情報を元にイラク戦争を始めてしまった経緯を記述した小説である。ひとりのイラク人亡命者の虚言により、ドイツやアメリカの情報機関が錯綜していく様は、不謹慎かもしれないが、とても滑稽に見えた。各情報機関の思惑がすれ違い、誤った判断が更に誤った判断を生み出す、負のスパイラルが描かれている。また、情報機関の仕事ぶりも垣間見ることができる良書。
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あの戦争がこれほどいい加減な根拠で行われていたとは!
登場人物が多くて少し混乱させられるが、米独両国で〈カーブボール〉の情報が流通し、政治的な争いがあり、都合の悪いことが隠蔽されていったプロセスが具体的に描かれていて興味深い。
訳文は読みやすいが、時々地の文に口語的な言い回しが入るのが気になった。 -
一人の嘘つきにCIAが踊らされ、米がイラク戦争に突入することを描いたノンフィクション小説。本質的な問題点は、情報が目的を生み出すのではなく、目的が情報を生み出してしまったことにあるが、日本が負けると分かっていた太平洋戦争に踏み出した原因と基本的に同じであり、情報を扱うこと・選別することの難しさを教えてくれる。それにしても、ある男の嘘によって戦争が始まり、多くの人が命を失う結果になったこと、その規模感に圧倒されてしまった。