日本人意志の力 改訂版

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  • ウェッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863100527

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  • 日本人は素晴らしい。

    杉原はユダヤ人流浪の果てもある程度見えていたから、ビザ発給に踏み切れたに違いない。
    満州にはユダヤ人が多数いた。満州でも日本外交官樋口が援助連射を手配した。
    杉原の視野は広い。語学の天才と言われてた。世界中を見ているから視野が広く多様。そしてこの広域性は彼の人間の広さと思考の自由さを物語る。固執性を持たない人柄だから、外国語の達人にもなれる。
    彼は学歴もこだわりなく捨てる。その結果ノンキャリアと呼ばれる立場になるが、むしろ逆に学歴すらさらさらと捨てるという心のキャリアを獲得することができた。
    この心の流浪というあり方への大きな親近感と尊重の念をうむだろう。ユダヤへの親しみをもっていたのだろう。
    1枚の留学生募集広告を見て、人生をかけようとする冒険心。大学を捨て大陸の新天地に生きようとする野心。時いたれば大国ソ連をものともせず論破しようとする気概。それらの結晶がビザ発給に繋がった。
    狭い日本を捨てた杉原がもうひとつ捨てたものに、宗教の狭域性があったのではないだろうか。
    杉原は大きく悩んだはずだ、そして人間の道を選んだ。

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著者プロフィール

中西 進(なかにし すすむ)
1929(昭和4)年東京生まれ。東京大学卒業、同大学院修了。文学博士。
筑波大学教授、国際日本文化研究センター教授、大阪女子大学学長、帝塚山学院学院長、京都市立芸術大学長などを歴任。全国大学国語国文学会会長、日本ペンクラブ副会長、奈良県立万葉文化館館長なども務める。
「万葉集」など古代文化の比較研究を主に、日本文化の全体像を視野におさめた研究・評論活動で知られる。読売文学賞、日本学士院賞、大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞ほか受賞多数。
主な著書に、『万葉集全訳 注原文付』全五巻(講談社文庫)、『中西進 日本文化をよむ』全六巻(小沢書店)、『古代日本人・心の宇宙』(NHKライブラリー)、『中西進と歩く万葉の大和路』(ウェッジ)など。

「2022年 『万葉秀歌を旅する 令和改装版 CD全10巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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