「瓢鮎図」の謎: 国宝再読ひょうたんなまずをめぐって (ウェッジ選書 47)

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  • ウェッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863101029

作品紹介・あらすじ

男は、瓢箪で鯰を抑えているのか?31人の禅僧は何を書いたのか?そして、将軍・足利義持の狙いは何だったのか?日本水墨画の源流・如拙が描いた「瓢鮎図」の謎に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 日本絵画や禅宗がお好きな方は非常に興味深く読めると思います。
    しかし美術や宗教や古典にある程度、理解があるつもりでいる私はイマイチ理解できませんでした。
    そういう意味ではなかなか難しい一冊です。

  • 「瓢鮎図」は「ひょうねんず」と読みます。
    鮎というと日本ではアユですが、中国では、鯰(なまず)をあらわすので、瓢鮎図の鮎はなまずの意味でねんと呼ぶようです。
    600年前の絵と文字からの展開に時空を超えた面白さがある気がします。

  • 禅学の専門家による「瓢鮎図」の解説書。「瓢鮎図」は今まで何度か見たことがあるが、初めて見たときには、上部の画賛の部分が大きいことに驚いた気がする。教科書でも、載っているのは下部の絵の部分のみであり、画賛は教養のない私には読む力がないし、興味もなかった。今回、画賛の部分を重視した解説により、「瓢鮎図」の本来のもつ意味や禅学について、ほんの一部ではあるが知ることができたことは、とても大きな収穫であった。「瓢鮎図」は当然、日本画の専門家のみならず「禅学」の専門家も分析に従事する必要があったはずであり、なぜ今まで誤った解釈が放置されていたのかが疑問である。今までの主たる解説書であった「禅林画賛」の内容を次々と修正していく著者の知識の高さには驚かされた。いずれにしても、極めて学術的、論理的な格調高い1冊であると思う。
    「上にある賛を無視して、そのような主観的な印象ばかりを重視し、それに固執していたのでは、この画賛の全体のメッセージから、ますます離れることになります。それは六百年後の現代人の自由な、いや任意の感想にすぎません。まずは、この絵が描かれた同時代の人たちのコメント、すなわち三十一の賛詩の内容にできるだけ迫ることが大切でしょう」p124
    「私たち現代人は美術館に展示された「瓢鮎図」を見れば、まずは絵の部分に興味を示すでしょうが、(足利)義持はそうではなかっただろうと、私は推し量るものです」p207
    「(瓢鮎図は)禅の根本的な世界観を絵画と詩で表現したものに他ならないのです」p218
    「詩人は最初から「文意の通じない」作品を作るはずはありません。わからないのは、こちらの自分の解釈力に問題があるのだと思わずに、作品のでき具合を高みから批評していたのでは、問題は解決しません」p268

  • 国宝再読とはまさしくその通り.目から鱗の解釈.豊かに広がる禅の世界と将軍義持と禅僧如拙始め禅僧たちの見事な問答,丁寧に調べられた功績と禅の深い知識に感服しました.ノーマン・ワデル氏との対談も興味深かったです.

  • 瓢鮎図をそこに書かれた賛を中心に述べている.旧解釈では意味の通じなかったところなどを豊富な知識で分析し解釈し直すところは推理小説のようでスリリングだ.ただ画についても専門なのだからもう少し触れてほしかった.

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著者プロフィール

1945年生まれ。同志社大学卒業。財団法人禅文化研究所主幹を経て、2014年度まで花園大学国際禅学研究所教授。現在、同研究所顧問。専攻は禅学、日本文化史。
(主要著書)
『諸録俗語解』(編注、禅文化研究所、1999)、『江湖風月集訳注』(禅文化研究所、2003)、『白隠禅師法語全集』全14巻+別冊(禅文化研究所、1999~2003)、『白隠―禅画の世界』(中公新書、2005、角川ソフィア文庫、2016)、『白隠禅画墨蹟』全3巻(二玄社、2009)、江月宗玩『欠伸稿訳注』乾・坤(思文閣出版、2009~2010)、悟渓宗頓『虎穴録訳注』(思文閣出版、2009)、『「瓢鮎図」の謎―国宝再読ひょうたんなまずをめぐって』(ウェッジ、2012)、別冊太陽『白隠』(監修、平凡社、2012)、別冊太陽『一休』(監修、平凡社、2015)、白隠和尚『荊叢毒蘂』乾・坤(訳注、禅文化研究所、2015)、『新編白隠禅師年譜』(禅文化研究所、2016)、東陽英朝『少林無孔笛訳注』3巻(思文閣出版、2017~2020)。

「2023年 『一休宗純『狂雲集』再考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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