お手がみください

著者 :
  • 産業編集センター
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863111356

作品紹介・あらすじ

眞子(8歳)とかず(86歳)はひ孫と曾祖母で大の仲良しだった。
ひいばあちゃんと手紙交換をしたい眞子は手紙を書くが、何日待っても返事はこなくて。
手紙交換によって明らかにされるひいばあちゃんの秘密とは……。

優しさと純粋さに心打たれる傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公・眞子・三十一歳。失業中。
    眞子が小学二年生のときに亡くなって以来、
    そのままにされていた祖母の部屋の片づけをすることに───

    仕事が忙しくあまり面倒をみてくれない両親。
    でも、かずおばあちゃんがいてくれたから、さみしくはなかった。

    明治生まれのかずは、貧しくて学校に通えず、
    読み書きができない。
    一緒におそばを作ったり、鉛筆を削ったり、
    宿題の音読を聞いてもらったり、
    テレビの番組で「あいうえお」を勉強したり、
    かずおばあちゃんと過ごしたかけがえのない日々。
    「ヤな思い出も、いい思い出も同じだけあるさ」
    ふと語るかずの言葉が、しみじみ心に響く。

    ある日、眞子はおばあちゃんにお手紙を書いた。
    おばあちゃん、おへんじください。
    でも、おばあちゃんは、なぜかお返事をくれない…

    そして二十年以上たった今、片づけの途中に見つけた古い千代紙。
    胸に熱いものがこみ上げた。


    どんなときでも優しかった祖母を思い出した一冊。

  • もし自分の生活から『読む・書く』というパーツが抜け落ちてしまったとしたら、
    一体どれだけ味気ない毎日になってしまうのだろう。
    レストランで注文することだってできないし
    回覧板だって読めない。
    口にはできない思いをそっと手紙で伝えることだってできないのだ。

    字の読めない曾祖母と、字を覚えたての小学生の女の子。
    そんな状況の中でも、それを補ってなお余りある
    二人のお互いを思いやる気持ちのやりとりが愛おしい。
    だからなおさらの事、手紙が書けなかった曾祖母の悲しみも胸に迫ってきて泣けてくるのだ。
    長い長い時間をかけて届いた、曾祖母からの短いお返事が素敵でした。

  • かずおばあちゃんかっこよかった!

    文字読めないことで色々な苦労をしたことだろう。一生懸命生きる和也おばあちゃんはたくましく、心が強く優しい。

    『ふたりはともだち』の話を久しぶりに聞いて、しみじみとした思いになった。

    人の死は時として、突然来たりする。私もおばあちゃん子だったが、学生で自分のことでいっぱいで、あまり優しくできない時に亡くなってしまった。それだけにおばあちゃんが出てくる小説はたまらない気持ちになる。眞子と楽しい時間を過ごし、大きなものを孫に残していけたおばあちゃんは幸せだったと思う。

  • ばあちゃん子の私としては、
    ただはひたすら泣ける。

  • 思い出の話、おばあちゃんが味方についてくれるっていいなあ
    ジーンときて、ホッこりしました

  • ーー〈ふたりとも〉
    一文一文を沁みこませるように読む。
    ーー〈しあわせなきもちで〉
    きれいな言葉だと思う。
    ーー〈まっていました〉
    優しく愛しい字の羅列だと思う。

    大好きな『ふたりはともだち』の文章が沢山登場してきて嬉しくなった。おばあちゃんっ子なのでとても共感できる作品。

  • ★たんぽぽさんからのおすすめコメント★
    小学2年生の眞子は、ひいおばあちゃんと手紙の交換をしたくて手紙を書きますが・・・。手紙を書いている時のワクワク感や返事を待つドキドキした気持ちを思い出させてくれます。 たんぽぽ
    OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140454

  • おばあちゃんの言葉には魂がある。

    自分の言葉が自分と一致してる。



    心に届くものがある、ということです。



    今の言葉、自分から離れてないかなぁ と、

    ときどき確認してみると


    「私にできること」 に


    つながっていくような気がします。

  • 偉いってどんな人?
    カッコいいってどんな人?

    おばあちゃん(曽祖母)は大人なのに字が書けない。
    大人なのに字が読めない。

    でも、
    すごく素敵だし、すごく優しいし、すごくカッコいい。

    こんな風に生きられる人になりたいなぁと思うおばあちゃんの話です。

  • うちは核家族だったので、祖父母のいる家庭はちょっと憧れだった。読み進めたいのに、おばあちゃんとの生活が終わってしまうのが悲しくて、でもやっぱり続きが気になって……という何とも悩ましい作品だった。

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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