ピュリツァー賞 受賞写真 全記録

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863131415

作品紹介・あらすじ

アメリカで最も権威ある賞のひとつ、ピュリツァー賞。最初の受賞写真は、自動車工場でのストライキを写したものだった。その後70年間に受賞作が伝えたのは、ベトナム戦争、冷戦、アフリカの紛争、イラク、アフガニスタン、噴火、地震、津波。写真家が全身全霊をかけて切り取った1枚の写真に、時代のすべてが映し出されている。1942年の写真部門創設から、最新2011年の受賞写真までを収録。受賞写真を編年で紹介。撮影時の状況、写真への反響、写真家自身の証言、撮影機材や条件を記した撮影データ、背景を理解する助けに、同時代の出来事を付した。

感想・レビュー・書評

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  • 優れた報道・作品に授けられる、米国で最も権威のある賞である「ピュリツァー賞」。賞の創設1942年から2011年までの受賞作を一挙に紹介した本作。写真には撮影時の背景や状況、撮影者自身の解説が相応に添えられ、読み応えのある1冊となっています。

    圧巻の一言。扱っているテーマは戦争、殺人、事故、差別、貧困、テロ-思わず目を背けたくなるようなショッキングな写真が大部分を占めています。しかしこれが現実だと正面から向き合う他にありません。また、このような写真の数々を危険と隣合せになりながら現場で撮影に臨んだ人が居るのだと思うと、ただ頭が下がるばかりです。
    実はこの本の内容の重さを前に、読みたいと思いながらもすぐに手を出せませんでした。意を決してページを開きましたが、手に取って本当に良かったと心から思います。

    先々月、2013年度ピュリツァー賞のニュース速報写真部門が発表されました。シリア内戦の凄惨さを伝えた1枚です。
    近い将来、見た人皆が笑顔になるような1枚がピュリツァー賞に選ばれることを切に願います。

  • 人の色々な面がわかる。
    目を背けたくなるときもあった。

  • ピューリッツァー賞の1942-201年の受賞作品が掲載されている写真集。ついつい文字を先に読んでしまうが、写真だけで伝わってくるものがある。新聞に掲載するか倫理的な問題があるものが多いが、プライバシー侵害を上回る将来の公共の利益につながるという信念によるものだろうか。残酷なシーンも多く、そういう場面は世界からなくなって欲しいと思うとともに、自分の周りで同じようなことがないことを幸せに感じる。

  •  1942年から2011年までの写真部門受賞作品を収録。アメリカの新聞報道で使われた写真ということで,偏りもあるが,歴史的瞬間を見事に記録した写真が集まってて圧巻。
     94年受賞の「ハゲワシと少女」を始め,ショッキングで何度も引用される写真が多い。日本ではあまり取り上げられない残酷な場面を写した写真も。76年バンコクの左翼学生と右翼学生の抗争,80年リベリアのクーデタでの旧指導層の処刑,93年ソマリアで引き回される米兵の遺体,04年イラクでの米軍事会社社員の焼死体,など。もちろん,相当の危険を冒さなければこういった写真は撮れない。そこへあえて飛び込んでいくカメラマン。すごい。
     歴史的事件の写真だけでなく,レスキューの瞬間や日常風景を切り取った写真,オリンピックの写真なんかも。
     カメラ機材の変遷にも注目。初期の受賞作は,大きくて手間のかかる4×5スピードグラフィック。連写とかできないのにこれで決定的瞬間を撮るなんて…。次第に機動性が高い35ミリが増え,モータードライブで秒間十コマ撮影が可になり,デジタル化まで。カラー化が枝葉に見える進化。
     伝送技術の進展も,速報性に寄与した。昔は,フィルムの現物を運ばなくちゃならなかったんだから,大変だったんだな。カメラも通信技術も進歩して,ますます印象的な写真が,迅速に届けられるようになった。今年のピュリツァー賞では,東日本大震災の写真の受賞があるんだろうか?

  •  本書には、ピュリツァー賞の写真部門が創設された1942年から2011年までにピュリツァー賞を受賞した写真が掲載されている。それぞれの写真には、撮影に至った経緯や撮影の瞬間の気持ちといった写真家の背景や、写真が撮られた場面の説明が加えられている。前半の受賞写真はすべてモノクロで、後半ではカラーが多く登場する。

     米国の日刊紙に発表された写真の中から選ばれるというピュリツァー賞の性質として、日本ではあまり馴染みがない写真(写真が伝える事件や出来事)も多い。それでも、写真が伝えるインパクトは十分に感じられた。

     動画が伝える情報量は一枚の写真よりもはるかに多い。テレビだけでなく、YouTubeにアクセスすればたくさんの重大なニュース映像をいつでも観られる。そのため、現在では静止画(写真)の重要性は低くなっていると感じられるかもしれない。しかし、本書を読むと、それは大きな間違いであることに気付かされる。一枚の写真は、その写真が伝える瞬間が永遠に留められているために印象的で、長く記憶に残る。911の事件当時、飛行機が貿易センタービルに激突する動画を何度も繰り返し観て衝撃を受けたが、いまでも覚えているのは「世界貿易センターへのテロ攻撃」の二枚の写真だ(ビルに飛行機が追突する寸前の写真と膨張したビルが爆発している写真)。

     私は、まず写真をじっと観て、それから写真に添えられた解説を一つひとつ読みながらページをゆっくりと繰っていくという方法で本書を読んだが、ピュリツァー賞受賞写真の写真集として写真をぱらぱらと眺めていくだけでも本書は楽しめると思う。

  • いわゆる写真集なので、これを「読書」のログとして書評に入れるのは少し迷ったが、1942年から2011年までの全受賞作品と、その写真が撮影された状況、撮影者の経歴、撮影対象になった人や事件の概要のほか、報道の歴史や報道写真の推移なども都度、しっかりした文章で紹介されているので、「本」として記録に残すことにする。

    社会的に大きなインパクトを与え、多くのメッセージを伝えた写真を表彰するというピュリツァー賞の性質上、多くは戦争や自然災害の被災地や被災者の写真であり、中には気が滅入るような虐殺の現場が写っていたりもする。しかし、写真はすべて事実を写すものであり、過去を写すもの。写真から滲んでくる血生臭さから目を背けず、これまで何が起きてきたのかを振り返ることには、いつになっても大きな意義があると思う。

    写真自体のインパクトが強く、写真1枚あたりで語られるストーリーも長いので、読み切るのに数カ月かかったが、手に入れて良かったと思える本だった。

  • 写真の力をこれでもかと見せつけられる。

  • ピューリツァー賞が創設されて以来の近代での出来事を写真と簡単な文書で解説された内容。 撮影時の背景などの記述は興味深い。 暴力を告発する内容が多く、辛いものがある

  • 悲惨な出来事を余す所なく伝えている 世界のどこかで今も苦しんでる人々がいることを忘れてはいけないと思う

  • 誰もが知る有名なショットの裏に様々な物語や隠された話があることがわかり、大変興味深い。

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