こぼれる

著者 :
  • 春日出版
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本棚登録 : 124
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863210677

作品紹介・あらすじ

悪い恋を、しているのかな。汚いことを、しているのかな。酒井若菜初小説!

感想・レビュー・書評

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  • 2023/6/19

  • 酒井若菜が小説を書いていたとは知らなかった・・・。
    軽い文体ではあるが、清新な印象を受けるとも言える。
    ストーリーもなかなかよかった。

    自伝的な要素はたぶんない・・・のだけど、もしかしたら実体験も少しは入っているのではないか。
    特に、カメラが好きな男性を知っていたのではないか・・・と思う。カメラが好きな男性が女性の写真を撮影するという場面。待ち合わせ場所で会ったら男性がいきなりシャッターを切り始める・・・というのが、とてもリアリティーがある。自分はそういう撮影をしたことはないが、もしする機会があったら、きっと同じようにするだろう。

    最後のシーンも美しい終わり方だ。

  • 本棚であたためていたこの作品をようやく読んだ。
    若菜ちゃんは本当に美しい文章を書くな、と思った。

    本屋でバイトする雫と彼女に関わった人の5章からなる連作短編。雫の話の結末にかなり衝撃でしばらくページをめくれなかった。
    最後はじんわり。泣きました。

  • すごく好き。
    不倫の話しかぁと思いきや、関係する人のいろんな思いが繋がり、次の章に入る感じがすきだなぁ。
    登場人物が全員いい人過ぎて、、、
    ラストせつなーく終えました。

  • 女優とは思えない、精緻な文章体を書く彼女。
    ブログの文章が優しくて男女問わず人気なのもうなずける。

    そんな酒井若菜の小説処女作の題材は「不倫で苦しむ男女と家族」。
    酒井若菜曰く、ルービックキューブのように、見る視点を変えれば全く違う色が見える、
    そんな感情を小説にした、とのこと。

    タイトルは「こぼれる(零れる)」、主人公の名前は「雫」(しずく)。

    おぉ、ダークな内容と思われるかもしれないが、
    別に「不倫は悲しいからやめよー」というのを訴える内容ではない。
    どの立場であっても、男女関係のみあらず、人を愛することに注ぎ込むエネルギーって、素晴らしいな、
    と感じさせる内容。
    特に、物語の最後で明かされる、主人公「雫」と付き合った男の妻・千尋の、
    気持ちのたかぶりは、一気にひきこまれた。
    例え、夫が不倫をしていた過去があったとしてもそれを背負って生きていく決意をする、ということ。
    子ども、家庭のために守るべきもののために、ただ「好き」の感情では守れないこと。。。

    ちなみに夫はカメラが趣味で主人公「雫」をモデルとしてお願いすることから、
    関係が始まってしまう。。。うーん、自分も早くポートレイトを撮りたい、と思っているだけに。

    次の小説も期待したい。

    【ココメモポイント】
    ・綺麗だから好き。それがすべて。
     P.33
     
    ・心が結びついた浮気は、屈辱を超えた恐怖。
     P.210

  • 酒井若菜ちゃん。もう大学生の頃からずっとブログのファン。
    芸能人ブログっぽくない、深い深い愛に溢れた文章を書くのです。感性豊かな、温かなひと。
    「こぼれる」は、そんな若菜ちゃんの処女作。今更ですが、やっと読みました。ひとつのストーリーが、各章ごとに異なる登場人物それぞれの視点で描かれています。最初は雫ちゃんに感情移入してしまうんだけど、それぞれ素直で純情で一生懸命生きているから、誰も責めることはできない。それが切なくて、最後に涙が止まらなかった。
    私は、自分が今までに傷つけて来ただろう人を思った。意識を向けようともしなかったけど、傷つけてきたひと。きっとその人の側から見れば私は恨むべき対象だったのかもしれない。
    そんなことにその時ちゃんと気づくことができていれば、何か行動が起こせていれば、もう少し優しい人間になれるかもしれない、と思った。
    それから、雫ちゃんも大ちゃんも島田も千尋も芳江さんも、みんな酒井若菜の一部を切り崩して生まれたキャラクターなんだろうな、って思った。みんな真っ直ぐて、綺麗だから。

  • 著者のブログを良く読んでいて、なんだかこの人が書く文章が好きだなぁと思っていたら小説を出していると知り図書館でさっそく借りてみた。
    本屋で働いている雫とその恋人、恋人の妻、雫を密かに思っている青年…それぞれの思いが章ごとに描かれている。
    小説でもブログでもやっぱり酒井若菜の書く文章は好きだなぁ。

  • 一目惚れをした相手が妻子のいるひとだった。不倫相手、浮気をしている夫、そして妻。登場人物が章ごとに個々の視点で物語を進めていく。

    陰日向に咲くに近い物語の進み方。
    久しぶりにあたたかい涙が出る物語でした。私は酒井若菜さんの文章・考え方が好きなので少し過剰になっているかも知れませんが、文が優しく、ゆったりとした時間の流れを感じました。
    一見ただの三角関係かあと思われる方もいると思われますが、その関係のアクセントも入っているので面白いです

  • 途中ひっかかることはあったのだけれど
    読み終わってよかったと思った

    人のよい面がよくでている
    それは本当にうれしい

    うまい文章じゃないけど
    暖かいものが伝わってくる
    それを伝える技術はないかもしれないけど
    酒井若菜という女優が一生懸命書いたということを感じて
    こちらも温かい目でみると
    奥にある暖かいぬくもりが伝わってくる

     もう人の悪口はいやだ
    そのとおり!

  • 大好きな女優さん、酒井若菜さんの小説デビュー作です。

    発売記念の握手会?サイン会?にも参加したんですけど
    生若菜には感動したあーー(*´д`*)
    やっホント大好きなんです!!女性芸能人で一番好き!!

    若菜ちゃんはブログを読んでても素敵な文章を書く人だなーっと思ってて、
    言葉の選び方、使い方も素敵だし
    思想自体もすっごく魅力的で!
    だから小説が出るって聞いた時も勿論期待してたわけですよ。

    だけど、だけどね、
    あらすじを見た時私ちょっとガッカリしちゃったんです。
    「あ~不倫物か~。なんか微妙そうだな」
    って、型に嵌めて受け止めてしまったんです。

    でも、間違いだった!
    「こぼれる」は恋愛物に収まってないんです。
    ちゃんと1人1人の登場人物の背景だとか生き方だとかが
    描かれてるから、単なるラブストーリーじゃなくて
    もっと違うお話になってる。
    若菜に興味のない人にも読んでほしいなああー。

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著者プロフィール

酒井若菜(さかい・わかな)
女優、作家。
96年デビュー。ドラマ『木更津キャッツアイ』や『シングルマザーズ』、映画『恋の門』『遺体 明日への十日間』など
数多くの作品に出演し、最近の出演作にはNHK『透明なゆりかご』などがある。
08年には初の著書となる小説『こぼれる』、12年にはエッセイ集『心がおぼつかない夜に』を発売。
16年には対談+エッセイ集『酒井若菜と8人の男たち』を刊行した。

「2018年 『うたかたのエッセイ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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