動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

著者 :
  • 木楽舎
4.01
  • (229)
  • (316)
  • (181)
  • (16)
  • (2)
本棚登録 : 2351
レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240124

作品紹介・あらすじ

生命とは、絶え間ない流れの中にある動的なものである。読んだら世界がちがってみえる。哲学する分子生物学者が問う「命の不思議」。今まで体験したことのないサイエンス・ストーリー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • とても興味深く読みやすいので一気読みしました。
    お馴染み福岡ハカセによる最新の生物・生命論を、一般人にもわかりやすくまとめたコラム本です。本題のごとく「生命」とは動的平衡=絶えず流動しながら均衡を保ち続けるものであると、様々な事例を引きながら興味深く論じています。
    より興味深かったのは、記憶は脳がいま作り上げたものである、年齢を重ねるごとに時間や月日が経つのが早く感じるのは逆に体内時計=細胞の新陳代謝が遅くなっていくのに比し物理時間は変わらないから、人間の脳は乱雑なものにもパターンを見出そうとする、コラーゲンなど非・必須アミノ酸は集中的に食してもタンパク質は結局アミノ酸レベルに分解・吸収され別のタンパク質に作りかえられている、体重増加はシグモイド・カーブを描きゆっくり食べる方が太らない、などなどです。
    また、病原体との戦いの章はスリリングでとても面白かった。ミトコンドリアは本来の細胞ではなく、別の生命体細胞を取り込んだ結果、共生しているものである(どこかで聞いたかもしれない)という話も興味津々でした。
    デカルト?の生命機械論が発展して、ES細胞やら臓器移植が進展しつつある世の中で、筆者は生命の「動的平衡」による揺り返しをとても危惧されています。いわく、生命は分子の「淀み」であり、「身体」は環境が通り過ぎているだけだと。人間の身体は摂取したタンパク質等によって絶えず新しい組織や細胞に置き換わりその中で均衡を保っているんですね。
    最後の象の話はとても感動的でした。

  • よく考えたら、ものを食べて分解してそれを自分の一部に変換するってすごいことですよね…。
    「生きている」ということが全ての出発点だなと思いました。まさに命あっての物種。当たり前のことなんですけど、ちゃんとその意味を認識してなかったなー。
    あらゆる頁がおもしろかったので、しばらくしたらまたゆっくり読み返したいです。

  • 分子生物学者・福岡伸一ハカセの生命をめぐる論考。
    ざっくりとトピックを書き出すと、こんな感じ
    ・人類という種を定義する際に頻出する「思考」や「認識」とは、どういうメカニズムなのか
    ・身体の構成という点で、食事とは何かを分子生物学的な視点から
    ・身体を構成する細胞について/生命の設計図である遺伝子について
    ・「分子の淀み」としての生命、機械論的解釈からの脱却"動的平衡"

    面白かった
    理系的、分子的・生物学的知識がほとんどない私にとっては、悉く目から鱗状態。
    いやーよくできた話すぎて眉唾ものに思えるくらい笑
    自分個人の生ではなく人類・生物全体としての生を考える視座はあまり触れたことがなかったので、新鮮でした。

  • この本の面白さは、細部に徹底的にこだわりながらも、「生命とは何か」という巨大な問いかけからの視線を失わないところにあるのだと思う。最終章「生命は分子の『淀み』」は論考でありながら詩的でさえある。

  • Γ私達は、食べたもので出来ている。」ロハスが好きな分子生物学者は、なかなか染みることを言うなと目からうろこでした。節約と称して食費を削り、粗悪なものを食べて、からだの一部とすることに異義を唱える点は、女優さんやモデルさんが言うより、よほど説得力がありました。文系の人にも読んでほしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「粗悪なものを食べて」
      しまわないように、TPPを阻止し、遺伝子組換に反対します。。。
      そんなコトが言いたいんじゃなくて、 福岡伸一の審美眼...
      「粗悪なものを食べて」
      しまわないように、TPPを阻止し、遺伝子組換に反対します。。。
      そんなコトが言いたいんじゃなくて、 福岡伸一の審美眼も素敵です。
      2013/01/23
  • 生物学の本なのに、どこか詩的でファンタジーを思わせる語り口。
    理系の方でなくとも引き込まれる。
    福岡先生の本を読んでいる方にとっては、情報がかぶっているところがあるので、物足りなさを感じるかもしれませんが、専門的な話を物語のようにまとめる表現力に脱帽!

  • 生物と無生物のあいだの著者、福岡伸一さんの本。
    雑誌の連載コラムらしく、複数のテーマが短い章で取り上げられてます。
    文章が文学的で、読み物としてオススメ。
    大学のとき、"バラバラにしたヒヨコの細胞とヒヨコの違いって説明出来る?"って授業で聞かれたことを思い出した。
    お気に入りはES細胞の章で、胚をバラバラにして培養してる時の記述。
    その細胞は、周囲の細胞とのコミュニケーションを絶たれているので、自分が何になるべきかわからず途方に暮れている。
    …ひとりぼっちの細胞がシャーレの中で途方に暮れているところを想像して萌えた。キュンキュンした。

    そんなわけで、生命とは物質ではなく、物質が起こす現象なんだと。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「文章が文学的で、読み物としてオススメ。」
      福岡伸一の人柄が出てる感じですね、、、
      「文章が文学的で、読み物としてオススメ。」
      福岡伸一の人柄が出てる感じですね、、、
      2013/05/02
  • 生物を構成する分子は日々入れ替わっている。
    私たちは、自分は自分だ、自分の身体は自分のものだ、という風に確固たる自己の存在を信じているが、実はそれは確実ではない。人間の身体はタンパク質などの分子で構成されている。しかし、その分子はずっと止まっているわけではなく、分子は絶え間なく動き、分解と合成を繰り返している。細胞は日々交換され、一年間の自分と今の自分は分子的に全く別物である。
    つまり、人間の身体は分子の「淀み」でしかない。ほんの一瞬しか“私”は“私”たりえない。生命とはその綱渡りのような微妙なバランスの上にある。それが生命であり、その分子的に動的な平衡状態が、自己を支えている。
    動的平衡とは、移ろう分子を差すのだ。
    では、タンパク質の集合体である肉体になぜ「いのち」が宿るのか。
    本書はそれは何なのか、それに対して私はどうふるまうべきなのか、を問いただした哲学的分子生命論である。

    また、生命の背景にある時間の概念は、どのように移り変わる分子と関係しているのかを考える。

    青い薔薇の不可能性を語る導入部の鮮やかさもさることながら、あまりに身近過ぎるが故に見落としがちな「身体」について、各節で様々な例を上げて“気づき”の視点をくれる。

    人間とは、一本の管である。という指摘はまさに感銘であった。
    口から入った食物は、胃に入ってもなお「体外」にある。つまり消化し、吸収するまでは厳密に体内に入ることにはならないと言っているのだが、その営みが無ければ、人間の身体はただ口から尻まで一本の穴が伸びている以外の何物でもないというのだ。この点でミミズと人間に何の差もない。分化している以外の違いなど原始的なモノと何も変わらないのが人間なのだ。


    生命の存在性の話も非常に興味深いものがあった。前述通り、人間の身体は分子の塊だ。そしてそれは移り変わって常に「淀み」の状態となっている。では、自我はどこに宿っているのか?
    行き着く当然の疑問は、精神論にも近い。
    著者は自我論においてデカルトの「罪」を挙げて論じている。
    哲学的な思考に、生物学的(あるいは分子的)な思考が加わると、自我の「居場所」はさらに流転する。


    それ以外にも多くの記述があり、どれも面白い論である。


    生物学に興味があるけどお堅い理系本はちょっと、という方が読むのには最適。
    この著者の著作から入るときっと楽しめるだろう。

  • これまでの福岡さんの著書と比べるとワクワク感が自分には足りなかった。
    自分のよく知る分野の話だったからだろうか。

    ただ生命科学の話を分かりやすく、面白く書く福岡さんの文章力はいつ読んでも勉強になる。

    示唆に富むのは以下


    「全体は部分の総和ではない」

    仕事柄、もれなくだぶりなく(MECE)に分けるなんという作業をするが、分けることによって失われる何かがあるかもしれないというのは視点としてもっていたい。

    生物にとっては当たり前のことだが、ビジネスにおいても忘れてはならないと思う。
    不採算事業をカットすることによって事業全体も悪くなったなんていい例かもしれない。(通常ならよくなるはず)

    その原因は仲間を切られることによる社員の士気の問題かもしれないし、他の事業部との見えない交流による創造性の向上なのかもしれない。

    1+1が3以上になる場合において、その1を切ることは2を切ることにつながるかもしれない。

    そんなことを考えた1冊でした。

  • 人間を形成する"流れ"を様々な角度から


    解説していて


    これまで思っていた常識が覆ったことも


    ちらほら書いてあって


    新たな発見ができて


    面白かった。

全295件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福岡伸一の作品

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのかを本棚に登録しているひと

ツイートする