動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

著者 :
  • 木楽舎
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レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240124

感想・レビュー・書評

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  • 顕微鏡の始まりに感激

  • 生命とは、分子の絶え間ない更新のプロセスそのものであり、エントロピー増大の法則に抗って自らを壊し再生する営み、動的平衡に他ならない。

    生物を部品の集合体として機械的に捉えたり、環境から独立した物として捉える発想に根本から異を唱える本書は、所謂、科学書の域を超えて、生命とは、人間とは、といった哲学的な問いかけに一石を投じる良書かと。動的平衡の流れに逆らわず生きよ。

    2009年の作品ながら、今年これまで読んだ本のベスト。日常の煩雑な諸事に悩まされる私を含む今どきの人々に、強くオススメです。

  • 人に薦められた本を読む第7冊目
    職場の先輩に薦められ。生命とは?だいぶざっくりとしたテーマを生物学者の視点から、様々な興味深いエピソードを交えながら答える。私達の身体は謂わば「分子の淀み」であり、頭のてっぺんから爪先まで絶えず置き換わっている状態。自らを絶え間なく分解し作り変える事でしかエントロピーから免れる方法はなく、結果それが生命なのである、という考え方は面白かった。かなり表層的な説明で終わってしまったが、考えの取っ掛かりとしては良いのでは。

  • 本書は、身近な生命科学を分かり易く解説している部分と著者自身の考えが示されている部分の二つに分けられると思いました。
    前者は、生命の面白さを堪能できるだけでなく、このように説明したら一般の人にも分かり易いのだと発見できました。
    後者は、生命に対する新しい視点を提供してくれますが、鵜呑みにしないよう注意が必要だと感じました。

  •  非常に面白い本だった。知的好奇心も満たしてくれるし、なにより人類の、というか宇宙全体の生命体に思いを馳せることが出来る素敵な時間を過ごせた。2016年新年1冊目の読み物としてはなかなかGOODな選択だった。
     氏の著作は2冊目。 専門分野の話題も噛み砕いて、卑近な喩えを用いて判りやすく説いてくれる。プロローグで、著者自身も関わりあるバイオのベンチャー企業(ジェネンテック社)の話からはじめるあたり、ビジネスマンも読者層に据えているのか、そんな構成も巧みだ。

     大きな主旨としては「動的平衡」という、ヒトを含む生命は分子レベルで絶えず分解と再構成を繰り返しているという概念の紹介。今自分の身体は外界とは皮膚等で隔てられ存在しているかのように思えているが、それはたまたまそこに高密度で分子が一時留まっている”淀み”でしかない。まさに鴨長明の「方丈記」の冒頭”ゆく川の流れは…”の、あれである。 科学的な最先端の理論が鎌倉時代の随想と繋がる不思議さにもゾクゾクさせられる。

     そして「鉄腕アトム」世代の我々が思い出すのは手塚治虫の数々の作品群だ。手塚のライフワークの『火の鳥』を引くまでもなく、命とは、生とはなんぞやということを何度もなんども読んできた。生物個体の生命(いのち)だけでなく、受け継がれていく生命の尊さをも、器は変われども未来永劫続いていくもの、それが永遠の生命だということを学んできた。なので、この動的平衡という考え方も、なんの違和感もなくストンと腑に落ちてくる。なんて手塚作品は崇高で深淵で、生命の真理を突いていたのだろうかと、改めて思わされもした。
     昨今話題のIPS細胞やSTAP細胞も、将来的に大きな利益が見込まれる分野だけにヒートアップ気味だけど、手塚ならどんな寓話を用いて警鐘を鳴らすのだろう。本書を読みつつ、今ここで冷静に立ち止まって考える必要があるのでは?と思わされる。

     神の成せるワザとしか説明しようのない生命体の神秘、そんな宇宙観を孕む大きな話を、時に詩的に(冒頭の青いバラの話や、終盤に出てくるゾウとクジラの挿話など)、時に世俗的に(プロローグのベンチャー企業や、遺伝子組み換え大豆に絡む除草剤「ラウンドウアップ」に絡む話、「NO MSG」という化学調味料にまつわる話等)、難しい理論や言葉を用いることなく、さらりと開陳していく博学ぶりと文章力には舌をまく。実に巧い。

     最後に「ロハス」や「サスティナビリティ」な話に持っていかなくてもいいんだけどなと思ったが、雑誌「ソトコト」での連載だったのか。そこは止む無し。そんな経済性も意識しているあたり、著者のバランス感覚の良さだと好意的に解釈しておこう。


    個々にも役立つ豆知識がフンダンに。以下、備忘として箇条書き;
    ・コラーゲンをたくさん摂取すれば肌の張りを取り戻すことが出来るか? - No (ヒザが痛いからといって鶏軟骨食べてもダメってことだ・笑)
    ・齢を取ると時間の進み方が早く感じる仕組み(新陳代謝速度が加齢とともに鈍化、体内時計の進みが遅くなるから)
    ・可変的でサスティナブルな生命というシステムは構造ではなく、分子の流れがもたらす「効果」。ゆえに機械などには置き換えられない(デカルトの生命機械論への反証)
    ・糖尿病などの病理が遺伝子情報に残る仮説(血糖値が低下し副交感神経優位の「眠い」状態に入りにくいグループを残し、生存の可能性を残す)
    ・第六感、英語ではガット(gut=消化管)・フィーリング(なるほど~、腸で考えるって言われるもんなぁ)

  • 汝の身体は、食べたもの、通り過ぎたもので、成り立っている。 新陳代謝を繰り返し、現在の姿を保ち続ける我ら。『動いているからこそ、平衡を保ち存在し続ける』 人も組織も自然も然り…と、深く納得。 サイエンス本でここまで思いを巡らせたのも久しぶり。 “歳をとるほど、一年が早く感じる理由。”も腹落ち充分。 最初の1冊で福岡先生にハマった!

  • 生物の機械論者を否定。
    生物は絶えず生まれ変わっている。
    動的平衡。

    あとダイエットの話とか大衆ウケしそうなトピックがちらほら。

  • 生物を生物たらしめている「動的平衡」。生物のシステムとしてだけではなくて、生活のスタイルとしても、ものの考え方としても、当てはめて考えられるよう思う。凝り固まるのではなく、インプットとアウトプットを繰り返し、揺れながらバランスをとる。そんなことも考えられるような、理系の読み物でありながら、壁のない、受け止めやすい内容。

  • 生命とは、絶えず破壊と創造を繰り返し平衡を保っている状態を言うそうです。それは、知識においても同じことが言えるのではないでしょうか。

    情報化社会が進んだ今、今日得た知識が陳腐化するのはあっという間です。ナレッジ・エコノミーと言われるように、現代において知識の有無は死活問題といっても過言ではありません。

    では、知識が陳腐化しないためにはどうすればよいか。「直感が導きやすい誤謬を見直すために、勉強を続けるべきである。」と本書にもあるように、「貪欲に勉強する」ことではないでしょうか。

    確かに、経験から得られる直感というのは業務の効率化を図れます。しかし、その経験のバックボーンである知識が現代において意味を成さないものであるならば、経験からくる直感も信用できるとは言えません。

    人は安定を求める傾向があることから、安定の土台たる経験を捨て去ることは簡単ではないと思います。しかし、経験においても破壊と創造を繰り返さなければ、その地位に留まっていられないのではないでしょうか。それは、生命の維持体系と通ずるものがあると感じました。

  • 「生命とは動的な平衡にあるシステムである」と、私たちの生命が可変的でありながら持続的であるさまについて語っています。

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著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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