縄文聖地巡礼

  • 木楽舎
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本棚登録 : 291
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240230

感想・レビュー・書評

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  • 人類学者の中沢新一と坂本龍一の縄文を巡る対談集。
    二人の知識の多さに勉強になった。

    諏訪から始まり、敦賀、奈良、山口・鹿児島、そして青森を回る。

    気なったところをつらつらと書いてみる。
    以下ネタバレあり。

    第一章諏訪より
    ・アメリカの黒人の多くは実は先住民族との混血だというはなしがある。アフリカから連れてこられて奴隷にされていた人々が逃げるときに先住民族がかくまったため。
    ・諏訪は「生命力のある死」
    ・縄文の人たちは美人を見ても同時にその後ろに蛇をみる感覚を持っていた。
    ・宇宙は循環して元に戻っていく。螺旋のように一巡して宇宙は変わっていくが上から見ると同じところに戻ってくる。村で見ても中心墓。それは生と死を循環するという思想から来ている。いまはそれを忘れている。

    第二章敦賀より
    ・原発なんてもん作って、ものすごくお返しをしなくてはならない。原発の前で楽しそうに海水浴している光景は異様だが、お祭りにも見える。

    第三章奈良より
    ・この世界で貴重なものを見出すのは特別な場所ではなくて自分の身の周りという考え方がある。見慣れた風景にもまだ見たことない風景が潜んでいる。
    ・菌類のセックスは食べて取り込むなど35億年もの間ずっと実験してる。それに比べれば人間は保守的。
    ・熊楠は男と女をつなぐものとして「ふたなり」を思いつく。

    第四章山口・鹿児島より
    ・アメリカにレイプされている。
    ・映画が事件を求めるのは狩猟と関係している。
    ・エイゼンシュテインはディズニーのバンビが嫌い。それはバンビはいいが背景の森が死んでいるから。

    第五章青森より
    ・大昔は戦いで敵を殺すと食べていた。それはリスペクトからくる行為。動物であっても自分とイコールの存在。なぜ人肉を食うのを怖がるかというとその感覚がないから。

    エピローグより
    ・イヌイットは冬に氷が張るとアザラシを狩って一年分備蓄していたが今では温暖化のせいでアザラシが腐っちゃう。
    ・農業だけが神話的なユートピアではない。


    この本を読み終えると南方熊楠についてもっと知りたくなったし、読んだことないのでハイデッガーの「技術論」を読んでみたくなった。
    今を知り考えるために「昔」を知ることも大事であると改めて思った。

  • 「観光」「EV Cafe」を読了してから読むと興味深い、「中沢、坂本」が実現したら「細野、村上」は可能なのだろうか。もしくは4人で対談するとか。

  • 大好きな中沢新一と坂本龍一の共演。深い知識と経験が織りなす掛け合いが最高。

  • 2016/1/8
    なんでだか、もう一回これを手にし、そして今度は『左うでの夢』を聴く。
    心がざわつく音楽を作る人、坂本龍一。

    2014/3/28
    自然から奪い尽くして、辱めて、そこに原子力発電所を作った。
    自然からむしったものを、私は返せるんだろうか?
    いや帰すんだ。
    その輪を回すために生きるんだ。

    遠い、でも近い。
    いろんなことが繋ぎ合わさってくる。
    それが今とゆう歳の可能性。

    この本を読んで、坂本龍一を知る。
    戦場のメリークリスマスを聴いて、心に風が吹く。

  • 中沢新一と坂本龍一が、それぞれの問題意識を胸に縄文時代の名残が残る場所を巡りながら意見交換をした対話集。
    中沢新一の縄文研究というと『アースダイバー』が思い出されますが、この探訪がきっかけとなってあの作品が生み出されたそうです。
    坂本龍一はNYで9.11を体験し、それがきっかけとなって縄文へと引き寄せられていったとのこと。
    近代社会の崩壊を目にして、原始回帰への興味が生まれたそうです。

    国家というものについて考えるために、国家が生まれる前の人間の考え方を知ろうとする旅。
    言葉や文字が生まれる前の時代をたどっていく時に、頭で理解しようとしても無理なこと。
    二人がそれまで培ってきた知性と感性で、縄文について感じ取っていきます。

    まず向かったのは、縄文中期の中心であった諏訪。
    この地域は日本に国家というものができてからも、なかなか完全には国家に属さなかったという反骨精神の旺盛な場所だそうです。

    若狭が征服した側で、信州は征服された側。
    征服された側の怨念は強いとのことですが、その辺りに詳しくないので、どういうことなのか気になりました。

    仏教は宗教よりアートに近いという話が採り上げられます。
    また、昔の貴族は温泉に入る時、天皇の許可を取らないといけなかったということを知りました。
    温泉地にこもることは、死の世界からエネルギーを蓄えることとなるため、反逆の疑いを持たれれないように報告が必要だったのだそうです。

    一番印象的だったのが、天皇と南方熊楠との出会いのエピソードでした。
    二人は神島で会ったそうですが、お互いに歌を贈り合ったとのこと。
    「本の歴史の中でも、こんなに美しい光景はないんじゃないかと思う」と言われているように、尊敬し合う二人の邂逅についてもう少し知りたいと思いました。
    熊楠は常にキャラメルの箱を標本箱として利用しており、天皇に御進講した時も、キャラメルの大箱に入れて粘菌標本を進献したとのこと。
    自然体です。

    縄文の名残を残す土地を訪ね、過去に思いを馳せ、現在の自分たちと人間の未来について思いを巡らせる二人。
    それぞれの専門領域に触れながら、漠然とした思いは着実に形をなしていきます。

    二人がぴったり息があっている様子が伝わってきますが、全編を通じて、互いの意見にどちらも全く反論をしていないことに気が付きました。
    そんなに言うことすべてが流れるように同調していくものなのか、編集上そうなったのか、わかりませんが、反論の上に新たな認識が生まれていく対話も知りたかったと思います。

    すっかり縁がなくなったようで、しっかりとつながっている縄文時代と現在。
    その道の一流の専門家でも、原点に立ち戻っていきます。
    根っこを知ることの大切さを知りました。

  • この本、震災前にでているところが、すごい。

  • 諏訪、若狭・敦賀、奈良・紀伊田辺、山口・鹿児島、青森

  • 2013/01/30 小俣図書室--県立図書館。

    ISBNが 裏表紙に記載されてなかった。奥付には有った。版元「木楽
    舎」は お気楽?

  • 縄文の聖地…諏訪、若狭・敦賀、奈良・紀伊田辺、山口・鹿児島、
    そして青森…を中沢新一、坂本龍一が旅をする。
    では、縄文とはなんだろう… 二人はどこへ旅したのだろう…
    冒頭で、中沢新一は、わかりやすくまとめている。

    ―いまでは縄文と呼ばれている、おおよそ1万3000~3000年
     くらい前の時代、その世界を動かしている経済の原理は、
     等価交換ではなく贈与でした。
     ものを贈るときには必ず、眼には見えないけれども
     人間の心にかかわる要素を、お互いが受け渡しをしています。
     贈与においては、ひとつとして同じものは存在せず、
     等価交換にはなりません。
     贈与は生命の働きと結びついていますから、不死でも
     不変でもありません。

    そう…ふたりは「生命の働き」の基層を旅しようとしている。
    その古層の上にのっかているのは、敦賀原子力発電所であり
    六ヶ所原子燃料サイクル施設だった…その意味するところを
    二人は真摯に考察しようとしている。そして、それは縄文的でないのだ。

    さらに、縄文的心層をつかさどるエネルギー、神話の想像力…
    人間の祝祭空間の根源は同じところでつながっている…という。
    それはエロだというのだ。 生きること、悦ぶこと、
    死ぬこと、イクこと…みなつながっているのだろう。

    等価交換でない贈与による気持ちのやりとり…
    ボクには、それが、たいそう美しく、心地よいものに思われた。
    それは、見返りを求めぬ愛? 恣意的な誤読と知りつつ云えば…
    かくして報われぬ「ウェルテル」は、縄文的に幸福であったと感じたのだ。

  • いろんな宗教の形を借りるようなふりしている日本人の心の奥底には自然への思いがある。親しみ、感謝、畏れ。自分は神社仏閣が好きだと思っていたけれどやっぱり基本は自然に対するそういった感情がある。

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