フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

著者 :
制作 : 小林廉宜 
  • 木楽舎
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本棚登録 : 646
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240407

感想・レビュー・書評

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  • 2011年8月発売。図書館で予約待ちなしに借りることができた。意外。ANA機内誌の連載を一冊にまとめたもの。
    「二人の紳士と女」

  • 光の王国に魅せられた分子生物学者の生命観《赤松正雄の読書録ブログ》

     たまたま福岡伸一氏(分子生物学者)と高橋源一郎氏(作家)のラジオでの対談を聴く機会があった。その中でフェルメール作品だけの美術館の紹介があった。早速、足を運んだ。37のフェルメール作品のうち34もの作品が展示されていた。これらは、「フェルメール・センター・デルフト」より受けた画像素材を最新技術によって、350年前の色彩を求めて再創作(クリエイト)したものである。

     今まで見たいかなる絵画作品よりも光の鮮やかさに眩暈を覚えるほどだった。平面に描かれた絵画なのに立体感を感じさせ、奥行きを感じてしまう。福岡さんはもとの絵が展示され保管されている世界中あちこちの美術館を実際に訪れた。『フェルメール光の王国』はその華麗なる訪問記ともいうべきものだ。

     34の作品について訪れた美術館での出会い順に、紹介されている。一枚一枚の絵や関連する写真は豪華であり贅沢だ。「時間を止めながら、時間の流れを表現する方法、いうならば微分的な要素が含まれている」―光のツブやら時の流れについての表現はこの人ならではのもの。分子生物学者としての彼が『生物と無生物のあいだ』の中で発見しえたものを、今度は美術作品の中で見出す試みといえようか。前者では正直いって今一歩掴み得なかったものも多い。科学と芸術のあいだを遊泳する著者の新境地に今度こそはとの思いもあって、読み進めた。「フェルメールは絶え間なくうつろう光の粒と時間の流れをいかに絵の中に封じ込めることが出来るかを一心不乱に考え続けた。絵画とそれを見つめるもの、そのあいだの界面をいかに溶かしうるかを全身全霊で求め続けた」という境地がそこはかとなく伝わってくる。

     オランダからアメリカ、フランス、イギリス、アイルランド、ドイツ。訪れた国々の美術館で学芸員たちとかわす会話の妙。素晴らしい作品のグラビア。これまで美術館で幾度となく作品の写真集を手にしたが、この本ほど魅惑的なものはない。私はこれまでも中野京子『怖い絵』のような絵画の読み解き方的なものに興味をもってきたが、これはまた格段の異彩を放つ。

     福岡氏は『動的平衡』のなかで、独自の生命観を展開している。ここでも「私たち生物は絶え間のない流れの中にある元素の淀みにすぎない。そして生命にとっては、つねに変わり続けることが、できるだけ変わらないための唯一の方法なのだ」とあり、日蓮仏法で説く生命観との類似性を思わせ興味深い。

     最後の「ある仮説」がまた楽しい。同時代、同地域に生きたフェルメールと光学顕微鏡の先駆者レーウェンフックとの交流を推察している。これは美術ミステリーのようで、好奇心が妙に高められる。

  • 37点しか 存在しない
    フェルメールの「絵」
    の一つ一つ を
    堪能できる 旅
     
    その地に
    なかなか 行くことの出来ない
    我々フェルメール 好きには
    たまらない
    好著 の 一冊 

  • フェルメールの絵を「微分」と表現する福岡伸一さんの文章もまた、芸術的!

  • 福岡ハカセの生物学者としてキーワードである「動的平衡」を鑑みると、フェルメールの絵に魅かれるのがよく理解できる。ハカセの専門分野の多くの科学者たちとフェルメールを交錯させながらレーウェンフックで始まりレーウェンフックの昆虫の観察スケッチで閉じるといった構成は、虫大好き少年だったハカセの真骨頂と言え、楽しめた。「フェルメールの作品は、それを所蔵する美術館にあえてわざわざ出かけて行ってこそ見たい。」それはそのとおりと思うが、この本に触発されてBunkamuraの「フェルメールからのラブレター展」を見に行った。目玉は修復後初公開となる「手紙を読む青衣の女」だが、私の一押しは「手紙を書く女」。彼女の静謐で柔らかいまなざしを前にするととても穏やかな気持ちになれる。ということで昔見た「少女」にもまた会いにメトロポリタン美術館に飛んで行きたくなった。

  • 本文は福岡ハカセの個人的な思い入れが強すぎてつまらないが、写真がとても奇麗なので盛り返してこの評価

  • 駄作の部類。帯には「科学と芸術のあいだを遊泳する(中略)極上の美術ミステリー紀行」とあるが、版元の経費でヨーロッパ旅行しているだけに見えた。肝心要のフェルメールが描いたという「光のつぶだち」は最後まで消化できないまま終わった。

    掲載される絵画のチョイスがわけわからない。本文にまったく登場しないフェルメール作品の写真がいくつも挿入されているのに、重要な意味をもつエッシャーなどの図版がない。まず間違いなく、複数ヶ所で許可とる面倒を避けた編集者の怠慢。心からしょうもない本。

  • 福岡氏と美術館が好きなので手に取ったが、フェルメールはあまり好きではなくそこまで楽しめなかった。
    こういう旅の仕方は好き。

  • フェルメールとその絵にまつわる場所を旅行し、実際に絵を見に行く本。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4054994.html

  • フェルメールの事のみならずいろんな事を教えてくれる一冊。 生物学者である福岡さんの視点が楽しい。

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著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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