フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

著者 :
制作 : 小林廉宜 
  • 木楽舎
3.88
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本棚登録 : 645
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240407

感想・レビュー・書評

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  • 大好きなフェルメールと福岡氏、しかもオールカラーでたっぷりの写真、それだけで大満足。オランダ行きたいな。

  • 生物学者が紡ぐフェルメールを巡る紀行文。

    私が2010年に出逢った書籍「生物と無生物のあいだ」。それから8年。私にとって、フェルメールに関するはじめての本として手にとった本書の著者は、あの「生物と無生物のあいだ」の著者である生物学者 福岡伸一氏のものでした。

    科学者と芸術家の類似性として良く言われるのが、「美しいものを追求する姿勢」ですが、本書にはまさにこれが表現されています。

    少し長いですが、本書を象徴する表現が本書にありますので、少し長いですが掲載して感想にかえさせていただきます。

    【本書抜粋 福岡伸一氏】
    思えば、17世紀は、時間の一瞬を切り取りたいと人々が願い、それがかなった時代でもあった。世界は絶え間なく動き、移ろい続けている。それはガリレオやカッシーニが観察したとおりである。しかし、人間の目は、絶えず運動をし続ける対象をずっととらえ続けることはできない。何とかそれを一瞬、とどめることはできないか。物体の運用を一瞬とどめ、そこに至った時間と、そこから始まる時間を記述する方法はないか。まさにそのようにして数学における微分法は生まれた。ライプニッツやニュートンたちは運動の方程式を使って、動くものを一時、そこにとどめ、その物体が次にどの方向へどのような速度で動き出すかを予測する方法を編み出した。それが微分である。このことによって力学と運動が記述できるようになる。
    フェルメールはまさに、ガリレオとカッシーニとともに生きた。フェルメールは、ライプニッツやニュートンと全く同じ願いをもっていた。そしてそれぞれ別々の方法で同じことを達成してみせたのだ。この世界にあって、そこに至る時間と、そこから始まる時間を、その瞬間にとどめること。フェルメールは絵画として微分法を発見したのである。科学と芸術はまったく不可分だった。
    ---

  • フェルメールと同じ年にデルフトで生まれたレーベンフック(地質学者と天文学者のモデル?)が顕微鏡で見たスケッチ画はフェルメールの作ではないか? ー仮説はなんとも魅力のある話。同じ”光”を追いかけたフェルメールとレーベンフック。
    フェルメールの絵は日本に来た時に見てるし、ウイーンでも見た。現地で絵が飾ってあるところで観るほうがいんだよな。

  • フェルメールと顕微鏡開発者のレーウェンフックの交差に関する推察は、動的平衡にも記載してある。現存する37作品中の34作品を現地で鑑賞した紀行文。

  • (2013.07.03読了)(2013.06.29購入)
    「世界は分けてもわからない」等でも、絵画について述べている部分があったので、西洋絵画が好きな方らしいと思ってはいたのですが、美術紀行を書くまでの方とは思っていなかったので、ビックリです。ましてや、フェルメールの全作品の模作を一堂に会した美術展を東京・銀座で開催し、余勢をかって全国各地をめぐっているとは。
    世界各地の美術館に展示されているフェルメールの作品34点を見てあるいた紀行文集です。事前に美術館に連絡して、学芸員に直接説明を聞きながら、その内容をまとめています。カメラマンも同行して、絵の写真はもとより、取材中の写真なども掲載されています。
    絵の話だけでは足りない部分は、野口英世、ガロア、レーウェンフック、等で補われています。レーウェンフックについては、顕微鏡で観察した研究結果の発表用の絵がフェルメールの描いた物ではないだろうか?というのですが。
    ついでに、「地理学者」「天文学者」のモデル及び発注者がレーウェンフックではないかとも言っています。
    コレクターの収蔵品リストにはあるけど、現在所蔵先不明の作品もあるようです。盗難にあったけど戻ってきたもの、未だに行方不明のもの、色々あるようです。

    【目次】
    第一章 オランダの光を紡ぐ旅
    第二章 アメリカの夢
    第三章 神々の愛でし人
    第四章 輝きのはじまり
    第五章 溶かされた界面、動き出した時間
    第六章 旅の終焉
    第七章 ある仮説
    あとがき

    ●アメリカに15点(43頁)
    現存するとされる37点のフェルメール作品のうち、現在までに実に15点がアメリカにある。ワシントンD.C.に4点、ニューヨークに8点、そのほかに3点。
    ●絵筆(49頁)
    フェルメールの絵筆は。遊ぶように、踊るように、あるいははかない祈りのように、さりげない光点を載せるだけで、動きの効果をそこにとどめる。

    ☆福岡伸一さんの本(既読)
    「生物と無生物のあいだ」福岡伸一著、講談社現代新書、2007.05.20
    「できそこないの男たち」福岡伸一著、光文社新書、2008.10.20
    「動的平衡-生命はなぜそこに宿るのか-」福岡伸一著、木楽舎、2009.02.25
    「世界は分けてもわからない」福岡伸一著、講談社現代新書、2009.07.20
    「ルリボシカミキリの青」福岡伸一著、文藝春秋、2010.04.25
    (2013年7月3日・記)
    (「BOOK」データベースより)
    生物学者・福岡伸一がおくる極上の美術ミステリー紀行。
    --------------------------------------------
    【展覧会】
    フェルメール光の王国展
    主催:フェルメール・センター銀座 実行委員会
    (木楽舎、廣済堂、読売新聞社、電通)
    会場:フェルメール・センター銀座
    会期:2012年1月20日(金)~7月22日(日)
    入館料:大人(高校生以上)1,000円
    入館日:2012年2月14日(火)

    「このほど私たちはフェルメール理解へのひとつの試みとして、現存する全フェルメール作品を最新のデジタルマスタリング技術によって、彼が描いた当時の色調とテクスチャーを推測して、原寸大で、所蔵美術館と同じ額装を施して一堂に展示する場所を作ろうと考えました。それを可能としたのが、リ・クリエイト画像技術であり、それを実現したのがここ、「フェルメール・センター銀座」です。」(ホームページより)

    本物じゃないものを見てもしょうがないのじゃないの、と思いつつも、話のタネにと思い見に行ってきました。
    会場の建物に到着したのですが、入口が分からず、大分うろうろしてしまいました。入口は右手です、の意味がよく分からなかったのです。右手のドアから入ると地下に行きそうだし。ずっと右の方にありました。
    会場入り口は5階というのですが、エレベーターのボタンは押さずに待て、と書いてあります。5階でエレベーターを降りると矢印に沿って、4階に降りなさいというのです。
    4階に行くと、入場券売り場があります。
    フェルメールの作品の複製37点が、所狭しと並べて展示してあります。制作された年代順ということです。
    本物と同じ大きさで、制作されたときの色や輪郭線が再現され、本物と同じ額装になっているということです。色は綺麗だし、描かれているものが本物より明確にわかります。
    37点並ぶと、壮観です。画集だと大きさが分からないのですが、ここには、本物と大きさが同じで、額装も同じものがあるので、本物を思い浮かべながら見ることができます。
    いま、文化村に3点展示されているし、今年は、「真珠の首飾りの少女」「真珠の耳飾の少女」等も来日の予定です。楽しみです。
    3階に回ると、フェルメールの画室の再現、フェルメールの絵の中の小道具が何を意味しているのか、フェルメールの描いた挿絵ではないかと思われる作品、等興味深い展示がしてあります。
    2階に階段で下りてエレベーターの前に立つ間もなく、エレベーターのドアが開いて、1階へ降りて、出口へ。
    フェルメールのファンの方は、一度足を運んでみるといいと思います。

    いままで16の作品を見ているようです。
    1.1650年代の作品
    ☆①マリアとマルタの家のキリスト(1654-1655頃) - スコットランド国立美術館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    ②聖プラクセディス(1655年)バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション
    ☆③ディアナとニンフたち(1655〜1656年頃)マウリッツハイス美術館
    1984年「マウリッツハイス王立美術館展」国立西洋美術館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    ④取り持ち女(1656年) - アルテ・マイスター絵画館
    ⑤眠る女(1657年頃)メトロポリタン美術館
    ☆⑥窓辺で手紙を読む女(1657年頃)-アルテ・マイスター絵画館
    2005年「ドレスデン美術館展 世界を映す鏡」国立西洋美術館
    ☆⑦小路(1658年頃) - アムステルダム国立美術館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    ⑧士官と笑う娘(1658年頃) - フリック・コレクション
    ☆⑨牛乳を注ぐ女(1658-1660年頃) - アムステルダム国立美術館
    2007年「フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展」国立新美術館
    ⑩紳士とワインを飲む女(1658年頃) - ベルリン絵画館
    ☆⑪ワイングラスを持つ娘(1659〜1660年頃)ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    2.1660年代の作品
    ⑫中断された音楽の稽古(1660〜1661年頃)フリック・コレクション
    ⑬デルフトの眺望(1660-1661年頃) - マウリッツハイス美術館
    ⑭音楽の稽古(1662-1665年頃) - バッキンガム宮殿、王室コレクション
    ☆⑮手紙を読む青衣の女(1663〜1664年頃)アムステルダム国立美術館
    2012年「フェルメールからのラブレター展」Bunkamuraザ・ミュージアム
    ⑯天秤を持つ女(1664年頃)-ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    ⑰水差しを持つ女(1664〜1665年頃)メトロポリタン美術館
    ☆⑱リュートを調弦する女(1664年頃) - メトロポリタン美術館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    ⑲真珠の首飾りの女(1664年頃)ベルリン絵画館
    ☆⑳手紙を書く女(1665-1666年頃) - ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    2012年「フェルメールからのラブレター展」Bunkamuraザ・ミュージアム
    21赤い帽子の女(1665〜1666年頃)ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    ☆22真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)(1665年頃) - マウリッツハイス美術館
    1984年「マウリッツハイス王立美術館展」国立西洋美術館
    23合奏(1665〜1666年頃)イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館
    24フルートを持つ女(1665〜1670年頃)ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    ☆25絵画芸術(1666-1667頃) -ウィーン 美術史美術館
    2004年「栄光のオランダ・フランドル絵画展」東京都美術館
    26少女(1666〜1667年頃)メトロポリタン美術館
    27婦人と召使(1667頃) - フリック・コレクション
    28天文学者(1668年)-ルーヴル美術館
    ☆29地理学者(1669年頃) - シュテーデル美術館
    2011年「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」 Bunkamuraザ・ミュージアム
    ☆30レースを編む女(1669-1670年頃) - ルーヴル美術館
    2009年「ルーヴル美術館展 -17世紀ヨーロッパ絵画-」国立西洋美術館
    ☆31恋文(1669〜1670年頃)アムステルダム国立美術館
    2000年「レンブラント、フェルメールとその時代展」国立西洋美術館
    3.1670年代の作品
    32ギターを弾く女(1670年頃)-ケンウッド・ハウス
    ☆33手紙を書く婦人と召使(1670年) - アイルランド国立絵画館
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    2012年「フェルメールからのラブレター展」Bunkamuraザ・ミュージアム
    34信仰の寓意(1671〜1674年頃)メトロポリタン美術館
    35ヴァージナルの前に立つ女(1673-1675年頃) - ロンドンナショナルギャラリー
    36ヴァージナルの前に座る女(1673-1675年頃) - ロンドンナショナルギャラリー
    ☆37ヴァージナルの前に座る若い女(1670年)個人蔵
    2008年「フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館
    (2012年2月20日・記)

    • みじんこさん
      以前からフォローさせていただいてます。ちょくちょく参考にしています。
      洋の東西を問わず、福岡先生は芸術に造詣が深いですよね。これは読んだこと...
      以前からフォローさせていただいてます。ちょくちょく参考にしています。
      洋の東西を問わず、福岡先生は芸術に造詣が深いですよね。これは読んだことないので、参考にさせていただきます。
      2013/08/12
    • lacuoさん
      この夏、フェルメールを観てきました。
      福岡氏の影響で見たいと思いました。

      福岡氏がフェルメールの贋作と科学的な実験データの偽造についての文...
      この夏、フェルメールを観てきました。
      福岡氏の影響で見たいと思いました。

      福岡氏がフェルメールの贋作と科学的な実験データの偽造についての文章を、飛行機の中でANAの雑誌で読み、その文章の素晴らしさに驚きました。

      生物学者としての福岡氏の視点も、驚くべきものがあります。

      nakaizawaさんの美術好き、本好きと、私のそれは、かなり近いと思います。

      フォローしましたー!
      相互フォローを、強く、希望します。
      2013/09/27
  • フェルメール 光の王国

    ANAのフライトの乗るたびに機内誌「翼の王国」を楽しみにしていたのは、これが連載されていたからだった。
    赴任時代に美術館巡りに目覚めてあちこちと回ったお陰で、好みだったフェルメールの本物にも随分と出会うことが出来た。
    生物学者でもある著者の福岡伸一氏は、彼の絵が所蔵されている美術館で鑑賞することを目的として、現存する37作品中34品を見て回ったらしい。
    これは本当に羨ましい限り。
    本書では、各地の美術館でそこに展示されているフェルメールの絵にまつわる話が静かに繰り広げられたり、現地に関わり合いのある科学者の話に絡められたりと興味をそそるエッセイ風の仕上がりになっている。
    最後の仮説がまた魅せる内容であり、読む者を唸らせる。
    冒頭に取り上げた顕微鏡の発明者レーウェンフックとフェルメールは、一時共同作業をしていたのではという仮説である。
    何とも絵を見る楽しみを盛り上げてくれるではないか。

    フェルメール好きの方は一読を勧める。
    そして、ぜひ一度、デルフトを訪れて彼らの話を思い浮かべながら歩いて欲しい。
    中世の面影を残す街の光景が、フェルメールの絵、レーウェンフックとの話などど相俟って素敵な思い出となって心に残ることは間違いない。

  •  フェルメールに日本で人気の高い画家のひとりですね。
     本書は、ANA機内誌「翼の王国」に連載されていた紀行文の書籍化とのこと、フェルメールと生物学者の福岡伸一氏の組み合わせに惹かれて手に取ってみました。
     フェルメールの作品は「光」と切り離すことができません。光が差す瞬間を、著者は「微分」と表現しています。こういった科学者的な視点からのとらえ方に加え、作品を訪ねる旅程を記す著者の筆は、その多才さをいかんなく発揮しています。いろいろな意味でとても興味深い著作でした。

  • 誰も見たことのない、フェルメール作品だけのアートギャラリー
    フェルメール全37点のリ・クリエイト作品を一堂に展示。

    *「フェルメール・センター・デルフト」より提供を受けた画像素材を最新技術により、350年前の色彩を求めて美しく再創造。 この作業を「re-create」と呼ぶ。

    ■開催会場
    阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー
    ■開催期間
    6月26日(水)~7月15日(月・祝)
    ※休館日なしの20日間
    http://www.ktv.jp/event/vermeer/index.html

  • 福岡の九州国立博物館にて、ベルリン国立美術館展に行く予定だったので、手に取ってみました。
    とはいうものの、真珠の首飾りの少女しか来てなかったのですが。
    なかなか面白かったのが青いターバンの少女に使われている青が、本物の宝石…ラピスラズリを使っている、ということでした。
    多分ウィキペディア先生とかに聞いたら一発で教えて下さったんでしょうが…!

  • フェルメールの絵が好きで、この人がどんな風にフェルメールを見ているのか読んでみたくて手にした一冊です。フェルメールの展示会にもいくつか足を運んでますが、やっぱり光を、光の道筋を改めて意識させてくれるようなその絵は時間を止めてくれますね。著者の、フェルメールの絵を微分で表したセンスは真似できないなと思いました。いつか、全国に散らばった絵画も本物を見に行ってみたいなぁ。

著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福岡伸一の作品

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