動的平衡2 生命は自由になれるのか

著者 :
  • 木楽舎
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本棚登録 : 995
レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240445

感想・レビュー・書評

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  • 生命とは何か。
    その定義は長らく、「自己複製するもの」だったらしい。
    生命の目的は子孫を残すことであり、子孫を残すというのは遺伝子を単位としたその複製であり、言うなれば生物の個体は遺伝子の複製のために乗り捨てられるものに過ぎない、と。
    しかし、私たちは確かに生命の号令に突き動かされることもあるが、一方でその命令に背くこともできる。
    結婚せず、子どもを作らずにいることもできる。どうとでもできる。「できる」というのは、可能性・可変性を持つこと。
    となれば、遺伝子の中には「子孫を残せ」以外の号令もあるというべきだ。それは、「自由であれ」という可能性を志向した号令ではないだろうか――というテーマの一冊。
    『動的平衡』に続く、福岡ハカセの生命への考察・第二弾。

    考察内容も面白いのですが、それに行きつく前の事実・エピソードの紹介も面白くて、
    私たちの体内に住む大腸菌は数kgにも及ぶだとか、ヒトの遺伝情報は3GBくらいだとか、腎臓の働き(尿は何か)だとか、
    生物学知識ゼロ人間の私にとっては、読み進めるたびに「へー!」の連続でした。

    私たちの世界には、因果律も運命もない。
    ただ自由と共時的な多義性が確保され、私たちは何かを選び取ることもできるし、そのままにしておくこともできる。その自由さのありように、意味がある――。
    うーん、福岡生命論(論じるというより、エッセイ的な内容ですが)、面白かったです。

  • 動的平衡の流れの中で生命が生命として存在している。過去の偉人たちの偉業と生物学とを巧みに繋げている。

  • 1

  • 生命は秩序を長持ちさせるために、最初から堅牢に作るのをあきらめた。自然現象がエントロピー=乱雑さ が増大する方向に進むことを押しとどめることは困難だから。それが動的平衡である。と、いう理解でいいのであろうか。 生態系の進化とDNAの関連についての考察やDNAを修復する結果想定されることについてのSpeculationが印象的だ。自分自身がかねてよりなんとなく懸念していることを文章化してくれており、痒いところに手が届いたようですっきりした。  人間あるいは生命の生態系の将来に興味があるが、目に見える変化は自分自身が生きている間には観察できないことであろう。私の予想では今の医学や科学の行き着くところには、行き詰まり・破綻が待っている。生命の持つDNAの人為的変更や、人工的に作り出した原子力のような生態系を脅かすものの存在が、人間の生活を破綻に導く気がする。自然を敬い、共存して生きていく、できる範囲から少しづつ。

  • 遺伝子、DNAとRNA、バイオテクノロジー、たんぱく質、進化論、地球環境問題、等生物に関する知的好奇心を満足させてくれる本だ。著者の動的平衡にも書かれていたが、人間は合成と分解を繰り返している。そのために常に食料をとり、睡眠をとらないといけない。これは企業でも同じだ。分社化、M&Aだ。適者生存、ゲノム、エピジェネティックス、Cの時代からNの時代へ、ゲノム解析、ペニシリン、アミノ酸、ヌクレオチド、獲得形質の遺伝、生物の可変性等興味深い。生物をしることは人間を知ることだと思う。

  • 一冊目の続きとして読んだ方がより楽しめると思います。

    すべての章内容の世界を体験した上での、著者のあとがきがとても素敵です。
    だから、引用文を載せたくて仕方ないけど載せられない。

    なぜ私たちはこの身体を保ち生命活動を続けているのでしょう。種の存続に一体どんな必要性があるのでしょう。生きていることが不思議でたまらないです。

  • 二匹目の泥鰌~設計図はDNAだが,そこに「自由であれ」と言われているのではないか。ヒトとチンパンジーのDNA上の違いは2%弱だが,第二次性徴を促す性ホルモンが出るスイッチ・オンはヒトの場合,遅れてやってくる。それまでの時間で,試行錯誤や手先の器用さ,好奇心,探索行動が長続きする。卵子由来で継承されるマターナルRNAがどのような働きをしているかはまだ分かっていないし,糸巻き効果,メチル化のメカニズムも未解明だ。花粉症対策として抗ヒスタミン剤を服用すると,ヒスタミンは余計に出て,花粉症は悪くなる。腎臓のメカニズムは,一日に1700㍑の血液が流れ込み,300回の循環だ。原尿と呼ばれるのは180㍑,99%が回収され,残りの1~2リットルが尿となる。沢山水を飲んで,せっせと尿として出すことで,エントロピーを捨てることになる。問1大気中に含まれる二酸化炭素の濃度は何パーセントですか?答0.035%問2一年間に人間の活動によって排出される二酸化炭素の量は,大気に含まれる二酸化炭素の量の何パーセントですか?答1%以下(72億トン/7300億トン)問3日本が排出する二酸化炭素の量は,全世界の排出量の何パーセントですか?答4%問4二酸化炭素排出量を国別に比べると上位ファイブは?日本は何位ですか?答1位中国2位アメリカ3位ロシア4位インド5位日本(4%)問5実質,日本は何パーセント減らさなければなりませんか?答実質十数パーセント。そもそも相関性と因果関係は同じだと考えたがる傾向がヒトにはある。遺伝子外の要因を考えねばね。それはDNAのコピーエラーかも知れない。それが進化を促進したかも知れない。どんなにジムで筋トレしても,子孫に影響は与えない~ロハスって,インチキ臭いんだけど,流石に科学者が書くと信憑性が出る。まだ,続きが書けそうだね

  • 良質なエッセイと入門サイエンスの気質が内包されている良書であると感じた。特にあとがきにそのエッセイ的な良さが一番現されている。

  • 前作よりもインパクトはうすいけれど、内容としては面白い。
    DNAっていえば科学的、とか思っている人は一読してほしい。

著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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