- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863290358
感想・レビュー・書評
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NHKの記者が取材した内容を本にまとめたもの
習っていない知らないことがたくさんあった
終わったと思っていた水俣病の現状について詳しく書かれている
とても勉強になる
日本のジャーナリストも捨てたもんじゃないなあ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
519.2-ヒガ 300159480
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配置場所:摂枚普通図書
請求記号:493.152||H
資料ID:51000067
公害の原点と言われる水俣病について、科学的な視点のみならず、社会的な視点からも分かりやすく解説されている。(毒性学研究室 磯部先生) -
書名そのものに虚を突かれる。半世紀以上も前に公式確認され、誰もがその名前くらいは知っている惨禍が、今なお解決できていない?
これは、平成3年にNHK記者として熊本に赴任した著者自身の驚きであった。教科書で〝過去の教訓〟として習ったはずの水俣病は、現在進行形の、しかもいよいよ混沌して拡大中の出来事であったからだ。
水俣病の被害者は何人いるのか。そもそもどんな症状なのか。こんな単純なことさえ、今なお誰も答えられない。なぜか。水俣病の責任の所在も不明で、患者か否かを認定する行政システムすら機能していないからだ。信じがたいことだが、何もかもがデタラメに放置されてきたといって過言ではない。
本書はNHK熊本放送局が取り組んだ番組「水俣病証言録」を文字に再編したもの。患者、支援者、医師、研究者、官僚、記者、チッソ幹部など50人の証言が、複眼的に水俣病というものを浮かび上がらせてくる。
チッソという、日本の近現代を象徴する企業が何をしたか。権力が何を隠蔽し、どう幕引きを図ろうとしてきたのか。今もなお、何が進行しているのか。
オーラルヒストリー(口述記録)の静謐な凄み。複雑かつ深刻な主題に読者が引き込まれていくのは、著者の卓抜な筆力によるところが大きい。圧倒的なジャーナリズムの気迫が伝わる一冊である。