モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号

制作 : 柴田元幸 
  • ヴィレッジブックス (2008年4月18日発売)
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  • 7レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863320086

モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号の感想・レビュー・書評

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  • メルヴィルのバートルビーのみ読了。
    奇妙な書写人を雇ってしまった男が、その理性ゆえに、頑なな自己を貫くバートルビーに振り回されるという筋。
    理性の狭間に置いてきぼりを食らったようなバートルビーの佇まいが妙に印象深く、淡々と彼の生涯に想いを馳せてしまう読後感。

    単純に、バートルビーに人格と人権を認めるから扱いにくいのであって、次の借家人のように力尽くで追い出してしまえば済むはなしだが、法を扱う立場であり、また感情と言うものに従って動いたことがなく、自らをもって理性的と任じるがゆえ、語り手はバートルビーを無碍に扱えない。
    バートルビーには、理性がないわけではない。むしろ、「そうしない方が良いのです(I would prefer not to…)」という話し方には、気味が悪いほどの丁寧さがある。ターキーやニッパーズといった古参の書写人たちに比べたら、かなり物静かだ。
    にもかかわらず、バートルビーには、はなしが通じない。彼は語り手や、他の登場人物とは異なる。頑固や意地といつたものではなく、ただ、完全に行き違う。
    語り手にはそれが耐えられない。
    語り手は、バートルビーにも人生があり、自らにも理解可能な理由があると考えたがる。バートルビーの人生に同情しようと試み、哀れみをもって彼を許そうとする。
    だが、語り手のそうした努力もバートルビーにとっては埒外で、結局、語り手はバートルビーに変化を求めるのを諦め、自らが離れる方を選ぶ。

    人間の、理性ゆえの懊悩のおかしみというか、コントロール不能なものに出会ってしまった者の不運がうまく描かれた佳作だった。
    それにしても、バートルビーとは一体何者だったんだろう。

  • 先日、vol.15で休刊となってしまった『monkey business』。買ったのは後にも先にもこれ1冊だから、まったくいい読者ではなかったのだけれど。

    柴田元幸さん訳のメルヴィル『書写人バートルビー―ウォール街の物語(Bartleby, the scrivener: A story of Wall-street)』を読みながら、途中で止まってしまっていたので、いまさらながらに読みなおし。英文学の世界ではクリーシェになってしまっている名前だ(と思う)けど、実際にどういう作品かはあまりよく知りませんでした。手を止めてはいけない職場で、“I would prefer not to.”と穏やかに返しながら、次第に自分の手を止めていく彼の姿は、風刺であるとか、哲学的な命題として解説されることが多い(ようだ)けど、それほどにとがった話ではなかったように思います。でも、不穏さが加速度的に増していく流れはなかなかダーク。そういう本筋よりも、むしろ私には、彼がシャツ一丁で職場のドアから顔を出すシーンが意外で、「へー、結構フツーに生きてんじゃん」と思ってしまいましたけど。

    『バートルビー』だけ読もう、と思っていたのですが、他の連載も思い切りよい人選で楽しい。岸本佐知子さん『あかずの日記』は岸本エッセイの最高傑作だと思うので、ぜひまとめて出版していただきたいです(ひょっとして、もう出てるのかしら)!小野正嗣さんの『浦ばなし』は、仕掛けに途中で感づくんだけど、あの話法であれだけ引っぱれるのはすごすぎる。川上未映子さんが解説する『第七官界彷徨』も、尾崎翠作品にあまり興味がなくても、すっと入っていける親切設計だし。とかなんとか言いつつ、結局、全部読んじゃった。

    一応、アメリカ文学メインの雑誌だとは思いますが、エッジイな面もありつつ、どちらかというと「柴田元幸さんの好きなもの」をお洒落なレイアウトで集めた文芸誌だったように思います。同人誌じゃないので、採算がどうこう、ということにどうしても目を向けなければいけませんから、この号でいったんおしまい、というのは外野からごちゃごちゃ言うことはできない。でもやっぱり、いい読者ではなかった、ごめんなさい…とおつきあいに後悔の残る雑誌のひとつです。

  • 2011年5月はとにかく積読本を減らそうと思っていました。モンキービジネスは買いそろえていたのですが、いつも好きな部分しか読んでいなかったので全部ちゃんと読もう!と思いまして…。
    ちなみにこの本再読中に「血」の部分でしおりを発見しました。そうです買った当初もこの作品がどうしてもニガテーと思ったのでほうりなげたんだったorz。
    小川洋子の対談はいいですね(にこにこ)。あと尾崎翠にはいつかちゃんと挑戦してみたいなぁ…。
    小野正嗣はちょっと苦手かも。

  • 2010年1月29日購入

  • 久々に当たりの雑誌。今回は野球に関する号。
    作家陣は癖のある人ばかりだけれど、そのせいか最終的にはうまい形にまとまっている。
    対談から始まり、国内外問わずの古典や現代小説など一つのテーマ、或はカテゴリに嵌め込もうとしていないのも面白さの所以かな。カフカの漫画が読めるのはこの雑誌くらいではないかしら。
    時折差し挟まれる油絵のような挿絵も魅力的。

  • 巻頭の対談にて小川洋子氏と野球の見方が一緒だと判明しました。同一人物の顔の形容ひとつにしても男性と女性とでは全く違うところが面白い。

  • (2008-04-18)

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