モンキービジネス 2010 Winter vol.8 音号

著者 :
制作 : 柴田 元幸 
  • ヴィレッジブックス
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本棚登録 : 58
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863322165

感想・レビュー・書評

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  • 古今亭志ん生のがよかったー。落語は未知の世界なのですが、聞いてみたくなりました。

  • monkey businessは毎号手にしているけれど決して柴田さんの期待するような隅から隅まで読みつくすような真面目な読者ではない。手元に届いてからまず読むのは川上弘美と岸本佐知子の連載でありその異なる妙な感じにひゃあとうっとりしその後に徐に西岡兄妹の描くカフカの世界を眺める(読む?ではないと思う、多分)。一つ残念なお知らせが書いてあり西岡兄妹とカフカのコラボレーションは今号でお終いとのこと。ああ残念。

    この号は音号とのことで音にまつわる短篇だとか断片だとかあちらこちら行きつ戻りつ読み漁る。そうして満足したところでちょっと頭を切り替えて柴崎友香の短篇を読む。

    『西川さんの長い長い髪はしゃがむと砂利の地面に先が着いていたが、気にする様子もなく、薄緑色の四角い小皿を裏返して見ていた。「どういうのが好きなんですか?」「緑色ならなんでも」』-『海沿いの道』

    何故だろうこんな何気ない一言に虚をつかれたような心持ちがするのは。ああだから柴崎友香は止められない。

    作家本人がコンサートに行って難聴になった話はどこかで読んだような気がするし主人公がコンサートに行く話も読んだことがあって柴崎友香の音楽好きはインプット済みだけれども「音」と柴崎友香の本に漠然と期待しているものは自分の中では上手く結びつかなくてどうして音号にレギュラー陣ではない柴崎友香が書くのか少し不思議だなと目次を見て驚きつつ疑問符が頭の中に沸いた。確かにこの短篇でもコンサートで難聴になった主人公が出てくるしあちらこちらに音そのものの描写がある。でもやっぱり柴崎友香の描写したものはみんなみんな写真のようになってしまう。

    これは考えてみれば本当に不思議。だって言葉は文字として紙面の上にあるけれど頭の中では確実に音になっているという実感があって(もちろん視覚が立ち上がらせる意味も同時にあるのだけれど)その音を聞きながら読んでいるのに印象として写真を眺めている時と同じような感慨に落ち着くのだから。しかもこの短篇では音のことを描いている場面も音は聞こえつつも結局は風景を構築する要素に落ち込んでいって最後には描写された絵が浮かぶ。

    これは連作としてまだまだ繋がっていく小説の一部なんだろうか。だとしたら相当嬉しいけれど。

    ひとつ嬉しいお知らせは次号から高野文子が描く(書く?)とのこと。楽しみ。

  • 2010年1月29日購入

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著者プロフィール

柴田元幸(しばた・もとゆき)
1954年東京都生まれのアメリカ文学研究者、翻訳家。東京大学文学部名誉教授。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。
2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。マーク・トウェインの翻訳に、『トム・ソーヤーの冒険』『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―』(新潮文庫)、最近の翻訳に、ジャック・ロンドン『犬物語』(スイッチ・パブリッシング)やレアード・ハント『ネバーホーム』(朝日新聞出版)、編訳書に、レアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌Monkey Business 責任編集。2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。

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