カフカ 《Classics in Comics》

  • ヴィレッジブックス
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863322394

作品紹介・あらすじ

『変身』ほか不朽の名作を完全コミック化。

感想・レビュー・書評

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  • カフカの短編を西岡兄妹が画にした本。カフカの小説は「変身」しか読んだことがないのだけれど、特によい短編の選りぬき版なんだと思うけれど、面白かった! 20世紀の文学を代表する作家という肩書に納得した。19世紀生まれの人が書いたとは思えない新鮮さ・普遍性がありますね。

    たいてい主人公は身の置き所がなくて追い詰められているんだけれど、よくまあこんなに多様な身の置き所の無さをぴったりと描いたもんだなあと感心してしまった。「変身」は、給料を持って帰る立場のひとはみんなしみじみしてしまうと思う。虫になってしまったのになんという妹思い。泣ける。

    西岡兄妹が描く白目のない顔がどれもたいそう怖い。その中で特に魅かれたのは「バケツの騎士」の浮遊感で、これはコミックならではだった気がする。カフカの原作も確認しなくては。

    • なつめさん
      様式化されているところがカフカに似あっているんですね。いまだ原作に手をつけていないのですが、実際に読んでみたらどんな感じか、楽しみです。
      様式化されているところがカフカに似あっているんですね。いまだ原作に手をつけていないのですが、実際に読んでみたらどんな感じか、楽しみです。
      2012/12/29
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「実際に読んでみたらどんな感じか」
      カフカは色々な訳があるので、チョッと読んでみてから決められるのが宜しいかと。
      読み易いと評判?なのは池内...
      「実際に読んでみたらどんな感じか」
      カフカは色々な訳があるので、チョッと読んでみてから決められるのが宜しいかと。
      読み易いと評判?なのは池内紀訳(白水uブックス カフカ・コレクション)で、
      アンソロジーとして面白いのは、ちくま文庫の「カフカ・セレクション全3巻」でしょう(訳者は平野嘉彦、柴田翔、浅井健二郎)。
      ネトッリしたのがお好みなら丘沢静也訳(光文社古典新訳文庫)、
      もっとエッセンスを愉しみたい場合は「夢・アフォリズム・詩」吉田仙太郎訳(平凡社ライブラリー)が良いかも知れません。。。
      2013/01/08
    • なつめさん
      いろいろなバージョンがあるんですね。装丁が好きなので、みすずの《大人の本棚》のをいってみようと思います。吉田さん訳です。
      いろいろなバージョンがあるんですね。装丁が好きなので、みすずの《大人の本棚》のをいってみようと思います。吉田さん訳です。
      2013/01/08
  • カフカの原作を元に、兄が構成し、妹が絵を描いたコミックス。

    ずいぶん前に知ったのだが、ちょっとカフカを読むには気力がいまいちだったので先延ばしになっていた。

    「家父の気がかり」「バケツの騎士」「断食芸人」がよかった。「家父の気がかり」の絵はちょっと真鍋博を思い出した。幾何学的だからかもしれない。
    「田舎医者」のローザがとてもかわいそう。
    「流刑地にて」はテキストを省きすぎじゃないかなぁ。
    「変身」についてのあとがきは、なるほどという気もするし、ちょっとずれている気もする。

    総じて、意欲作であることは間違いないと思う。
    だが「カフカ」の作品世界を「西岡兄妹」のフィルターを通してから「私」が味わいたいかというと微妙。自分にとっては、カフカは解釈する対象ではなく、感じる対象である気がする。感じるには、まずはテキストを読まないことにはねぇ。そういう意味ではちょっと詩に似ているかもしれない。詩の世界を表現した絵があったとしても、元の詩の引用が部分的だったりすると、どう捉えてよいか戸惑うだろう。
    いや、自分がカフカをもっとよく読んでいれば、またおもしろいんだろうけれど。

    *でもカフカってあんまり元気がないときには読めないし、元気があるときにはそぐわない・・・。自分にとっては読む時を選ぶ作家なのだった。

    *とか言いつつ、「バケツの騎士」は、もしかして原作で読むよりおもしろかったりするのではないかという気がする。でも原作を読んでないので比較できない。
    ぐだぐだな感想でごめんなさい・・・。

  • 私が『monkey business』を買ったり立ち読みしたりするのは、何も柴田元幸さんが編集人だからではなく、これ(と岸本佐知子さん『開かずの日記』)が読みたいから!という連載の単行本。表紙・扉・目次デザインともクールで、本編に進むのももったいない(笑)。

    私は勝手に、「カフカをマンガにするなら、水木しげる先生か楳図かずお先生!」と思いこんでいたので(笑)、この線は意外でした。硬質で、ちょっとユーモラス、それに浮遊感のある絵柄。池内紀さんの訳を底本として大胆にトリミングされており、「脚本・池内紀、演出・西岡兄妹」の映像を見ている感じ。カフカは「不条理」でくくられてしまうことの多い作家さんですが、不条理ではないと思う。理屈が通っていても、それを全部見せないから、「ワケわかんねー」的になるような。美しい言葉で、「貴方はこのようなことを考えたことがないとでもおっしゃるのですか」と、ひたひた詰めていく怖さ、イヤさは、絵柄とともにくる(笑)。どの作品もラストの1文が効きすぎ!

    そういったイヤ感を漂わせながらも、「家父の気がかり」は微妙にポップなSF、「バケツの騎士」は哀しさをこめたメルヘンのようにも読めます。「兄弟殺し」は残酷でうっすら甘美なノワールとして完璧だと思うけど、個人的には「流刑地にて」が、思いきった演出も、あとをひくイヤげな感じもマイ・ベスト。

    文章で読んだときの感触を大事にお持ちのかたなら、正直、「えっ?」と思うところもおありかと。でも、想像を超える(と思う)ものに会う衝撃はかなりのものなので、これを無視するのは惜しいように思います。

    -----[2010.5.14 未読リストアップ時のコメント]-----

    猛烈に欲しいんだけど、自分の中でブレーキをかけている本(人にすすめまくってるくせに:笑)。カフカの小説をマンガで…という、なかなか強烈な企画。硬質な線とキャラ造形はマンガというより画文で、マンガに抵抗のあるかたの鑑賞にも十分堪えられると思います。なんたってカフカだし、サブカルじゃないと思うけど…結構そちらのカテゴリにはまって売られている本。連載元の『monkey business』だって、どっぷりアメ文(だと思う)なのに〜。岡崎京子『うたかたの日々』、横山光輝『三国志』、大和和紀『あさきゆめみし』に匹敵する文学マンガだと思いますが。

  • 「カフカ 《Classics in Comics》」読む。カフカを西岡兄妹の絵で、というゴージャスな1冊。いつもの西岡兄妹より文字数が多く小さくて多少読みにくい。文章は抜粋で良かったのでは? が、やっぱり味があるなぁ。
    家父の気がかり、変身、バケツの騎士、ジャッカルとアラビア人、兄弟殺し、禿鷹、田舎医者、断食芸人、流刑地にて。

  • 西岡兄妹さん(構成・作画)、フランツ・カフカ氏(著者)、柴田元幸(翻訳)氏の『カフカ 《Classics in Comics》』を読了。

  • カフカはこんな話だったか、という再考と、不穏さと滑稽さが絶妙に描き出されており(繰り返される幾何学模様や増殖する個体、描かれないザムザ)よかった。

  • 文学
    まんが

  • カフカの作品から、家父の気がかり / 変身 / バケツの騎士 / ジャッカルとアラビア人 / 兄弟殺し / 禿鷹 / 田舎医者 / 断食芸人 / 流刑地にてを取り上げて、漫画化。ストーリーをそのまま漫画化というよりは、地の文をそのまま当てはめて、挿絵に近いというか、その中間というか。「断食芸人」は、carib song,田辺剛「サウダージ」で取り上げられたのとは趣を異にして、抽象的な文様が、芸人の心象を表しているのかな、と。「兄弟殺し」は、動と静、なぜ殺したいのかも明らかにされず、殺すまでの高揚と、殺した後のただ呆然と連れて行かれる対比が印象に。田舎医者も、理不尽、唐突な馬丁の出現と、往診で裸にされ、最後は雪原に放り出される医者。流刑地にて、の得意な処刑器具の紹介とそれに飛び込んでいく将官もシュールで。

  • マンガでカフカ……と言いたいとこだけど、マンガなんでしょうかね、これ。人のフキダシはいっさいなし。でもコマワリはあります。小説の文体に細かい絵をつける、といった感じかも。わけがわからない文章だから絵入りで少しでも理解を……という方はどうぞ。ただし、普通のその辺のマンガの絵じゃないんで好き嫌いはわかれそう。

  • 漫画に括られるのは違うと思う。
    これを書いた(描いた)西岡兄妹の解釈した、カフカ作品絵入りダイジェスト本。
    原作で読むと疲れるので、絶対こんなに一度には読めない。それを思えば、読みやすいのかな。

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