ハルムスの世界

制作 : 増本浩子  ヴァレリー グレチュコ 
  • ヴィレッジブックス
4.08
  • (22)
  • (12)
  • (12)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 227
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863322554

作品紹介・あらすじ

ナンセンスでアヴァンギャルドで滑稽で、ときに残酷-。スターリンの弾圧下で闇に葬られ、20世紀後半に再発見された作家ダニイル・ハルムス。彼が遺した数多くの作品の中から代表作『出来事』+38篇を収録した傑作短篇集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ダニエル・ハルムスの掌編集。彼の作品全てにおいて、笑いがある。
    しかし、その笑いは時にシュールだったり、シニカルだったり、と様々だ。
    作品の合間に入る解説もGood!
    旧ソ連の内情がわからぬと読めない作品も多く、読み終えてふん?と首をひねった後の解説。とても役に立ちました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「その笑いは時にシュールだったり」
      それ以上にシュールな世界に住んでいたからですね。。。
      「その笑いは時にシュールだったり」
      それ以上にシュールな世界に住んでいたからですね。。。
      2013/07/30
  • ソ連時代スターリンの圧政下で闇に葬られた作家・ダニイル・ハルムスのアヴァンギャルドでナンセンスでシュールで残酷な超短編集。間あいだに解説付き。

    読んでいるうちに、マザーグースやスタンダップコメディアンが話す日本人にはあんまり笑いどころの分からない(分からないというより、大爆笑扱いなのが謎というか)ジョーク集のようにも感じてくる。奇妙で不条理な素敵な本。そして、人はつながりを持つことが出来ないというリアリズムを根底に、彼が生きた時代の不条理さ、今に繋がる感覚を共有できる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「大爆笑扱いなのが謎」
      確かにそうですね。
      根本的に土台が違うのかなぁ、と思ってしまうけど。惹かれます。。。
      「大爆笑扱いなのが謎」
      確かにそうですね。
      根本的に土台が違うのかなぁ、と思ってしまうけど。惹かれます。。。
      2012/12/25
  • 最初に読んだのは、モンキー・ビジネスという雑誌で。
    なんだこれは。
    というのが最初の感想。
    不条理文学というジャンルの中に入るというのを後から知った。
    どうも“不条理文学”というとカフカ辺りを思い浮かべ、ジメッとした感じがして手を出すことは無かったのですが・・・。

    しかし、彼の作品はカラッとしている。
    カラッとしているが、世の中のひどいことが沢山出てくる。隣の人がいきなり殴り倒されるし、死んでしまうし、突然居なくなってしまったり、と。
    しかも因果も理由もあったものではない。

    でも、きっと世の中そんなもんなんだろうな。と思えてしまう不思議さ。

    結構好きです。こういう話。
    ということで、★5つ。

  • ロシア文学と聞いて咄嗟に思い浮かぶ作品は何だろう。ドストエフスキーの『罪と罰』、トルストイの『アンナ・カレーニナ』……当時の社会や歴史を背景に、人間とは何かを問いかけながら展開する、重厚な物語群ではないだろうか。本書はそんな一般概念を覆す、シュールで切れ味鋭い短篇集だ。中には数行で終わってしまう超短篇もある。いずれの作品にも共通するのは、描かれているのが何も信じられない、信じない世界ということだ。ヒューマニズムは皆無、ハッピーエンドとは無縁。登場するものたちは他愛なく死に、無造作に殺し合う。だが突然始まり突然終わるこれらの短篇を読んでいくうち、これが人生の縮図のように感じられてくるから不思議。甘い感傷や慰めはないが、各所に散りばめられているユーモアのセンスは抜群だ。訳出の妙も手伝って、思わず噴き出してしまう。プーシキンとゴーゴリが変わりばんこに互いの体につまずいてはぶつくさ言う戯曲調の『プーシキンとゴーゴリ』、殺人の凶器がなんとも間抜けな『最近、店で売られているもの』などは、お笑いの舞台でも観ているようなお茶目さで、作品の中では珍しく明るい調子だ。
    作品の幾つかは奇想天外なラストにも関わらず「それだけのことだ」とクールに締め括られる。世界はいつ何が起きるかわからない、突拍子もなく残酷な場所。大自然に生きる虫や動物にとっては当たり前のことが、人間社会に生きる我々にとっても言える。そう嘯く著者の声が聞こえてきそうだ。
    著者ハルムスはロシアのアヴァンギャルドを代表する作家の一人で、不条理文学の先駆者だった。スターリンによる恐怖政治時代に生きた彼は、知識人弾圧の対象となる。幾度か投獄され、最期は刑務所内の病院で死亡する。
    ハルムス作品はいつ破綻するか知れない現実をシュールの鏡に投影して描いた似姿であり、彼はそうすることで人間の孤独を達観し、自らが一日一日を生きるよすがにしたのだろう。しかし心底「それだけのこと」と割り切れないからこそ、手を変え品を変え数多の作品を遺したのだとも思える。透徹した残虐性、言葉への偏執や揚げ足取りは幼児の性質にも通ずる。児童文学者として子供に人気のある作品を書いた、ということも頷ける。
    本書と重複する作品もあるが、未知谷刊の『ズディグル アプルル ハルムス100話』も併読したい一冊だ。

  • 【展示用コメント】
     こんな世界もあるんです

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001488828&key=B151607951610097&start=1&srmode=0&srmode=0#

  •  ロシア・アヴァンギャルドを代表する作家とのこと。
     スターリン政権下でロシア・アヴァンギャルドは弾圧を受け、彼は逮捕され、翌年に牢獄で死亡……餓死だったようだ。
     本書には「出来事」と題された30編からなる短編集の全訳と、翻訳者が選出した38編からなる「傑作集」が掲載されている。
     また、翻訳者による「コラム」が何編か掲載されているが、これが本書を読み解くためのいい感じの解説となっている。
     当時のソ連(ロシアではない)の社会情勢と、作品の背景がどう結びついているのかが、簡単にではあるがきちんと把握することが出来るので、その作品の理解に多いに役に立つのだ。
     この「コラム」があるのと無いのとでは、本書に対する感想も随分と変わってしまったと思う。
     僕としては短編集「出来事」よりも翻訳者が選出した「傑作集」の方により面白みを感じたし、より恐ろしさを感じた。
     他の方のレビューを見ていると「不条理」という単語が頻発している。
     この「不条理」を辞書で調べてみると、「不合理であること。または常識に反していること」と出てくる。
     つまり理屈にあっていない、筋が通っていない、非常識である、といったことになるのだろう。
    「コラム」を読み、当時のソ連の現状を知った上で、いくつかの短編を読むと、そこにある「不条理」は、実は当時のソ連の「現実」そのものだった、と理解出来てしまう。
     そう考えると、本書に掲載されているいくつかの短編は「不条理」ではなく、「リアリズム」に乗っ取った作品、と言えるのかも知れない。
     そんな傾向を持つ作品は特に「傑作集」の方に多かったように思う。
    「出来事」の方は、もう少しナンセンスな、作品によっては何が面白いんだろうと疑問に思ってしまうような作品が多かったように思う。
     あのペレストロイカが無ければ、この作品も、ハルムスという作家もずっと地下に埋もれていたとのこと。
     ほんのつい最近までそういったいわゆる「恐怖政治」に支配されていた国があったのだな、と思うとやはり怖い。
     いやいや、現在だって、日本のお隣には似たような国がある。
     そしてそこには第二、第三のハルムスのような作家が存在しているのかも知れない。

  • 鎌倉の本屋さんで見つけました。
    さみしいときに読んでる。

  • アバンギャルドな不条理文学。
    後半の「ハルムス傑作コレクション」には粛清の荒れ狂うスターリン時代の世相をイメージさせる短編が幾つかあって、これらは(当然ながら直接的に表現はしていないものの)物語としてイメージが伝わってきます。しかしこれらは体制の理不尽を表したもので不条理とは違いますし、数もごく僅かです。
    その他の大半は、特に前半の「出会い(ケース)」は1~3ページの不条理ショートショートです。それも不条理(非論理的、因果関係欠如)を物語で表現するのでは無く、不条理そのものの文章化です。何の脈絡もなく人が死に、足をもがれ、執拗に文章が繰り返され、極めてシュールです。
    この作品を読んだ多くの人たちが高評価を与えています。また"ユーモア"とか"笑い"があると書かれています。しかし私はダメでした。
    この作品のユーモアが判りません(笑える所もありましたがごく僅か)、またほとんどが"判らない”と言うのが素直な感想です。おそらく"感じる"べきところを"理解"しようしてしまう読書姿勢が間違いなのでしょうが。

    しかし、著者が言いたいのが
    ・この世は不条理である
    ・言葉は人に何かを伝えるのに適切で道具はない
    という事なら、なぜこんなに多くの作品を残さなければならないのでしょう。
    (そんなことを考えるのがそもそも間違いなのでしょうね)

  • なんというか,奇妙な感じ
    ちょっとブラックな稲垣足穂のような印象
    本の途中で掲載されている,翻訳者によるコラム?で,著者であるハルムスをとりまく,当時の環境・社会情勢などが説明されており,作品の書かれた背景などがわかり,作品をより楽しむことができた。
    ユーモアに隠れて,当時の危うい社会情勢が垣間見え,怖くもなる

全32件中 1 - 10件を表示

ダニイル・ハルムスの作品

ハルムスの世界を本棚に登録しているひと

ツイートする