- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863322554
感想・レビュー・書評
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表紙の飄々とした感じが以前からずっと気になっていて、古本でお安く出ていたので購入。
なんじゃ、こりゃ?(笑)不条理も不条理、暴力的であまりにも淡々としていて、頭が飛んだり、足が切断されたり、やたら人が死ぬし。不条理ワールド全快!
あまりにブラックユーモア過ぎて、思わず鼻の奥から「ふっ」と笑いが洩れてしまうほど。
しかし、これがスターリン圧政下でのおそらく「日常」だったのでしょう。ユーモアの裏に「虚無」のような怖さが潜む。
裏表紙にハルムスの書いたメモの写真が載っています。「今日は急ぎの用事があるので、家にいるけれど誰にも会わないし、ドア越しにも話しません」
おいおい…(笑)。こんな人に興味を持ったら、是非どうぞ♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四本足のカラスは気に入った。
多くの凄くつまらないものとちょっと面白いものが少しという感想。
不条理さも湧き上がってきたものというよりポーズのように感じてしまい冷めてしまった。
執拗に繰り返すパターンが散見されて途中で飽きる面も。 -
寝る前に1編ずつ...
というのが間違いだった!
もれなくもやっとした朝をむかえられます。 -
第1回(2011年度)受賞作 海外編 第10位
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コントのようなユーモアと不条理あふれる短編集。とにかくおもしろい。
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以前この本に対する書評を見かけ(確か円城塔さんの書評?だったと思うのだが・・・)、ふと図書館で見かけて借りた。
その書評の記憶がおぼろげながら残っていたので、さぞかしシュールなんだろうなと思って読み始めたものの、想像の軽く5倍はシュールでびっくり。なんだこりゃー。
ハルムスが描くのは、規定の常識が通用・成立しない、バラバラでトンチンカンな世界である。
そこでは意味のありそうなへんてこなことに意味がなく、登場人物たちの会話が成立せず、誰もが気まぐれで暴力的だ。
当時の20世紀ロシアが、いかに不条理で、そして有無を言わせない矛盾だらけの世界だったかがということが伝わってきてぞっとする。
ハルムスの作品だけを読めばこの世界は「シュール」で「滑稽」で「へんてこ」な印象しか受けないかもしれないが、それが著者がそのまま生きていた世界を反映したものだという読みをすると、とんでもないことだなと思う。
明日が今日の続きではないなんて。自分の生活が何の予兆もなく終わるかもしれないなんて。そして、目の前の人とでさえ、何も通じ合えないなんて。おそろしいことである。それでは、世界はがらくたとどう違うのだ。
そんなことを思いつつも、ハルムスの作品は不思議にユーモアがあって、適度にまとまっており、そして奇妙な共感がある。
ありえない。けれど、全くありえないわけでもない。これらの作品に描き出される「不条理」は、しかし私たちの現代の生活の中でも、どこかにかすかに息をひそめている。 -
これを書いたために投獄されたかと思うと恐ろしいです。
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不条理文学の先駆者として名を知らしめるハルムスの作品をはじめて読んだけど、まさしく不条理で、驚きの連続です。だけれども、人生に、人間社会にピタリと寄り添う内容が、読むにつれ更に驚かされます。これからも定期的に読みたい作品。
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「ハルムスの世界」読んだ。http://tinyurl.com/27oqj4s 解説が大変理解の助けになる。同時に当時のソ連の状況も垣間見ることができる。解説を読んだ後で再び作品を読むと、全く違う感想に。前衛/不条理小説という位置づけのようだけど、見方によっては超リアリズム。
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ダニエル・ハルムスの掌編集。彼の作品全てにおいて、笑いがある。
しかし、その笑いは時にシュールだったり、シニカルだったり、と様々だ。
作品の合間に入る解説もGood!
旧ソ連の内情がわからぬと読めない作品も多く、読み終えてふん?と首をひねった後の解説。とても役に立ちました。