イヴの七人の娘たち (ヴィレッジブックス N サ 1-1)

  • フリュー
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863328563

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい。ミトコンドリアからみる人間のつながりを、研究の流れを記し、ヨーロッパの多くの人々のミトコンドリアイヴたちの生活を考古学的知見をとりいれて想像豊かに描き、最後に人類はみな混血で、つながっていることが納得できた。歴史は個人の一つ一つの決断から成っていることも。ユーモアがあり、読みやすく、オススメの本です。

  • DNAおよび、ミトコンドリアDNAの解析から想像される祖先の系統について書かれている。現在分かっている範囲では、七人の女性に集約されるらしいが、想像される彼女らのドラマ生き様というのが出て来て、これはどこまで根拠のある想像なのか首をかしげる部分はある。ノンフィクションだが一部創作、というべきなのか?

  • 「ミトコンドリアは母方のそれを受け継ぐ」という事実から、人類の起源を同定するという研究を、その研究の第一人者である筆者が説明している一冊である。

    遺伝子の研究はJ.WatsonとF.CrickのDNA構造の発見を起源とする。
    そのなかで人間の23対の染色体は、女性と男性の染色体をちょうど半分ずつ子供に受け継ぐ。
    この機構によって、私と他者は違うし人類の多様性を生み出しているのである。
    翻ってこの機構・多様性により染色体のDNA配列を解析することで過去に知ることは非常に困難である。
    では、過去にさかのぼるための手がかりとなるの何か?
    それがミトコンドリアである。冒頭でも記載したとおり、ミトコンドリアのDNAは母親のそれをほぼ完全に引き継ぐ。これをもとに過去を再構成することができるはずだというのが基礎発想である。
    この基礎理論を使うためには、ミトコンドリアのDNAの頑健性が非常に重要となる。つまり、数百年単位でDNAが書き換わるような突然変異が発生するのであれば、人類の起源(~数万年)を遡ることができなくなる(突然変異のエラーのノイズが大きすぎてしまう)。
    幸い、ミトコンドリアのDNAは非常に突然変異を起こしにくいという事実があるため、この理論を使用することができる。

    そして、結論としては現代ヨーロッパ人のミトコンドリアは実は、題名の通り大昔に生きていた7人の女性のいずれかの子孫である可能性が非常に高い。
    数億人いる現代ヨーロッパ人のDNAが7人の女性に還元できるというのは非常に驚くべき事実である。
    (厳密にいうと、母方の家系を過去まで遡ると上記の7人のいずれかに落ち着くという意味)

    余談であるが、上の議論はアダムが実在したということとよく誤解される。
    これは別で、上の7人から生まれた子供が、すべての世代に少なくとも1人は女性だったという事実であり、それ以上でもそれ以下でもない。
    (それゆえに、このような女性をラッキーマザーと言ったりもするようである)

    本書の後半では、その7人に名前を与えて、生活ぶりを空想しているが、まぁFictionとして読めばなかなか楽しめるのかな。。。
    本書の前半部分は現代の生物学が解き明かした偉大な事実を理解することができるため一読の価値は十分にある。

  • 自分の専攻分野がとても近いため、かなり読みやすかった。

    ミトコンドリアDNAの研究から、遥か昔人類の歴史にまで話が広がるなんて、なんて夢のある、ロマンのある研究なんでしょう!!!
    こんな研究してたら、ドキドキワクワクな毎日なんだろうなー。

    ・・・私も夢を持ってがんばらなきゃ。。。

  • パラサイトイヴ読んだのが10年以上前でその数年後にここまで解明されていたのは詳しくは知らなかった。
    ちなみに日本人の祖先は「恵美子」「寧々」「由美」「千恵」「幸」「愛」だそうだ。
    最近の群馬大の研究では父親のミトコンドリアは受精卵の中で養分として消化されるそうだ。南無〜。

  • オクスフォードの遺伝学教授が、母系遺伝子をたどってヨーロッパ人のルーツに迫る科学読み物。

    アフリカから中東を経て世界へ広がって行く過程が興味深い。
    著者の研究によるとこんな感じ。

    "信じ難いことかもしれないが、遺伝学的に再構築した結果、世界の他の地域に移住したのはアフリカの13の一族のうちたったひとつだけだったことがわかっている"

    数年前にアフリカビジネスブームのときに、一口にアフリカといっても民族性が多様、との話があったけど、科学的に背景があるのかも。

  • 遺伝にまつわるフィクションですが、科学者が、事実を物語り調に書いていった本なのでおもしろく読めます。遺伝という科学的事実のおもしろさがわかるとともに、研究者のやり取りにもスポットが当っているので、研究は一人でなくてプロジェクトでやっていくんだということ、プロセスを一つ一つ踏んで行って事実を導き出すものなんだということ、研究者の苦悩とか葛藤などもわかり、「研究を知る」魅力ある内容になっています。
    今、生物ってどんな感じかなと進路などに悩んでいる人にお勧めです。

  • 凄い。壮大だぁ…。
    でもレポート書かなきゃ!って気持ちで読んだからか、
    難しいというか、書き方まわりくどいというか…つらかった(汗)
    時間ある時もう1度よみたい!

  • 遺伝子学については難しかったけど、壮大な物語風でワクワクする内容だった。

  • ひとつながりの母系系列というイメージは壮大だけど、ちょっとミスリーディングな気もする

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著者プロフィール

オックスフォード大学名誉教授。人類遺伝学の国際的権威。古代人骨からのDNA採取の成功や、ミトコンドリアDNA解析による人類の系図の解明などで知られる。著書に『アダムの運命の息子たち』など。

「2020年 『アダムの運命の息子たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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