松尾スズキ「お婆ちゃん!それ偶然だろうけどまたリーゼントになってるよ!!」 (TOKYO NEWS MOOK)

著者 :
  • 東京ニュース通信社
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863360013

感想・レビュー・書評

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  •  劇団「大人計画」の主宰で演出家の松尾スズキ。舞台の仕事だけでなく映画監督、脚本家、俳優としても活躍中の多彩な人だ。
     この本は彼が雑誌「TV Bros.(テレビブロス)」に連載しているコラム「お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!」をまとめたもの。雑誌掲載のうち2004年3月20日号から2007年12月8日号までの約4年間分が収められている。
     ちなみにこの本は2冊目で、これより前の約3年分はタイトルもまんまの『お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!』(2004年、実業之日本社)、これより後の約4年分は『ニッポンで笑う お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!3』(2013年、東京ニュース通信社)にまとめられている。10年以上連載が続いているにも関わらず、一回の文章量が単行本にして2~3ページという短さなので単行本が出るスパンがすごく長いのだ。現在3冊が刊行中

     彼が書く文章にはリズム感があって、単語のチョイスのセンスの良さも光っている。でも一番の魅力は「ダラダラしたブラックさ」というか、ハードなこと書いてるんだけどユルいというか、何とも言いようがないので結局「松尾スズキワールド」としか呼びようがないのだけど、そんな独特の世界を持っている事だろう。
     そしてそんなコラムにマンガという形でタッグを組むのは松尾の盟友・河井克夫。このサブカル界で苦闘する二人、通称「チーム紅卍」が放つヌルくてバカバカしい日々の記録である。

     マジメな事なぞ最初っから書く気は無くて、ゲロやらウンコやらギャグやら愚痴やらSMやら仕事の弱音(比率高い)やらの話が延々と続く。ハイになったり落ち込んだり、精神状態が不安定な所で安定しているというか、よく10年以上もこのテンションで連載続けられるなあと感心するほど。朝起きたら後頭部に乾いたベーコンが貼り付いていたというミラクルな状況も、この人ならあり得るな、と思わせるところが凄い。
     そんな訳であまり格言とか教訓を求めるような本ではないが、演出家の頭の中ってのはこうなっているのかと覗いてみるには丁度いいのではないか。
     独特の言語感覚で綴られるギリギリな日常は、ほとんど行き当たりばったりで書いているようにも見えるが(たぶんそうだと思う)、それでも行間からは「意地でも読んでいる人を楽しませてやろう」という執念のようなものが立ちのぼってきて圧倒されます。この根性が膨大な仕事をこなす原動力なのだろうか。

     コラムごとに描かれた河井のマンガは、内容とリンクしてたりしてなかったり気まぐれなんだけど、中にはマンガの締め切りに松尾のコラムがまだ仕上がってなくて、ひたすら恨み節という時もあったりする。まあそれもアリ。この二人だし。
     クセはあるが変幻自在な絵柄で、ユルユルと爆笑ネタを繰り出していく(「陣痛が始まった!」「陣スリーも始まった!」「陣フォーも!」というギャグが個人的にツボでした)。あとがきもマンガで描かれているが、初っ端から爆笑なので必見。

     もちろん様々な場所でコンビを組んできた二人なので安定感のある悪ノリぶりである。松尾が病休の時は河井がピンチヒッターとして一人で登場してたりするし、年に一回の特別企画では二人して映画の名場面の再現コスプレ(『ゴースト』とか)してたりするし、なんだか楽しそうだ。

     常に人生がしんどそうな松尾なのだが、コラムとマンガの内容を読んでいると、奥さんに関する話題が時々出ることに気づく。多い訳ではないが、少なからず触れられている。
     その様子を見る限り奥さんの存在がこの人の中で大きかったように思う。実は長く連れ添ったその奥さんと連載中に離婚しているのだが、本文中でほとんどその事に触れられていないのも逆に気になる。
     まあ普通に考えて配偶者の存在はいろいろな面で影響を与えるに決まっているが、なんかこの人の場合はそういうのとは縁がなさそうだなーと勝手に思っていたのでちょっと意外に思った。
     で、そんな事もあったが彼は今年、芸能界とは関係のない一般の女性と再婚したそうで、今後活動になんらかの微妙な変化があるかもなあと思う。あ、でも人様の家の事情に興味本位で首を突っ込むのも不躾というものだな。詮索するのはやめよう。

     本書のカバーイラストはリリー・フランキー。版元の担当者(この人も本文中やマンガにやたら登場する)の話によると、松尾自身は自分の似顔絵のラフを見た時に「胸毛足して」と注文したそうで、裏表紙には胸毛がモッサーとなった松尾スズキがガリガリの河井克夫と共に描かれている。強烈です。内容もこのイラストに負けず劣らず特濃なのだが、ハマってしまうと抜け出せなくなる中毒性を秘めた文章なので、覚悟して読むべし。このテンションについていけない人はハマれないと思う。

  • おもしろかったー

  • ブロスの連載でPerfumeと競るぐらい好きだよー。
    松尾さんの魂の叫び。

  • <A HREF="http://tg.cocolog-nifty.com/diary/2008/04/post_4239.html" target="_blank">2008年4月9日</A><br><A HREF="http://tg.cocolog-nifty.com/diary/2008/04/post_4c41.html" target="_blank">2008年4月21日</A><br><A HREF="http://tg.cocolog-nifty.com/diary/2008/04/post_edb7.html" target="_blank">2008年4月22日</A>

  • エッセイつうかコラムか。
    松尾スズキって私全然知らなくて、名前が島崎藤村みたいな人ってイメージくらいしかないんですが、ヴィレッジバンガードでかるくコーナーみたいになってたので手にとって、読んでみたらおもろかったので購入。変な人だな。

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著者プロフィール

1962年、北九州市生まれ。第41回岸田國士戯曲賞受賞。戯曲『ラストフラワーズ』『ウェルカム・ニッポン』『業音』他。

「2018年 『ニンゲン御破算』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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