障害のある人とそのきょうだいの物語

  • クリエイツかもがわ
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863421677

作品紹介・あらすじ

あの時は、ことばにしなかったけれど-「話せる場」ができたとき14人の青年が語り出す。これまでの自分とこれからの自分。兄弟姉妹や親へのさまざまな思い。

感想・レビュー・書評

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  • これを読んでまず思うのは若い人の話だなぁということです。
    サブタイトルにあるようにある立場に置かれた人の「青年期のホンネ」そのものであり、福祉を志す、または生業とする若い人の人生の話です。
    思うというよりそれは客観的事実なのですが、何故わざわざそう書きたくなったかと言うことに理由があるからです。

    ここにある話の語り手である障害のある兄弟姉妹のいる「きょうだい」たちは、その事実だけでなくある共通点があるからです。それは「障害のある兄弟姉妹を過去はともかく今現在は大切に思っている、大事な家族の一人である」とはっきり認識しているということです。

    そう思えてなければ、このような文章を書いたり福祉を考えたり生業にしたり、兄弟姉妹を大事にはとても思えないでしょう。

    40代でありそういう人間を身内に持つ自分としては、「きょうだいの会」には入らないあるいは入れない人たち、この「きょうだい」たちのようには他人に決して語ることの出来ない心に押し込めている障害のある兄弟姉妹への明るくはない心持を抱きながら「きょうだい」としての人生を歩んでいるあらゆる世代の人たちの人生を思います。

    この本に登場する「きょうだい」たちも様々に苦しみ屈辱や寂しさや悲しみを味わい、乗り越えあるいは今でも乗り越えられずとも語ることで折り合いながら生きていることは伝わります。でもこの若い人たちは「折り合うすべ」を見つけた恵まれた人たちなのだと私にはどうしても思えてしまいます。
    私の人生は障害を持つ身内からの大きな影響を今現在も受けておりそれは一生続くでしょう。それは不本意な影響です。

    障害のある子供の兄弟姉妹への視線、というものについて社会がようやく思い至るようになったのは自分の感覚としてはここ10年くらいのことのように思います。それもまだまだ一部と感じます。
    ここに描かれているのは障害ある兄弟姉妹の「きょうだい」の人生を考える黎明、まだその段階だと私は思いました。

  • その人それぞれの語りがある。
    語り合える場は大事だと思う。
    それは特別な事や場所ではなく、
    みんなにとって、当たり前になるといい。

  • 兄弟にとって障害者とはどう見えているのか。子供達にはうちの障害者君はどう見えているのかしりたくて読みました。
    わかっていたけれど子供だと、大人より傷つく部分が多いんだなと実感しました。
    ここに手記を寄せている人は皆、兄弟の障害を受け止められるようになった人たちです。
    きっとクラスメートだった人達も、ここに出てきている人の話はわかるのかなと思います。
    身近に障害者がいる若い人たちに読んで欲しい本です。
    また、こんな語り合える「会」があるのは、良いです。会の存在を広めていくうえでもお勧めです。

  • 母校でお世話になった先生の本です。
    当時こういう会があったら、私はどうしただろうな、あったらよかったなあと。
    私のまわりの友だちにも、たくさんきょうだい児いたから。
    それはそれで終わってしまったからな。

    きょうだいのみなさんが、
    きょうだいにしばられすぎずに、
    自分の人生をよりよく生きていけるよう願ってます。

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著者プロフィール

1950年新潟生まれ。東京外国語大学英米文学科卒。東京都立大学大学院人文科学研究科中国文学専攻修士課程修了。訳書、残雪『蒼老たる浮雲』『カッコウが鳴くあの一瞬』他。2015年没。

「2020年 『突囲表演』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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