つむじ風、ここにあります (新鋭短歌シリーズ1)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 460
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851115

作品紹介・あらすじ

圧倒的な言語感覚<br>この若い才能は、類いまれな想像力と、細部を見極める繊細な洞察力で、言葉の世界に新たな意識を刻みつづけるに違いない。<br>東 直子(解説より)<br><br><br><自選短歌五首><br>夕暮れのゼブラゾーンをビートルズみたいに歩くたったひとりで<br><br>ハンカチを落としましたよああこれは僕が鬼だということですか<br><br>自販機のひかりまみれのカゲロウが喉の渇きを癒せずにいる<br><br>鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたい<br><br>カードキー忘れて水を買いに出て僕は世界に閉じ込められる<br>

感想・レビュー・書評

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  • レビューを見ると他の歌人よりレビュー数の桁がまず違い、好感を示すレビューが多かったので読んでみましたが(短歌界の新鋭と言われているらしいですね)私はいいと思う歌とあまりピンとこない歌の両極端に分かれました。
    異性の歌人だからでしょうか。

    著者略歴
    1988年山口県生まれ。山口県在住。
    2011年より作歌及び投稿を始める。
    2012年第41回全国短歌大会大会賞受賞


    ○空を買うついでに海も買いました水平線は手に入らない

    ○消えてゆく歌もみんなが口ずさむ歌もひとりが歌いはじめた

    ○手がかりはくたびれ具合だけだったビニール傘のひとつに触れる

    ○活字では登場しないぼくたちはどんなにあがいてもエキストラ

    ○小説のように場面は変わらないだからぼくらは扉をめくる

    ○弁当のワゴンは五回通過してラストシーンのような夕焼け

    ○「かなしい」と君の口から「しい」の風それがいちばんうつくしい風

    ○それらしく咲いてくれたらああこれが最後なんだと思えたのにな

  • 分かりやすくて、しかも、奥深い短歌が多いから、普段短歌を読まない奴にもおすすめの歌集だ。
    俺や劉備兄貴達と、中国大陸を駆け回るようなわくわく感を感じることが出来るに違いねえ。

  • 木下龍也(1988年~)氏は、山口県周南市生まれの歌人。2011年に本格的に作歌を始め、2012年に現代歌人協会主催の全国短歌大会で大会賞を受賞し、歌人としてデビュー。2018年に出版した、岡野大嗣との共著『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』は、短歌の書籍として近年では異例といえる、発行部数1万部を超えた。
    本書は、2013年に発表された第一歌集である。また、書肆侃侃房が、若い歌人を紹介するために作った「新鋭短歌」シリーズの第1巻(現時点で計51巻)でもある。
    私は、短歌に関しては、30年以上前に俵万智(1962年~)の『サラダ記念日』を読んだことがあるだけで(当時の『サラダ』は社会現象となっていた)、最近友人に刺激を受けて興味を持ち始めたのだが、穂村弘(1962年~)、東直子(1963年~)らの入門書や歌集とともに、木下氏の『天才による凡人のための短歌教室』と本書を手に取った。
    木下氏は『天才による~』の中で、「一首の完成度について言えば現役の歌人の中でトップクラスだと思う」が「タネも仕掛けもある僕の短歌は僕の胸をどうしても撃ち抜くことができない」と、逆説的なことを書いているのだが、そのタネと仕掛けを駆使した歌は、強い印象を残すものである。私は素人ながら、大まかに言えば、短歌で最も重要なことはテーマを見つける感性で、次に言葉の使い方だと思うのだが、木下氏の選び取るテーマは、普通の人では目が留まらない、しかし、歌にされてみれば、なるほどと思う、実に繊細なもので、それを表現する言葉は、無理無駄のないとても滑らかなものだ。20代前半で作られた歌集と考えると、その驚きは増す。
    また、木下氏は『天才による~』で、穂村弘(と吉川宏志)を「徹底的に真似をしてインストール」した、とも書いているのだが、その作風は穂村弘とはかなり異なるように感じられた。
    いくつか印象に残った歌を挙げてみると。
    「ハンカチを落としましたよああこれは僕が鬼だということですか」
    「青空にソフトクリームぶちまけてなんて平和な夏なんだろう」
    「スポーツの女神の汗を丁寧に蒸留すればポカリスエット」
    「かなしみはすべて僕らが引き受ける桜の花は上に散らない」
    俵万智、穂村弘、東直子らの次世代の代表的歌人が、繊細な感性で今を詠う歌集である。
    (2021年5月了)

  • 「短歌ください」を読んでいて、ドキッとしたので作者をみるとこの人。ということが何度かあり、気になっていたので。
    ちょっと乾いていて、人肌より少し温度が低くて、少し離れたところにあるような。そんなふうに思えて好きです

  • 最近、短歌に興味が湧いている。
    どの人の歌が好き、とか正直まだよく分からないけれど、木下達也さんの三十一文字はすんなりと情景が浮かんで、気がついたら心にひっかき傷が残されているような感覚。
    この文字数、このリズムだからこそ、無理なくきゅっとおさまってすっと心に入ってくる。
    私が今感じていることは‟木下達也さんに”ではなく‟短歌というものに”感じていることなのかもしれない。
    もっと色んな人の歌集を読んでみて、そしてもう1度この『つむじ風、ここにあります』読んだ時、自分はどんな感想を持つのか、楽しみだ。
    つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる P9

  • シニカルなのに爽やか。ふいうちで頭をうしろからッパーンってひっぱたかれた感じがする。章ごとにおけるひとつひとつの連続性みたいなのはちょっと鈍いのかなと思ったけど、痴情のもつれみたいなのはストーリーとして読むときによかった。かこの自分への怒り。「ぼくのこわせるもの」だったかな。なんか、ダークで異質だった。全体的にはとても軽やか。また読み返したい。

  • ふみふみスコ。

  • なんだろね。
    悲しさがすっと通りすがったり、
    ふふっと笑う瞬間があったりと、
    不思議な一冊だった。

    言葉にできないものが紙面から溢れ出ていて、
    それがなんとも心地よかった。

    あー自分はこういう感覚を忘れていたのだなと気付かされたような気がする。

    多分、明日もふと読みたくなるんだろうな。

  • ときどき心臓がヒュッとなるのが心地よい

  • 同世代の歌人の言語感覚、そのセンスや空気感やシニカルさにやられてしまい、何度か口に出したり見返したりした。

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著者プロフィール

1988年、山口県生まれ。歌人。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』、16年に第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』(ともに書肆侃侃房)を刊行。18年に岡野大嗣との共著歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』、19年に谷川俊太郎と岡野大嗣との詩と短歌の連詩による共著『今日は誰にも愛されたかった』、20年に短歌入門書『天才による凡人のための短歌教室』、21年に歌集『あなたのための短歌集』(すべて、小社)を刊行した。同じ池に二度落ちたことがある。

「2022年 『オールアラウンドユー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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