春戦争 (新鋭短歌シリーズ7)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851252

作品紹介・あらすじ

ひたむきな模索
結論づけられない渾沌とした内面とそれをとりまく世界。
東 直子

自選短歌五首
好きでしょ、蛇口。だって飛びでているとこが三つもあるし、光っているわ

すっきりとした立ち姿を見てってよこれがあなたがたの生んだものです

軽く罪にぎって風の中をゆく さほどでもなき人生をゆく

つよい願いつよい願いを持っており群にまぎれて喉を光らす

春の日はきみと白い靴下を干す つま先に海が透けてる

感想・レビュー・書評

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  • 陣崎草子 短歌 永遠の着水静けさの海へ衛星が散る日に落とす鍵(キィ) 朝の陽にうばわれてゆく爪たちを見送る湖底あれは幸い 晩夏、あの湖面に散っている爪のうすももいろの静けさを聴け 他人の水盗んできては全身に揉み込んでいる三日月の庭 野菜多く買ってなにやら安心しお茶飲んで正座しておれば虫 うだる夜の恋人の胸に滑らせるバターずいぶん海を見てない 春戦争いつまでもずっと開いてるぼくのノートに降りてこい、鳥 返歌 夏戦争すいか割りなり君の声こっちは嘘だ潮騒ゆらぎ

  • 気丈さがよいです。憂鬱をうたう歌人は多いですが、この人はかなしみ、というよりは、かゆいところをかいてみる、みたいな、しめっぽくないところがあるなあと思いました。
    ただ、ひとつの短歌で状況の切り替えがあることが多いので、ちょっと散漫な印象があります。全体を通して読む短歌なのか、ひとつだけ選ぶと弱い感じ。

  • 圧巻だ。僕の思考回路にはまるでハマらない記述だ。僕は意味を込めようとしたり、意味に重きを置いた回路を持っている。彼女は心象風景を描写している。それで定型の枠に収まっているのだ。ことばの散らばりようは、宗教や旅や小説といったジャンルでは収まらない記述だと思う。春戦争の題の短歌は戦争に関した反戦歌とかイデオロギーではなく、ある風景の描写のようだった。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大阪教育大学芸術専攻美術コース卒業。絵本作家、児童文学作家、歌人として活躍している。『草の上で愛を』(講談社)で、第50回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。

「2018年 『こだわっていこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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