オーロラのお針子 (新鋭短歌シリーズ13)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851573

作品紹介・あらすじ

行為の果てにあるもの。
途轍もない行為があなたを連れ去る。
ふたりが辿り着く場所はどこだろう。
加藤治郎

<自選短歌五首>

唐揚げの下のレタスを食べてみる駅のひだまり冷えた膝裏

あなたから生まれる前の夢をみた波打ち際の電話ボックス

人生の謎すきとおる8月の魚の骨のきれいな宇宙

夕焼けの付箋で街を埋めつくすわたしたちには正解がない

天気雨 透けた果実のように世界は○みたい 支度しましょう

感想・レビュー・書評

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  • 「糸電話片手に渋谷ぶらついてこちら思春期はやく死にたい」「あたしすぐ死にたくなるから網棚の上でお願い寝かせておいて」「ローソンで音素をひとつお買い上げそんな未来があったらいいわ」「卵からひとすじの血が流れ出しおかえりなさいと言ってもいいの」「ありったけやさしさつれていきなさい世界はあなたを救わないから」「みえないのすきもきらいもぼうりょくも排水溝がどこにあるかも」

  • 藤本玲未 短歌 学校をサボってたべるナポリタン紙ナプキンが水でふやける ここは海ここは空だと塗りつぶす青という字は青くないけど 半額の焼きそばパンを分けあって川辺にいない僕らになりたい あなたから生まれる前の夢をみた波打ち際の電話ボックス 点滴のそばに置かれたあじさいがぼくの代わりに月見をしてる 縁側で濃いめのカルピス飲み干した入道雲がゆっくりほぐれる オーロラのお針子たちとあんみつを食べる春はさっくり更ける 返歌 環天頂アーク水撒き光あて秋にみつ豆食べる幸せ

  • 幽霊の少女の日常という印象を受けた。そういう設定ではないかもしれないけれど、「死にたい」等、「死」に関するワードが時々顔を覗かせるので、死にかけだけど生きていたい少女の美しく爽やかではあるものの厳しさや辛さもある日常(人生)の一コマを切り取ってきたような感じ。幽霊、といっても夜徘徊しているタイプではなく昼間もふらふらしている方のような気がする。また、この少女は恋をしていて、それはなかなか叶わない(叶わなかった)ものなのかもしれない。ことばが全体的に柔らかなのに、時々抉られるような感覚を覚えた。女子好みなことば遣いだった。

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