硝子のボレット (新鋭短歌シリーズ14)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 37
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851580

作品紹介・あらすじ

行為の果てにあるもの。
途轍もない行為があなたを連れ去る。
ふたりが辿り着く場所はどこだろう。
加藤治郎

<自選短歌五首>

桃色の炭酸水を頭からかぶって死んだような初恋

じゃあ非常階段に来て。眼裏の雪のすべてが燃えきるまでに

けれどまた笑ってほしい今朝虹が出ていたことを告げる回診

スカートの奥の夕陽を裏返すような行為をうまくできない

索引のページに指をさし入れて会話を少しずらすこいびと

感想・レビュー・書評

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  • 深海魚にキスするときの顔をしてわたしの中で眠らないでよ
     
    はじめからあとがきを読むような恋 図書館に寄るからもう帰る

    「いつまでも続く世界の目眩から逃げ出す処方箋をください」

    痛みも憂鬱もしっかりとあって、それでもなお強い。きちんと立って歩いていくんだろうなと思わせる語り口。性愛の描写もドキッとするような生々しいものが多いなかで、媚びた印象を受けないのが不思議だった。女性による、こういうポジティブな性描写は意外と少ないのでは? 私には書けない。おもしろかった

  • 恋というのは こんなにも確かな感触なのに
    どうしてこんなにも 曖昧なんだろう

    その一瞬一瞬が 愛しいのに
    悲しいくらいに 遠く感じるのは

    どうして――なんだろう

    つまりは 恋というものは 残酷なのだと 思う
    自分でも知らなかった一面を知ってしまう
    突きつけられるように 引き出されてしまう

    唇で閉ざした声のように
    出てしまったそれは もう止められない

    分かっていて やってるでしょ? て拗ねるように 想う

    触れているんだもの
    言ったら 揺れてしまうの
    離れても 近づいても
    何しても

    もう 元には 戻らないから

    あなたに あなたの 全てに
    近づいて 触れて 解いて 解けて

    それで? て思う
    その――続きは?

    その後で 自分だけで結ぶ虚しさ
    突き放されたような その 寂しさ

    この悲しみを 分け合えたら いいのに
    それまでの幸せを 分け合えたらいいのに

    用事があっても なくても
    会いに行っても 言えなくても
    行けなくても どうか傍に いさせてください

    まるで 祈りのような

    何一つ変わらないまま 変えられないままで
    終わるとしても

    身を委ねるという時
    安息と快楽は 似ているような 気がして

    その指先は どうしてそれだけで儚いのだろう

  • 雨、彼の臓器たっぷり潤ませてあの子のもとへ届けてほしい 死ぬときに食べたいもののことばかり話して海にたどりつけない ひとりではないふたりでもないことを終わらない雨の人には教える 桃色の炭酸水を頭からかぶって死んだような初恋 小糠雨のようなセックスずっとずっとずっときれいなからだでいたい やわらかな炎に水をこぼすときあなたの淡い悲鳴ちがうの 返歌 透明な炭酸泉に入る前かけ湯を桶で頭にかぶる

  • えろい!
    静かであたたかくてつめたくてむけたりはがれたり不思議な身体感覚。
    まひるさんお医者さんだったのね。

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著者プロフィール

1983年、徳島県生まれ。2004年、第一歌集『晴れのち神様』(歌葉)上梓。2011年、未来短歌会入会。2012年、未来賞受賞。2014年より「七曜」同人。短歌ユニット「ぺんぎんぱんつ」としても活動中。

「2014年 『硝子のボレット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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